私はこれを買いました!

マイクロフォーサーズでもボケ表現とキレの良い描写を

SIGMA 56mm F1.4 DC DN|Contemporary(礒村浩一)

今年、デジカメ Watchでレビュー系の記事を複数執筆していただいた写真家・ライターの皆さんに、2018年に購入したカメラ系の製品(新品に限る)を1つだけ挙げていただきました。(編集部)

予想の斜め上をいく描写性能

年末恒例のこの企画。今年はつい最近手に入れたシグマの交換レンズ「56mm F1.4 DC DN | Contemporary」をピックアップすることにしよう。このレンズはシグマが展開するミラーレスカメラ用の交換レンズ「DC DN」レンズシリーズのなかの1本である。APS-CフォーマットのソニーEマウント用とマイクロフォーサーズ用の2つのマウントがラインナップされており、私はこのレンズを主にオリンパスOM-D E-M1 Mark IIで使用している。

マイクロフォーサーズ機で使用する場合、このレンズは35mm判換算で112mm相当となり、さらに開放絞り値がF1.4であることから大口径中望遠レンズということになる。往々にしてセンサーの大きさからボケにくいといわれるマイクロフォーサーズ機であるが、最近はこのレンズのように開放絞り値の小さい大口径レンズが多くリリースされていることから、マイクロフォーサーズ機でも十分にボケを活かした撮影を楽しむことができるようになった。

さらにこのレンズの解像力の高さは、同じくシグマから発売されるフルサイズ用交換レンズに匹敵するほど、キレッキレなのである。もちろん発売前から写りの良さには期待していたのだが、軽く予想の斜め上にいってしまったほどの写りだったのには正直驚いてしまった。

このように浅い被写界深度によるボケ表現とキレの良い描写を兼ね備えた56mm F1.4 DC DN | Contemporaryは、ミラーレスカメラが本来持つ表現力を最大限に引き出すレンズだといって良いだろう。

それでいてレンズのサイズと重さは、ミラーレスカメラのコンパクトさを損なわないので、ポートレート撮影はもとより、スナップ撮影なども快適に行えるはずだ。これ1本だけをカメラに装着して軽快にブラブラと街をスナップして歩きたくなる、そんな楽しみ方をしたくなるレンズである。

作例

洋館を彩るクリスマスのテーブルセッティングが窓から差し込む日射しでキラキラと輝く。手前の食器のディテール描写と背景へのなだらかなボケのグラデーションの対比が美しい。

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / SIGMA 56mm F1.4 DC DN | Contemporary / 1/50秒 / F2.0 /ISO 400 / 絞り優先モード
協力:フラワースクールゆりの木

プロフィール & 近況報告

写真家。今年は写真家の協会に入ったりプロ向け勉強会を企画したりドローンでの撮影を始めたりと、いろいろと新たな取り組みを始めた年でした。2月には恒例の真冬の北海道ワークショップを開催予定。白銀の世界でのポートレート撮影実習です。CP+にも出演予定。見かけたら声かけてくださいね〜。

礒村浩一

女性ポートレートから風景、建築、舞台、製品広告など幅広く撮影。全国で作品展を開催するとともに撮影に関するセミナーの講師を担当。デジタルカメラの解説や撮影テクニックに関する執筆も多数。2015年よりTSUKUMO写真編集(RAW現像)パソコンをプロデュース。近著『被写体別マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド』(玄光社)、『家電批評 デジカメ&ビデオカメラの選び方がわかる本 2019』(晋遊舎)など。(公社)日本写真家協会正会員、EIZO公認ColorEdge Ambassador