イベントレポート
日本カメラ博物館、銀塩写真180年を見直す「フィルムカメラ展」
カメラ約400点、フィルム100点以上を展示
2018年11月6日 12:44
日本カメラ博物館において、「フィルムカメラ展」が10月23日より開催されている。
2019年に「銀板写真」として知られる世界初の写真撮影法「ダゲレオタイプ」の発明から180年を迎えるにあたり、現在の視点から銀塩写真やフィルムカメラを見直し、その魅力を紹介する趣旨。
同館が収蔵する古今東西、大小様々なフィルムカメラのほか、様々なフォーマットのフィルムも併せて展示している。フィルムカメラ初期の「ザ・コダック」をはじめ、レンジファインダーカメラ、二眼レフカメラ、インスタントカメラ、極小型カメラ、レンズ付きフィルムにいたるまで、幅広い機種を資料とともにまとめており、カロタイプのネガポジ法に始まるフィルムカメラの系譜を俯瞰できる内容となっている。
カメラおよびフィルムの実物と、カメラ史を解説するパネルが展示のメインだが、パネルの一つでは、フィルムの経年劣化に伴い生じる問題と、その対処方法についても言及。いわゆる「ビネガーシンドローム」やカビなどの問題発生を防ぐために保管のための処理や保管環境の整備を行なうことと併せて、モノとしての画像が失われる前に、スキャンや複写などによってデジタルデータへ変換し、バックアップを行なうことも推奨している。
「デジタルカメラで撮影した画像は、取り扱いを間違えるとデータであるため一瞬で消滅するのに対し、フィルムで撮影した画像は紛失や破損でもしないかぎり『もの』として長期保管できる。しかし『もの』であるがゆえに物理的な劣化が生じる。(中略)デジタルデータは、フィルムの出し入れで発生する傷のリスクを軽減できるだけでなく、プリントを依頼する店舗が近隣にない場合にも、インターネットによる送付や焼き増しが容易という利点もある。成熟した技術を最新技術で補完することができるのも写真の特徴と言えるだろう。」(パネル「私たちがフィルムにできること」より引用)
以下、展示カメラの一部を紹介する。
ザ・コダック
1888(明治21)年 イーストマン乾板フィルム会社(アメリカ)
100枚撮影可能なフィルムが装填された状態で販売され、撮り終わって会社に送り返すと、写真と新たなフィルムが入ったカメラが送り返されるシステムを確立した。
シネマトグラフとエジソン・キネトスコープ
シネマトグラフ:1895(明治28)年 ジュール・カーペンター(フランス)
キネトスコープ:1897(明治30)年 エジソンMFG(アメリカ)
最初期の映画機材。映画はフィルムがあってこそ完成された。
ライカI(A)
1925(大正14)年 エルンスト・ライツ(ドイツ)
ロールフィルムを使用する機種ならではの構造で、その後の小型精密カメラの基礎となり、現在にいたるまで知られる存在である「ライカ」の最初の市販モデル。
ポラロイド ランドカメラ95
1948(昭和23)年 ポラロイド(アメリカ)
「なぜ撮影した写真をすぐに見られないの?」というランド博士の娘の言葉から研究・開発が始まった。インスタント方式。現在でも同様の方式のカメラは愛好されている。