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「ライカQ3」実機レポート。ライカQ2との違いは?

ライカカメラ社が6月3日に発売する「ライカQ3」の実機レポートをお届けする。なお、5月27日からライカストアで実機展示を行うという。

35mmフルサイズセンサーと28mm F1.7のレンズを搭載した「ライカQ」シリーズは、2015年の初代から数えて3代目となり、いまやライカの看板機種となった。ライカカメラ社主のアンドレアス・カウフマン氏は「初代ライカQの発売当時は未知数のカメラだった。当初は数千台を販売する程度の計画だったが、ライカQ2が独自の成功を収め、ライカQ3がこれから新たな物語を作る」と話す。

同社カメラ部門プロダクトマネージメント部長のイェスコ・フォン・エーンハウゼン氏は、ライカQシリーズはユニークなコンセプトを持つカメラで、レンズを通じて撮影者と被写体が簡単に繋がれることがテーマだと説明。最新のライカQ3は、今の時代のコミュニケーションにも対応した日常使いしやすいカメラだと紹介した。

そのライカQ3の主なスペック的な進化は、新たに6,000万画素センサーを搭載し、DNGファイルサイズを60MP/36MP/18MPから選べるようになった点。従来のライカQ2は有効4,730万画素センサーを搭載していた。AFも位相差検出方式とのハイブリッドになり、機能と速度の向上をアピール。ストリート写真やマクロ写真に便利というチルト式モニターも新採用している。

最高ISO感度がISO 100000となり、従来より1段アップ。ダイナミックレンジと高感度画質が向上しているという。
光学式の手ブレ補正機構を継承。
デジタルクロップは、新たに90mm相当も利用可能に。
レンズ根元を「MACRO」位置に回転させると、最短0.17mのマクロモードに移行。被写界深度と距離の指標も切り替わる。
背面モニターが上下チルトに対応

正面デザインはほぼ同じだが、背面の操作部レイアウトには大きな変更が加えられている。背面左手側に並んでいたボタンは、右手で操作が完結するよう移設。Fnボタンは背面モニター右上に1つ増設しており、全体としてのボタン数は減っていない。そのほか、天面右手側のダイヤル(中央部分はボタン)も従来通り。

出荷時設定では、背面モニター右上のボタンは「デジタルクロップ(28mm/35mm/50mm/75mm/90mmのトグル)」と「動画/静止画モードの切り換え」が割り当てられていた。

ライカQ2(右)と比較
搭載レンズのスペックは同じ。ズミルックス f1.7/28mm ASPH.
同梱バッテリーは大容量化した「BP-SCL6」(税込2万5,300円)に変更。(左:ライカQ3同梱の7.2V 16Wh。右:ライカQ2に同梱の7.2V 14Wh)。

スマートフォンなどとの接続性も向上。ライカ純正アプリ「Leica FOTOS」との接続速度は約10倍に向上し、6,000万画素のDNGデータを2〜3秒で転送できるという。iOS端末とは有線接続もサポートしている。

ライカQ3に別売ハンドグリップとワイヤレスチャージャーXLを組み合わせると、Qiワイヤレス充電も可能。ワイヤレス充電に対応するデジタルカメラはとても珍しい。USB Type-C端子からの充電にも対応している。

別売ハンドグリップ(HG-DC1)装着例
ライカQ3+HG-DC1(税込2万8,600円)+ワイヤレスチャージャーXL。
ワイヤレスチャージャー XL(HG-DC1用)。価格は税込2万6,400円。ライカQ3のほか、iPhoneやAirPodsといったQi対応デバイスへの対応も謳っている

ライカQ3のAFは、像面位相差AFとコントラストAF(DFD技術による空間認識)を組み合わせた。コントラストAFのみの従来と比べて5倍のスピードだという。人物に加えて動物の顔検出にも対応。連写は最高15コマ/秒に対応する(AF追従は4コマ/秒)。

29日14時30分追記:記事初出時に「AF追従は最高15コマ/秒まで対応する」と記載していましたが。取扱説明書によるとAF追従の連写は4コマ/秒まで(連写速度は最高15コマ/秒)だったため、該当部分を修正しました。

カメラの見た目をカスタマイズできる別売アクセサリーも登場。クラシカルなスリットタイプのレンズフード、サムレスト、レリーズボタン、ホットシューカバーがあり、カラーは3色。シルバーとブラックがアルミ製で、ブラスは真鍮製。サムレスト(ボタン配置が異なる)とレリーズボタン(シャッターボタンのネジ切りがない)以外はライカQ2もしくはライカQで使いたいとして、すでに多くの問い合わせが入っているという。

アクセサリー装着例
「ブラス」は真鍮製。表面にクリアを吹いているようで、スムースな手触り
真鍮製のフードは重量があるため、装着時の感触にも注目

製品発表イベントに登壇した写真家のコハラタケルさんは、発表に先駆けてライカQ3を試用し、東京と京都のライカギャラリーで行われる写真展「撮縁」(5月27日〜8月27日)の作品を撮り下ろした。

ライカQ3を手にした当初は「チルト式モニター」や「テザー撮影対応」といったスペック面に注目したが、使用するうちにライカQ2から一新された絵作りに大きな魅力を感じ、機能面でも絵作りの面でも全面的にライカQ2を上回る存在になったという。絞っても柔らかさを失わない(いわゆる“カリカリ”にならない)写りが印象的で、ぜひライカギャラリーの展示作品を通じて確認してほしいとのことだった。

コハラタケルさん。ライカギャラリー東京(ライカ銀座店2階)にて
歴代のライカQシリーズ。奥からライカQ(2015年)、ライカQ2(2019年)、ライカQ3(2023年)
ライカQ3 - オンライン発表会(ライカ公式)
ライカQ3実機レポ。写真家コハラタケルさんのインプレ&写真展紹介も(デジカメ Watch Channel)
本誌:鈴木誠