ソニー、「α550」を特約店向けイベントで展示

~国内発売を「検討中」。α850とα500は現時点で「予定無し」

 ソニーは9日、都内で開幕した特約店向け内覧会「ソニーディーラーコンベンション2009」で、国内未発表のデジタル一眼レフカメラ「α550」を参考出品した。

α550会場の様子

 α550は、ソニーが8月28日に「α850」や「α500」とともに海外発表したデジタル一眼レフの新モデル。国内での展示は今回が初めて。同社によると、「現在、国内発売を検討中」としている。発売時期や価格については未定。米国では10月に950ドル(ボディのみ)で発売する。

 なお、α850とα500については、「今のところ、国内で発売する予定はない」とのこと。会場にもα850とα500の展示は無かった。

α550

 α550は、1,420万画素のAPS-CサイズCMOSセンサー「Exmor」を搭載するモデル。光学ファインダーやクイックAFライブビューと切り替えて使用できる撮像素子でのライブビュー撮影機能「Manual Focus Check Live View」(マニュアルフォーカスチェックライブビュー)を新たに搭載した。

 展示していたα550は自由に手にとって操作を体験できたが、海外版ということでメニューは英語になっていた。

 また、「オートHDR」機能も初搭載した。露出を変えて連写した2枚の画像を合成することで、ダイナミックレンジを拡大する機能。高速に連写するため手持ちでも使用可能としている。画像の合成は約2秒で完了し、1枚のJPEG画像として保存される。従来から搭載している「Dレンジオプティマイザー」とは別に動作する。「自然なダイナミックレンジの写真を手軽に楽しめる、という提案です」(説明員)。

 オートHDRは、自動のほかマニュアルでの撮影も可能となっている。ボディ上部の「D-RANGE」ボタンを押すことで、オートHDRなどの機能を呼び出せるようにした。

オートHDR機能の仕組みD-RANGEボタンを押したところ。Dレンジオプティマイザーの設定もここから行なえる
この作例では、オートHDR機能により黒ツブレが大幅に軽減していた

 連写速度は約7コマ/秒。上下チルト可能な液晶モニターも搭載する。記録メディアはSDHC/SDメモリーカードとメモリースティックデュオ系のデュアルスロット。ボディ内手ブレ補正機構や顔検出機能も搭載する。

 ソニーマーケティング デジタルイメージングマーケティング部αCAT課の北村勝司統括課長は、「ライブビューはソニーが一番いいと感じて貰えると思う。α550を国内で発売するとしたら、例えば子どものいる夫婦なら、子どもの撮影に便利なライブビュー機を選んでいただいて、ご主人が凝った撮影をしたいのであれば機能性を高めたα550を、奥様が主に使われるならα330という選び方がいいのではないか」と話した。

 αに関する年末商戦に向けては、「昨年の実績よりは上回ると思う。ただ、2008年が悪すぎたという部分はあるものの、国内市場の手応えはもう少しあってもいいと考えている」(北村氏)とした。αシリーズの国内シェアは現在10%程度とのこと。引き続き、デジタル一眼レフカメラ業界で3位を維持して行きたいとしている。「ニーズを読み取り、他社との違いをしっかり伝えていくことで、販売を積み上げていきたい。あくまで、シェアはその後に付いてくるものと認識している」(同)。

 またデジタル一眼レフカメラの今後については、「まだまだ、できそうでできないことも多い。AFやAEが完全に追従する高速連写の実現や、ライブビューのさらなる使い勝手向上など本当にユーザーに必要なことを1つ1つ対応していく必要がある。ユーザーは今までにない新たなニーズを探し始めており、新しい提案をしていくことで市場はさらに大きくなる」(北村氏)と述べた。

 会場には同じく8月28日に海外発表した交換レンズ「28-75mm F2.8 SAM」も展示してあった。ただし、国内での発売は今のところ未定との回答だった。米国では、11月に800ドルで発売する。

 会場の28-75mm F2.8 SAMは「製品版に近い製品」(説明員)とのことだったが、透明ケース内の展示で手に取ることはできなかった。同レンズは35mmフルサイズのデジタル一眼レフカメラに対応した標準ズームレンズ。ズーム全域で開放F2.8を実現している。

