イベントレポート
プロ向け動画イベントInterBEE 2019に「EOS-1D X Mark III」が展示
「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」も
2019年11月18日 09:00
「Inter BEE 2019」(国際放送機器展)が11月13日〜11月15日幕張メッセで開催された。主にプロ向け動画機材の展示がメイン。ここでは会場で見つけた写真向けのアイテムのほか、ミラーレスカメラなどの動画撮影に関連するアイテムを紹介する。
キヤノン
10月24日に開発発表したデジタル一眼レフカメラ「EOS-1D X Mark III」のモックアップを展示していた。モックアップはケース内で触れることはできないが、国内初披露となる。
EOS-1D X Mark IIIはスポーツや報道向けの次期フラッグシップモデル。最高約16コマ/秒の高速連写などを特徴とする。スペックなどは開発発表時から変わっていない。
ミラーレスカメラが広がっている中、新フラッグシップモデルを一眼レフカメラとしたことについては、「こうしたカメラでは光学ファインダーのメリットが大きい。また個々のスペックだけではなく、プロのフォトグラファーが求める信頼性なども考えると、フラッグシップ機は一眼レフというのがキヤノンの回答になる。将来はわからないが、これが現時点の最適解。性能を向上させた動画機能の仕上がりも含めてフラッグシップモデルとなっている」(説明員)とのこと。
また、世界で初めて人工蛍石を採用したレンズ「FL-F300mm F5.6」の発売から50周年を迎えたことを受けて、蛍石レンズの展示もあった。
同社の蛍石レンズの原料は天然の蛍石(左上)。それをるつぼで加熱しながら結晶を成長させる。そうしてできた円柱型の結晶(右上)を切り出して研磨し、レンズを作る。蛍石レンズは超望遠レンズなどに使われ、色収差を抑えることができる。
ニコン
11月22日に発売するミラーレスカメラ「Nikon Z 50」などを展示していた。
Z 50はAPS-Cセンサーを搭載し、同社の35mmフルサイズミラーレスカメラよりも小型、軽量なことから、より小型の電動スタビライザーに搭載できる点を訴求していた。顔認識機能で人物にピントを合わせるデモも行っていた。
加えて、10月に受注を開始し、その後の注文多数で現在受注を休止している大口径レンズ「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」を「Nikon Z 7」とともに展示していた。フォローフォーカスなどを装備した動画撮影向けのセットになっており、大きなボケを確認することができた。
またATOMOSのブースでは「Nikon Z 6」を使ったRAW動画記録の参考展示を行っていた。Nikon Z 7/Z 6とATOMOSのレコーダーNINJA VをHDMIで接続することで、Ninja VのSSDにProRes RAW形式でRAW動画が記録できる。
Z 7/Z 6は年内開始予定の有償サービスでRAW動画の出力機能に対応する。NINJA Vは発売済み。
シグマ
10月に発売された35mmフルサイズセンサーを搭載するミラーレスカメラ「SIGMA fp」を様々な形で展示。動画と静止画を別モードとして搭載しており、本格的な動画撮影に対応できることをアピールした。
リグを組んでシネマレンズ、フォローフォーカスなどを装着したもの。なお、このリグはシグマが試作したものだが、製品化の予定はないとのこと。
LCDビューファインダーを装着したスタイル。
外付けSSDを装着し、4KのRAWや長時間の動画撮影などに対応したもの。
動画撮影向けに外付けマイクを装着したところ。
ドローンに搭載した展示もあった。
ケンコー・トキナー
トキナーの一眼レフ用マクロレンズ「atx-i 100mm F2.8 FF」を参考展示していた。ニコンFマウント用とキヤノンEFマウント用を用意する。税別5万6,000円で12月に発売する。
従来の「AT-X M100 PRO D」の外観をリニューアルした。光学系は変わっていない。繰り出し式を採用することで、インナーフォーカス式よりも小形軽量になるほか、ボケも綺麗という。ニコン用には絞りリングを備える。
サイトロンジャパン
LAOWAのマイクロフォーサーズ用MFレンズ「17mm F1.8 MFT」が展示された。税別2万円前後で近日発売する。
172gと軽量で、電動スタビライザーなどで使いやすいとする。また同ブランドの中でも低価格で、求めやすいことから写真撮影にも手軽に使って欲しいとのこと。
