イベントレポート
写真関連の機能強化も発表された「Synology 2019 Tokyo」
自動仕分け機能が強化 UIも刷新されてより使いやすく
2018年10月29日 07:00
NASメーカーのSynology Inc.は10月18日、自社主催のイベント「Synology 2019 Tokyo」を開催した。
同社とパートナー企業の製品・サービスを展示するイベント。昼から夕方にかけて実施する「カンファレンス」と、夕方から夜にかけて行なう「Synology Night」の2部構成で、ステージセッションや展示内容などが異なる。本稿では「Synology Night」の模様をお伝えする。
新機能と新製品を紹介
Synology Nightのイベント内容は、登壇者によるセッションと来場者参加の抽選会、クイズ大会。
Synology製品の新機能と新製品を紹介するセッションでは、Synology製品の国内販売代理店をつとめる株式会社フィールドレイクの倉石敬介取締役営業本部長が登壇。NAS「DiskStation」シリーズが2019年のアップデートで追加する新機能について説明した。
SynologyのNAS製品「DiskStation」の基本ソフト「DSM」については、初めて使う人でも迷うことなく操作できるよう、UIデザインの見直しを行なうほか、トラブル時のガイダンス機能を装備。トラブル原因と、推奨される解決法を提示する。
Synology製NASの基本ソフト「DSM」ではUIの刷新を行なう。
新バージョンではアイコンや通知の視認性を向上し、初めて使う人でも何が起きているか分かりやすい方向性の調整が施される。
写真関連の機能としては、写真の自動仕分け機能「Moments」に画像補正機能を追加。モバイルアプリにおいて、コントラスト調整や傾き補正、クロップなどを装備する見込み。また、新たにiOSのLive Photosに対応し、Live Photosに保存した写真もMomentsの自動仕分け機能の対象となる。
Momentsは、撮影した写真を専用のフォルダに保存することで、被写体を自動的に判別し、対象ごとにフォルダ分けする機能。昨年秋ごろに発表され、冬から春先にかけて実装された機能で、フォルダに写真を入れるだけで自動的に整理される操作の簡単さが特徴となっている。
モバイルアプリ版のMomentsでは、簡易的な画像調整や傾き調整機能が追加される見込み。
スマートフォンアプリについては、このほかDiskStationシリーズのセットアップを行なう「DS finder」において、スマートフォンからの初期設定に対応。PCレスでNASの設定が可能になる。
HDDおよびRAID関連の新機能としては、リビルドにかかる時間を大幅に短縮する「RAIDクイックリビルド」を装備する。RAIDを組んでいるHDDのうち1台が故障した場合、RAIDを構築し直すリビルドが必要になるが、このリビルドにかかる時間を短縮する。
リビルドにかかる時間の一例として、実効容量8TB、使用率40%のRAIDをリビルドする場合はこれまで8時間かかっていたが、「RAIDクイックリビルド」実装後は、所要時間3時間まで短縮できるとしている。
このほか、約300万台におよぶHDDの挙動を学習させたAIを用いて、HDDの故障を予測する機能を追加。HDDの挙動から故障の兆候を読み取って警告する予測検知機能を搭載することで交換時期を通知できるようになる。
また、問題のあるHDDに保存されているデータをほかのHDDにコピーした後、安全に取り外せる「HDD交換・即時データコピー」機能も追加する予定。
ファイルサーバー関連機能として主なものでは、「ファイルストリーミング」機能を装備する。ファイルを同期中、ファイルが更新されても、ファイルをまるごと置き換えるのではなく、変更のあった分だけ同期する「増分(差分)更新」を行なうことで、通信帯域の節約が可能になるとしている。
また、2012年にスタート「Cloud Station」シリーズは順次「Synology Drive」に置き換えられ、2020年中にメンテナンスを終了、2021年にはサポートが終了する。
「Synology Drive」は、新たにPCのスケジュールバックアップやバックアップ後の自動シャットダウンなどの機能を搭載する予定。細かいところではWindowsのExplorerやMac OSのFinderに近い使い勝手のUIに変更するほか、ファイルのタグ管理やリンク共有なども使えるようになるとしている。
5ベイのNAS「DS1019+」。
新機能が追加されるアプリ版の「Moments」は、まだ準備ができていないため展示はなし。
パートナーのブース展示では、NAS向けHDDやSSD、UPS(無停電電源装置)、デジタルサイネージ配信システムなどの展示が行なわれていた。
Western DigitalのNAS向けHDD「WD Red」。
同じく監視カメラ向けの「WD Purple」。
SeagateのNAS向けHDD「Ironwolf」。
crucialのSSD。HDDよりも容量が小さい代わり、10GbE対応NASなどローカル環境で高速なストレージシステムを組みたい際に威力を発揮するという。
オムロンのUPS「BY35S」。
ソニーはNASと連動するサイネージ向けのシステムをデモしていた。
来場者が入場時にもらうパスに記載された番号で抽選する抽選会。NASやHDDなど豪華賞品がもらえた。
クイズ大会の様子。マニアックな質問に来場者が苦戦していた。