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エプソン、レンジファインダーデジカメ「R-D1xG」を生産終了
Reported by 本誌:鈴木誠(2014/3/17 13:33)
エプソンは、レンジファインダーデジタルカメラ「R-D1xG」の生産終了をWebサイトで告知した。3月14日の「エプソンプロセレクションブログ」記事において、販売終了に至った経緯を紹介している。
同ブログによると、R-D1はまだ写真愛好家の主流がフィルムカメラだったという当時に、高品位なインクジェットプリントを実現するためのデジタル入力機器として開発。近年はデジタル技術の進歩により環境が整ってきたため、入力機器としての役割を終えたと考え、R-D1xGを最後に販売終了となった、としている。
R-D1は、2004年8月に発売された世界初のレンジファインダーデジタルカメラ。コシナのフィルムレンジファインダーカメラ「ベッサR2」をベースにしており、ライカMマウント互換のVM(EM)マウントを採用する。撮像素子はAPS-Cサイズ相当のCCDセンサー。
フィルム巻き上げレバーを用いた手動のシャッターチャージや、巻き戻しノブの部分に各種操作用のダイヤルを配するなど、R-D1を追うように登場したライカのM型デジタル機にもない独特の操作性が特徴。被写体が見える大きさが肉眼と変わらない等倍のファインダーを搭載するレンジファインダーデジタルカメラは、2014年現在もR-D1シリーズのほかに登場していない。
シリーズは初代のR-D1に続き、「R-D1s」(2006年3月発売)、「R-D1xG」(2009年4月発売)が登場。R-D1xGは、のちにR-D1にもアップデート提供される機能向上などを盛り込んだR-D1sをベースに、液晶モニターを固定式とするなどの変更を加えた。
初代R-D1は、2005年のカメラグランプリにおいてグランプリの「コニカミノルタ α-7 DIGITAL」に続くカメラ記者クラブ特別賞に「ニコンF6」と並んで選ばれた。世界初のレンズ交換式レンジファインダーデジタルカメラであることや、クラシックカメラファンにデジタルの魅力を伝えられる点が評価ポイントだった。
なお、本誌が2013年末に行なったデジカメWatch読者環境調査においても、本誌読者の1%(有効回答7,596件のうち77件)が昨年末の時点でR-D1シリーズを所有しているという結果が出ている。
R-D1に続くレンジファインダーデジタルカメラは、ライカ初のM型デジタル機「ライカM8」がAPS-Cより一回り大きいAPS-Hセンサーを搭載して2006年12月に登場。2009年には初の35mm判相当のCCDセンサーを搭載する「ライカM9」が発表された。2012年にはCMOSセンサーの採用でライブビューや動画撮影も可能にした「ライカM」が登場している。
記事末には、本誌および本誌創刊以前のPC WatchにおけるR-D1関連記事をピックアップした。R-D1xGの販売終了に寄せて、この10年を振り返りたい。