28-75mm F2.8 SAM28-75mm F2.8 SAM

デジタルフォトフレーム

 会場には、デジタルフォトフレーム「S-Frame」3製品の参考出品もあった。いずれも国内で投入する予定だが、型番、発売時期、価格、詳細なスペックなどは未定。

・プリンター付きデジタルフォトフレーム

 7型のデジタルフォトフレームと昇華型フォトプリンターが一体になった製品。落ち込みが続いているコンパクトフォトプリンター市場に、デジタルフォトフレームという切り口で提案する。「普段はデジタルフォトフレームとして使用し、知人などが来た場合にすぐプリントして渡す」といった使い方も提案する。「コンパクトフォトプリンタ市場はデジタルフォトフレームの伸びと反比例して縮小しているが、写真を紙に残したいというニーズが無くなることはない」(説明員)。

プリンター付きデジタルフォトフレームデジタルフォトフレームとして使用している状態
プリントする際は、本体を横に倒してディスプレイをチルトさせる記録メディアスロット
時計やカレンダーなど、ディスプレイ表示と同様にプリントできる

 用紙はLサイズと、KGサイズに対応。ディスプレイの右にはタッチ式の操作パネルを搭載する。メモリースティック系、SDHC/SDメモリーカード、CFのスロットも備える。

・スワロフスキーデジタルフォトフレーム

スワロフスキーデジタルフォトフレーム

 スワロフスキー製のラインストーンをあしらったデジタルフォトフレーム。サイズは7型。女性に向けて企画した。「新たな顧客を掘り起こしたい」(説明員)としている。


・9型デジタルフォトフレーム

9型デジタルフォトフレーム

 高画質技術「TruBlack」を省略することで、価格を抑えたデジタルフォトフレーム。既存の「DPF-A72」(7型)の9型バージョンになるという。比較的大型でかつ低価格なデジタルフォトフレームというニーズに対応する。ブラックとホワイトの2色を用意する。


既発表の製品

・α関連

左からα330、α350、α380軽量な点をアピールしていた
特約店向けのチラシも用意していた

・サイバーショット関連

裏面照射型CMOSセンサーを採用した「サイバーショットDSC-TX1」同じく裏面照射型CMOSセンサー搭載の「サイバーショットDSC-WX1」
従来機種との比較で低ノイズをアピールしていたパーティーショットも展示
カメラをフルだけで自動的にパノラマ合成ができる「スイングパノラマ」機能のデモ用に、円周状の被写体を用意していた

・スイングパノラマのプリントサービス

 ノーリツ鋼機が4日から開始したスイングパノラマのプリントサービスも展示していた。

4タイプをラインナップスイングパノラマのプリントを行なうノーリツ鋼機のミニラボ

年末商戦に絶対の自信

 開場に際して、ソニーマーケティング代表取締役社長の栗田伸樹氏が戦略説明を行なった。

ソニーマーケティング代表取締役社長の栗田伸樹氏AV市場出荷ベースの動向

 「ちょうど1年前のリーマンショックで、2008年10月から前年割れの厳しい業績になった。だが、エコポイントという追い風もあり、7月の薄型テレビの出荷は141%の伸びとなった。年末商戦に向けて回復の道を確かなものにしたい。今回は、強い商品力を持った製品を用意した。絶対の自信を持って年末商戦に望みたい。世界に誇る日本の家電がいち早く復活できるようにしたい」と意気込みを述べた。

 栗田氏は、裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」を搭載したコンパクトデジタルカメラ「サイバーショットDSC-WX1」と「同DSC-TX1」を「暗さに弱いというコンパクトデジタルカメラの常識を一気に変えたい」と紹介。また、自動撮影雲台「パーティーショット」については、「大ヒットの予感を感じさせるアクセサリー」と自信を見せた。

裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」搭載機をアピールパーティショットも採り上げた
αの売り場提案も実施こちらはサイバーショットとデジタルフォトフレームの売り場例

 ソニーディーラーコンベンションにおける今年のテーマは、「REAL TOUCH,REAL VALUE」。ネットワークに繋がる多くの製品群を持つ同社の総合力を結集させ、ネットワークによる新しい価値を訴求する。同イベントでは150機種以上の製品を展示し、期間中に約7,000人の来場者を見込む。

 ソニーでは、引き続きFIFAワールドカップサポートへの取り組みも行なっていくとしており、ワールドカップ関連のコーナーも設けていた。

中田英寿選手がFIFAワールドカップ(2006年ドイツ大会)で着用したユニフォーム(手前)なども展示していた。奥は2010年FIFAワールドカップ出場選手全員のサイン入りユニフォーム2010年から市場投入する3Dディスプレイ関連も大々的に扱っていた




(本誌:武石修)

2009/9/9 17:43