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“AIプロセッシングユニット”搭載のAPS-C最上位機「α6700」。BIONZ XRで高速化・前ダイヤル装備

α6700

ソニーは、ミラーレスカメラ「α6700」を7月28日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格(税込)は、ボディ単体が21万8,900円、レンズキット(「E 18-135mm F3.5-5.6 OSS」付属)が26万2,900円。

同社APS-Cミラーレスカメラ“α6000シリーズ”の最新モデル。これまで“フルサイズα”のみで採用例のある新画像処理エンジン「BIONZ XR」をAPS-C機として初搭載。AIプロセッシングユニットによるリアルタイム認識AFへの対応など、フルサイズ機の最新機能をコンパクトなAPS-C機に凝縮。動画性能においても、同社の動画専用機「Cinema Line」がもつ映像制作に特化した性能・機能を備えたとアピールする。

E 18-135mm F3.5-5.6 OSSを装着

26MP裏面照射型センサーと最新画像処理エンジン

イメージセンサーには、有効約2,600万画素の裏面照射型CMOS「Exmor R」を採用した。裏面照射型としたことで、高い解像性能、高感度撮影時の低ノイズ性能、広いダイナミックレンジを実現したとしている。従来モデル「α6600」(2019年11月発売)は2,420万画素の表面照射型CMOS「Exmor」だった。

画像処理エンジン「BIONZ XR」の採用により、「BIONZ X」を搭載したα6600との比較において処理能力が最大約8倍高速化された。大幅な画質の向上を実現したほか、メニュー操作におけるレスポンスも向上したとしている。

AEアルゴリズムには、“α7R Vなどフルサイズ機で培った進化したアルゴリズム”を採用しており、AE制御の安定度がα6600比で約20%向上したという。静止画/動画いずれの撮影時にも、人肌の再現性が向上したほか、空や緑をより自然な色合いで再現可能としている。

光学式5軸ボディ内手ブレ補正機構は、5段分の補正効果を有する。新アルゴリズムを採用し、補正段数にはあらわれない、1画素レベルの微細なブレ量を検出して補正するという。

α6000シリーズでは初めて、HEIFフォーマットの記録に対応した。RAWファイルデータは、ロスレス圧縮に対応(画像サイズは選択不可)。このほか、記録したHEIF画像を対応する4KブラビアTVと接続して鑑賞できる「HLG(Hybrid Log-Gamma)静止画モード」も新搭載した。プリントでは難しい、従来よりもレンジの広い画像を楽しめるとしている。

全10種類のプリセットからなる「クリエイティブルック」も搭載。コントラスト、彩度、シャドウなど8項目の微調整に対応し、静止画/動画で自分好みの表現が可能としている。

AIプロセッシングユニットの搭載

フルサイズ機の「α7R V」と「VLOGCAM ZV-E1」で採用例のあるAIプロセッシングユニットが搭載された。被写体の骨格情報を使った高精度な「リアルタイム認識AF」に対応し、人物の瞳の認識精度についてはα6600比で約60%向上したという。

被写体認識は、α7R Vと同様に人間、動物、鳥、昆虫、車・列車、飛行機に対応する。動物に対する認識性能はα6600比で約40%以上向上。リアルタイムトラッキングにおいても被写体認識性能が大幅に向上したとしている。なお、α6600は人物と動物に対応するリアルタイム瞳AFを搭載していた。

AIプロセッシングユニット

静止画撮影時のAF測距点は、従来の425点から最大759点に増加。イメージセンサーの撮像領域93%をカバーする。

連写速度はAF/AE追従で最高約11コマ/秒。サイレント撮影においても同様の連写速度としている。連続連写枚数は1,000枚以上。

「フリッカーレス撮影」機能も搭載。メカシャッター撮影時に、人工光源の点滅によるフリッカーを自動で検知し、フリッカーによる影響が少ないタイミングで撮影する。

このほか、α7R Vでも搭載された「フルタイムDMF機能」や「フォーカスブラケット機能」が利用できる。

Cinema Lineの動画性能も

6Kオーバーサンプリングによる4K 60p/120pの動画記録に対応。S&Qモードでは4Kで最大5倍、FHDで最大10倍のスローモーション撮影が可能。常用ISO感度はISO 100-32000。ダイナミックレンジは14+ストップ(S-Log3動画撮影時)。

動画撮影時の手ブレ補正を大幅に強化する「アクティブモード」も利用可能。VLOGCAM ZV-E1に搭載された、カメラが自動で構図を調整する「オートフレーミング」も備えた。

Cinema Lineをはじめとした動画向けカメラに搭載されている、カラーグレーディング不要でシネマルックが得られるという「S-Cinetone」記録にも対応。

ポストプロダクション時に映像づくりがしやすくなるというS-Log3記録も可能とする。Log撮影モード時にLUTをモニター映像に表示する機能も搭載した。

動画撮影時のリアルタイム認識AFにも対応。AFは撮像面での位相差検出方式を組み合わせた「ファストハイブリッドAF」方式。

撮影時に記録される、Embed LUT、手ブレ補正、ブリージング補正、カメラの回転情報、ムービーマーク(ショットマーク)といったメタデータを、Catalyst Browse/Prepare/Pluginを使用したポストプロダクションで活用可能としている。

このほか、AFからMFにシームレスに切り替えられる「AFアシスト」、映像の被写界深度を可視化する「フォーカスマップ機能」、フォーカシング時の画角変動を抑える「ブリージング補正機能」を備えた。

外観・バッテリーほか

外形寸法は69.0×122.0×75.1mm。重量は408g(本体のみ)、493g(バッテリーとメモリーカード含む)。外観形状は従来のα6000シリーズを踏襲しながら、α6600よりグリップの厚みを増したことでホールド性を向上したという。

背面モニターはα6000シリーズで初となるバリアングル式(3.0型、約103万ドット)を採用。タッチフォーカス、タッチトラッキング、タッチシャッターのほか、再生時の画像送り、ピンチイン・ピンチアウトなどのタッチ操作に対応する。

EVFは約236万ドットのXGA OLED。ファインダー倍率は約1.07倍。ファインダーの輝度はα6600の約2倍に向上。通常の2倍のハイフレームレート(120fps)で表示できるモードも備えた。

右肩部フロント側には、これもα6000シリーズでは初めて「前ダイヤル」を搭載した。RECボタンは天面に配置した。

バッテリーは「Zバッテリー」を採用。撮影可能枚数はファインダー使用時で約550枚、背面モニター使用時で約570枚。USB PDに対応するUSB Type-C端子を備える。記録メディアはSDカード(UHS-II対応)でシングルスロット。

モバイルアプリ「Creators' App」にも対応する。

本誌:宮本義朗