イベントレポート
野鳥撮影・観察の新製品が並んだ「ジャパンバードフェスティバル2024」
EOS R1の発売前タッチ&トライも
2024年11月6日 14:56
「鳥」をテーマとする国内最大級のイベント「ジャパンバードフェスティバル2024」が、11月2日(土)・3日(日・祝)の2日間にわたり、千葉県我孫子市の手賀沼周辺にある関連施設で開催された。
ジャパンバードフェスティバル(略称JBF:Japan Bird Festival)は、2001年より年1回のペースで開催さており、今回は手賀沼周辺のアビスタ、手賀沼親水広場、水の館、オオバン広場、鳥の博物館、山階鳥類研究所の6会場で行われた。
そのうち手賀沼親水広場には、光学機器・録音機器メーカーが勢ぞろいしており、望遠レンズや双眼鏡など、鳥観察・撮影向けの製品をアピール。来場者も実地に近い形で製品に触れられるため、タッチ&トライイベントとしても有意義なものになっている。
なお、一部ブースでは、参考出展品や発売を間近に控えた製品、本イベントが世界で初披露となるプロトタイプなどが並び、現地では熱心に質問している来場者の様子があちこちで見られた。
また、野鳥写真家による撮影会やセミナーなども開催され、人気を博していた。
OMデジタルソリューションズ株式会社
昨年この場所で参考出品されたドットサイト照準器「EE-1」ブラケットの隣に、見慣れないカモフラージュ柄のレンズカバーが出品されていた。OM SYSTEMの特定レンズにフィットするよう専用設計されたもので、直販サイトでの販売を予定している。
現時点では、「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」用と、「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」用の2種類を用意するという。
また、レンズカバーを含む各種アクセサリー、双眼鏡などの販売も行われていた。
タッチ&トライでは、野鳥愛好家に支持されているという超望遠ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」をはじめとしたレンズを用意。有料のレンタルも実施していた。
写真家の菅原貴徳氏による野鳥撮影会(事前予約制、有料)や、野鳥セミナー(事前予約制、無料)も実施。撮影会は、1日目と2日目で内容が異なり、1日目は自身のOM SYSTEM製品を利用。2日目は、オススメの野鳥セットとして「OM-1 Mark II」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」の貸し出しを行っていた。
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
11月に発売を予定する「EOS R」シリーズ初となるフラッグシッカメラ「EOS R1」や、8月に発売されたばかりの「EOS R5 Mark II」など、新型機が並ぶ。
発売前のこのタイミングにも関わらず、今回のイベントでは「EOS R1」が2台用意され、じっくりとチェックする人が多く見られた。
また、「RF100-300mm F2.8 L IS USM」や「RF200-800mm F6.3-9 IS USM」などの野鳥撮影に適した望遠ズームレンズに加え、「RF600mm F4 L IS USM」「RF800mm F5.6 L IS USM」「RF400mm F2.8 L IS USM」などを用意していた。
新製品としてはこのほか、11月下旬発売の「RF70-200mm F2.8 L IS USM Z」や、12月下旬発売予定の「RF24mm F1.4 L VCM」「RF50mm F1.4 L VCM」などもあった。
2日目には、野鳥写真家の戸塚学氏によるセミナーを実施。野鳥撮影における「EOS R5 Mark II」の使いこなしをメインとした内容で、カメラ内アップスケーリングやニューラルネットワークノイズ低減を解説。最新モデルならではの進化ポイントを紹介していた。
株式会社ケンコー・トキナー
11月22日(金)に発売を予定する手ブレ補正付き防振双眼鏡「VCスマート 12×21 Cellarto」と「VCスマート 15×42 Cellarto WP」の2モデルに加え、発売済みの「VCスマート 14×30 Cellarto」などを展示。
また、ZEISSブランドの製品として、11月22日(金)発売の「ZEISS Conquest HDX」シリーズも展示。8×32、10×32、8×42、10×42を出品していた。
同社のブースでは、毎年の恒例となっているアウトレット販売も行われており、三脚やバッグ、双眼鏡などが多数用意されていた。
サイトロンジャパン
2025年2月の発売を予定する新型広角ダハ双眼鏡(製品名未定)などを出展。同製品については、正式なアナウンスは年明けになるという。
スペック自体は確定では無いが、実視界9.1°の「8×42ED」など、視界が広く使いやすいモデルを用意。また、シリーズの特徴として、アイレリーフが18mmとハイアイポイント仕様となっている。
