私はこれを買いました!

自分撮りにもってこいの“コンパクト型”デジタルカメラ

カシオ TR-M11(豊田堅二)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2021年に購入したアイテムをひとつだけ紹介していただきました。(編集部)

テクマクマヤコン?

カシオは2018年にデジタルカメラ市場から撤退したが、その直前にはいろいろとユニークな形態のデジタルカメラを出している。撮像部とモニター部がBluetoothで接続され、分離可能なFRシリーズ、カメラ外周のフレームが自在に回転可能でドアノブにぶら下げて撮影できたりするTRシリーズなどだ。このTR-M11もその系列のものだ。

自分撮り専用のこのカメラ、見ての通りご婦人が化粧用に持ち歩くコンパクトのようなユニークな形をしている。写真家の山田久美夫さんがよく持ち歩いており、撮影した写真をSNSにアップしていたのを見て、以前からちょっとほしいと思っていた。決して「これがホントのコンパクトデジカメ」とおやじギャグを言いたいからではない。あ、ちょっとはそれもあるかな。ちなみに山田さんはこのカメラに「テクマクマヤコン」というニックネームをつけている。その意味がわかる人もけっこう少なくなっているかもしれない。

さて、このテクマクマヤコンことTR-M11だが、なぜか日本国内では販売されなかった。ほしいことはほしいが、海外から個人輸入するのも面倒だなと逡巡しているうちにカシオが市場から撤退してしまった。その後ひょんなことからメルカリに出ているのをみつけて即ポチってしまったのが、今年の春のことである。

実際に使ってみるとけっこう便利で写りもよい。最近では知り合いの写真展に行って出展者本人とのツーショットを撮影するのに使う機会が多くなった。ただ、ヒンジでつながれた一方に撮影レンズがあり、他方にモニターがあるという構成なので、モニターをみながら撮影すると目線を外しがちなので要注意である。記録メディアはmicroSDカードが使えるのだが、これの着脱がちょっとやりにくい。まあ、カードを介することなく撮った写真をスマホに転送するような使い方をすべきなのかもしれないが。

このカメラ、見せるとけっこう欲しがる人が多い。どこかで同様のものを作ってくれないだろうか?

「空鉄」写真家吉永陽一さんとのツーショット。目黒ふげん社で開催された吉永さんの個展にて。モニターをみながらのフレーミングは慣れないとけっこう難しい。
TR-M11(F2.8・1/25秒)ISO 125 21mm相当
日芸写真学科の秋元貴美子先生とのツーショット。四谷ポートレートギャラリーで開催された写真学科学生の選抜展で偶然お会いしました。
TR-M11(F2.8・1/25秒)ISO 80 21mm相当

近況報告

日芸写真学科非常勤講師を退職してから、これまで授業の関係で参加できなかった会合やイベントに出られるようになったが、今度はコロナ禍でそれらが中止になったりして、結局暇をもてあましている。2022年は、何か新しいことを始めたいと思っている。

豊田堅二

(とよだけんじ)元カメラメーカー勤務。現在はカメラ雑誌などにカメラのメカニズムに関する記事を書いている。著書に「とよけん先生のカメラメカニズム講座」(日本カメラ社)、「カメラの雑学図鑑」(日本実業出版社)など。