私はこれを買いました!

携帯性に特化したマニアックパンケーキ

七工匠 7Artisans 35mm F5.6(河田一規)

シグマfpやfp Lとの組み合わせならフルサイズ機とは思えないほどのコンパクトネス。目測でも撮りたいと思って1m、3m、5mの距離表示を記したテープを貼ったが、このレンズはピントリングの回転角が小さいため距離表示はかなりシビア。実用的にはもうちょっと高精度な書き込みにする必要がある。

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2021年に購入したアイテムをひとつだけ紹介していただきました。(編集部)

意外と高い解像性能。買いやすい価格も嬉しい

キッカケは「SIGMA fp L」を購入したことだった。

fp Lに最適なレンズとしては、小型軽量かつ写りも素晴らしい同社の「Iシリーズ」レンズ群がある。カメラとのデザイン的な相性もバッチリでボクも愛用している。んだけど、フルサイズとは思えないほど小さく作られたfp Lを見ていると、もっとコンパクトに、そして楽に持ち歩きたい! という自堕落な気持ちがムクムクと湧いてくる。で、手に入れたのが7Artisansの35mm F5.6だ。

このレンズはマニュアルフォーカスの単焦点レンズで、薄型なので携帯性がとてもいい。また、フォーカスリングの操作で開閉できるレンズバリアが組み込まれているため、あの忌々しいレンズキャップが不要というのが超絶素晴らしい。

絞り機構は非搭載で、F値はF5.6固定。絞りによる被写界深度調整などは行えないが、そういう割り切りもちょっとマニアックで面白い。絞り機構をあえて入れなかったのはスペース云々もあるけれど、絞り変化による焦点距離変化を考えなくていい光学系を採用できるのがメリットじゃないだろうか(勝手な想像です)。まあとにかく持ち出しやすさに拘って設計された1本で、とっても買いやすい価格設定も嬉しい。

F値を欲張っていないこともあってか、写りについては意外と解像性能も良好。fp Lの6,100万画素でもそんなに解像負けしている感じはない。最周辺部はちょっと解像が緩くなるけど、ボクの個人的な撮影用途ではこのサイズでこれだけ写ってくれれば充分だ。

35mmでF5.6は超小口径だけど、今のカメラは高感度性能が高いのでF値が暗いから撮れないということもほぼ無く、わりと普通に使える。使用する頻度としてはやっぱりシグマIシリーズの24mmや35mm、45mm辺りを使うことの方が多いけど、パソコンとか他の荷物が多くてちょっとでもカメラを軽くしたいときや、自転車でのフォトライドによく持ち出している。

合焦させたところの解像は結構いい。ボケ味も最周辺部に光源とか持ってこない限りそんなには暴れない。コントラストは少し低め。
SIGMA fp L / 7Artisans 35mm F5.6 / 絞り優先AE(F5.6、1/80秒、-0.7EV) / ISO 100

近況報告

ある晩、ウチの近くの公園を歩いていたら、何とタヌキと遭遇。横浜市の住宅がそこそこ密集した場所にある公園なんですけど、いるんですね。タヌキ。咄嗟にiPhoneを向けて撮ったら、真っ暗にもかかわらずちゃんと撮れてて、スマホって凄いなぁと思いました。

河田一規

(かわだ かずのり)1961年、神奈川県横浜市生まれ。結婚式場のスタッフカメラマン、写真家助手を経て1997年よりフリー。雑誌等での人物撮影の他、写真雑誌にハウツー記事、カメラ・レンズのレビュー記事を執筆中。クラカメからデジタルまでカメラなら何でも好き。ライカは80年代後半から愛用し、現在も銀塩・デジタルを問わず撮影に持ち出している。