なお、用意されていたのは、8×42ED、10×42ED、10×50ED、12×50ED、12×56ED、15×56EDの6モデル。
シグマ
「SIGMA 500mm F5.6 DG DN OS|Sports」や「SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS|Sports」など、ミラーレスカメラ用超望遠レンズの貸し出しを実施。また、SIGMA fpシリーズの貸し出しも行っていた。
事前に公式サイトにて、貸し出しレンズの内容を発表しており、1回あたりの貸し出し時間は90分と長め。時間内であれば、別のレンズへの交換も可能だった。
手賀沼という野鳥が飛来する好立地でレンズを長時間使えるとあって、多くの人が利用したとのこと。なお、未成年への貸し出しは成人の同行が必須。そういった事情もあり、親子参加が目立っていた。
ソニーマーケティング株式会社
写真家の山田芳文氏によるセミナー・フォトウォークを実施。同社では野鳥フォト&ムービーコンテストの作品を12月13日(金)まで募集しており、当日のセミナーではワンランク上の野鳥撮影を目指す人向けの講座を行っていた。
フォトウォークの参加対象は、α、RX、VLOGCAMの所有者。持参した自分のカメラ以外にも貸し出し機を使用し、実際に野鳥を撮影しながらの撮影講座となっていた。
タッチ&トライでは、大口径望遠単焦点レンズ「FE 300mm F2.8 GM OSS」をプッシュ。特に、「α9 III」との組み合わせをアピールしていた。
株式会社ニコンイメージングジャパン
鳥モードを搭載したミラーレスカメラ「Z9」「Z8」「Z6III」などに加え、「NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S」「NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR」をはじめとした超望遠系の交換レンズを展示。
また、10月25日(金)に発売した双眼鏡「STABILIZED 10x25 S」「STABILIZED 12x25 S」を含め、フィールドスコープも展示していた。
野鳥写真家の中野耕志氏によるバードウォッチングを開催。同イベントでは、双眼鏡のMONARCHまたは、PROSTAFFを貸し出していたほか、「Z8」と「NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S」または、「NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR」の組み合わせで、野鳥撮影の体験ができた。
株式会社ビクセン
10月24日(木)発売の超広角の双眼鏡「SW8×25WP」をはじめ、双眼鏡やフィールドスコープのタッチ&トライを展開。
特に今秋発売の「ATERAII ED H16×50WP」は、2軸ジンバル制御防振機構を搭載。三脚が必要となる16倍という高倍率であっても、手持ちでの運用を可能にしていることから、バードウォッチングに最適と説明する。
また、「SW8×25WP」などの新製品を含め、一部製品についてはアウトレット販売も行われていた。
富士フイルムイメージングシステムズ株式会社
カメラ関連では、GFXシリーズの最新機種「GFX100S II」や、望遠レンズの「GF500mmF5.6 R LM OIS WR」などが、タッチ&トライとして用意されていた。
また、開発中の防振双眼鏡「FUJINON TS-L 1640」「FUJINON TS-L 2040」のプロトタイプを世界で初めて参考出展。ある程度詳細なスペックが披露されていたが、まだ確定ではないとのこと。正式な発表を待ちたい。
この他にも、バードウォッチングに適した「ハイパークラリティシリーズ」や、フジノン双眼鏡のフラッグシップモデル「FMT」シリーズ」などを展示していた。
ティアック株式会社
「鳴き声」を録音するというややニッチな需要を拡大するべく、バードフェスに参加している同社。実際に同イベント中に声をかけてくるのは、保護・観察や研究といったジャンルで働く人が多いそうだ。
展示品は、タイマー機能搭載レコーダー「DR-X」シリーズや、32ビットフロート録音対応の「Portacapture」シリーズなど、野鳥の声を録音するのに役立つもの。
特に「Portacapture」シリーズでは、鳴き声の録り逃しを防ぐ「キャッチ機能」を紹介していた。
また、約1年かけて試験中だという、タイマー録音機能の追加を検討中しているICレコーダー「VR-04」も用意。
野鳥の録音では、長時間の録音が必須だとしており、そういった理由から内蔵バッテリーだけでなく、外部電源に対応する必要があるという。
そこで、「VR-04」も外部電源に対応させ、タイマー録音の機能を追加したいそうなのだが、長時間利用によるノイズだけではなく、挙動面での心配があり、まだまだ試験を続けているそうだ。