よしみカメラ
iZugarのマイクロフォーサーズ用魚眼レンズ「MKX200 3.8mm F/2.8-ASPH」を展示していた。9月に発売済みで、価格は税別12万8,000円。
画角が200度あり、VR映像の撮影などに向けたもの。絞りも内蔵している。周辺部のシャープさや色収差の出にくさを謳っていた。よしみカメラではカメラ2台を組み合わせて3D VR映像を撮影するためのリグも販売している。
ケンコープロフェショナルイメージング
HIVEブランドのLEDライト「BEE25-C」を展示していた。これまでのラインナップの中で最小となるモデルで近日発売する。付属品によって価格は異なるが、税別8万円からとなる。
オムニカラー(様々な色を照射できる)対応のライト。一般的なパネル型LEDライトより多い5色のLEDを使うことでより均一なスペクトルを実現している。色の変更などはタブレットで操作可能となっている。
また、Blackmagic DesignのPocket Cinema Camera 6K/4Kなどに適するVマウントバッテリーもあった。FXLIONの「NANO ONE」で、50Whタイプが税別2万2,760円。8月に発売した。
Pocket Cinema CameraのLP-E6タイプバッテリーよりも長時間の駆動ができる。マイクロUSBで充電できるため、別途充電器が必要ない。USB出力もあり、モバイルバッテリーとしても使用可能となっている。
イメージビジョン
Litraの新型LEDライト「LitraStudio」を展示していた。8万円〜9万円で12月に発売する予定。10mの防水機能を有するのが特徴。
オムニカラー仕様で、タブレットなどから色をコントロールできる。フラッシュ機能も搭載しており、シンクロ信号を受けて瞬間的に高出力で発光可能。ストロボよりも発光時間が長いため、シンクロスピードの制限を受けないという。交換可能なバッテリーを備える。
プロ機材ドットコム
FALCON EYESのLEDライト「F7」を展示していた。スマートフォンのような形状のバッテリー内蔵の薄型ライト。11月に税込1万8,000円で発売する。
オムニカラーに対応する。色などのコントロールは側面で行える。フルパワーで110分点灯可能。
平和精機工業
Libecブランドの電動スタビライザー「TH-G3」を展示していた。2020年1月に税別6万3,000円で発売する。ミラーレスカメラのほかEOS 5Dクラスのカメラも搭載可能となっている。
セルフィー機能やパノラマ撮影モードなど、動画制作者にあまり重要では無い機能を省くなどして、このクラスとしては価格を抑えているのがポイント。搭載可能重要は3.6kg。アプリのコントロール機能もシンプルなものとし、基本的な使いやすさを追求したという。
また同社ブースには「新型高機能軽量ヘッド」という動画用雲台が参考展示されていた。詳細な仕様は未定だが、従来品よりもカウンターバランスの範囲を広げ、小型カメラやミラーレスカメラなど軽量なカメラにも対応できるようになるという。発売は2020年末を予定している。
銀一
RODEのワイヤレスマイク「ワイヤレス ゴー」を展示。2.4GHz帯を使用するワイヤレスマイクで、税別2万6,000円と従来のワイヤレスマイクに比べて安価になっている。10月に発売済み。
バッテリー内蔵式で小形軽量なのが特徴。送信機にはマイクを内蔵しており、そのまま服などに取り付けて使える。オプションのラベリアマイクも装着可能。受信機とカメラを繋ぐケーブルなどが付属する。
マルミ光機
可変NDフィルター「ND 0.4-2.4(2.5-400)」を参考展示していた。発売は未定。
回しすぎによる色むらを抑えるためストッパーを内蔵した。加えて、回転用ツマミを設けて、回しやすくしている。カラーシフトの少ない偏光フィルムを採用したという。
ナックイメージテクノロジー
露出を変えずに被写界深度のみを変えるcmotionのシステム「Cinefade」を参考展示していた。一式300万円以上と一般向けではないが、技術的に興味深いので取り上げた。
可変NDフィルターと絞りをモーターで独立に制御することで、絞りを開けるとそれに合わせて露出が一定になるように可変NDフィルターが濃くなる仕組み。絞り込んだ場合は逆の動作をする。絞りと可変NDフィルターは連続的に動くので動画でも明るさが変わらないように見える。
専用のコントローラーは無線式で、絞り(被写界深度)のほか、フォーカス調整のダイヤルも備えている。
現在はハイエンドの映像制作用だが、こうしたシステムがいずれミラーレスカメラなどで手軽に使えるようになれば面白いと感じた。