イベントレポート

日本カメラ博物館、銀塩写真180年を見直す「フィルムカメラ展」

カメラ約400点、フィルム100点以上を展示

日本カメラ博物館において、「フィルムカメラ展」が10月23日より開催されている。

2019年に「銀板写真」として知られる世界初の写真撮影法「ダゲレオタイプ」の発明から180年を迎えるにあたり、現在の視点から銀塩写真やフィルムカメラを見直し、その魅力を紹介する趣旨。

同館が収蔵する古今東西、大小様々なフィルムカメラのほか、様々なフォーマットのフィルムも併せて展示している。フィルムカメラ初期の「ザ・コダック」をはじめ、レンジファインダーカメラ、二眼レフカメラ、インスタントカメラ、極小型カメラ、レンズ付きフィルムにいたるまで、幅広い機種を資料とともにまとめており、カロタイプのネガポジ法に始まるフィルムカメラの系譜を俯瞰できる内容となっている。

展示会場
様々なフォーマットのフィルムを展示している

カメラおよびフィルムの実物と、カメラ史を解説するパネルが展示のメインだが、パネルの一つでは、フィルムの経年劣化に伴い生じる問題と、その対処方法についても言及。いわゆる「ビネガーシンドローム」やカビなどの問題発生を防ぐために保管のための処理や保管環境の整備を行なうことと併せて、モノとしての画像が失われる前に、スキャンや複写などによってデジタルデータへ変換し、バックアップを行なうことも推奨している。

「デジタルカメラで撮影した画像は、取り扱いを間違えるとデータであるため一瞬で消滅するのに対し、フィルムで撮影した画像は紛失や破損でもしないかぎり『もの』として長期保管できる。しかし『もの』であるがゆえに物理的な劣化が生じる。(中略)デジタルデータは、フィルムの出し入れで発生する傷のリスクを軽減できるだけでなく、プリントを依頼する店舗が近隣にない場合にも、インターネットによる送付や焼き増しが容易という利点もある。成熟した技術を最新技術で補完することができるのも写真の特徴と言えるだろう。」(パネル「私たちがフィルムにできること」より引用)

以下、展示カメラの一部を紹介する。

イーストマン・ロールホルダー

1888(明治21)年頃 イーストマン乾板フィルム会社(アメリカ)

イーストマン社が製造した剥離式のロールフィルムを装填し、乾板用カメラに装着して使用。

ザ・コダック

1888(明治21)年 イーストマン乾板フィルム会社(アメリカ)

100枚撮影可能なフィルムが装填された状態で販売され、撮り終わって会社に送り返すと、写真と新たなフィルムが入ったカメラが送り返されるシステムを確立した。

シネマトグラフとエジソン・キネトスコープ

シネマトグラフ:1895(明治28)年 ジュール・カーペンター(フランス)
キネトスコープ:1897(明治30)年 エジソンMFG(アメリカ)

シネマトグラフ
キネトスコープ

最初期の映画機材。映画はフィルムがあってこそ完成された。

ベストポケット・コダック

1912(大正元)年 イーストマン・コダック(アメリカ)

名称のとおり、ベストのポケットにも入るほど薄く折りたためる。大量に生産、輸出され、世界的にアマチュア層を拡大した。

ライカI(A)

1925(大正14)年 エルンスト・ライツ(ドイツ)

ロールフィルムを使用する機種ならではの構造で、その後の小型精密カメラの基礎となり、現在にいたるまで知られる存在である「ライカ」の最初の市販モデル。

ポラロイド ランドカメラ95

1948(昭和23)年 ポラロイド(アメリカ)

「なぜ撮影した写真をすぐに見られないの?」というランド博士の娘の言葉から研究・開発が始まった。インスタント方式。現在でも同様の方式のカメラは愛好されている。

ニコンF

1959(昭和34)年 日本光学工業(日本)

世界的に認められ、それまでのシステムを一掃するほどに普及。一眼レフカメラの位置を主流に押し上げた。

偽装カメラ、極小型カメラの展示もあった
レンズ付きフィルムの「撮りっきりコニカ」なども展示

開催概要


    会場:日本カメラ博物館
    住所:東京都千代田区一番町25番地JCII一番町ビル地下1階
    会期:2018年10月30日(火)~2019年3月10日(日)
    時間:10時~17時
    休館:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日の火曜日)
    入場料:一般300円、中学生以下無料、団体(10名以上)200円

関根慎一