ニュース

2020年のデジタルカメラ総出荷は888.6万台。前年比4割減

CIPAの2020年12月統計および年間累計より

一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)は2月1日、2020年12月のデジタルカメラ生産出荷実績(同工業会統計)を公開した。世界全体の総出荷台数および金額は、前月に引き続き減少傾向を示した。しかし国内市場に目を向けると、ミラーレスカメラおよび一眼レフカメラは前月から伸長。国内のデジタルカメラ全体の月別出荷台数・金額はともに、年間で2位という結果だった。

概況

12月のデジタルカメラ総出荷台数は84万5,621台で、金額は458億4,163万4,000円を記録した。11月の記録(総出荷台数:104万371台、金額:541億2,511万2,000円)と比較すると、台数が18.7%、金額が15.3%後退した。秋から年末にかけて緩やかに減少していく動きは、過去3年間も同様の傾向を見せていた。

内訳をみていくと、ミラーレスカメラの出荷台数が32万2,548台、金額が304億2,803万円を記録。台数が前月比83.2%、金額が86.0%だった。一眼レフカメラにおいてはさらに減少幅が大きく、出荷台数が19万5,730台で前月比70.3%、金額が87億1,216万1,000円で前月比78.5%という結果になった。

レンズ一体型カメラも同様に前月から減少の動きを見せた。出荷台数が32万7,343台(前月比87.5%)、金額が67億144万3,000円(前月比84.7%)を記録している。

国内の状況

世界全体の動きとは反対に、国内市場は前月に引き続き増加傾向となっている。デジタルカメラ全体の出荷台数は13万8,026台(前月比106.3%)、金額は56億5,605万4,000円(114.7%)を記録。年間でも、台数が7月(14万1,411台)に次ぐ2位、金額が9月(59億3,011万4,000円)に次ぐ2位という結果だった。

特に大きく伸びたのはミラーレスカメラで、台数が4万4,141台(前月比125.4%)、金額が37億1,164万6,000円(前月比121.9%)。台数が年間で1位を、金額が9月(41億2,062万2,000円)に次ぐ2位を記録した。

一眼レフカメラも前月より伸長している。台数が1万2,160台(前月比109.2%)、金額が5億9,350万9,000円(前月比125.3%)。年間では、台数が1月(1万6,560台)に次ぐ2位、一方金額は1月(12億1,189万3,000円)、2月(8億603万円)、6月(6億5,955万1,000円)、3月(6億5,378万5,000円)に次ぐ5位という結果だった。

前月好調だったレンズ一体型カメラは僅かに減少傾向を見せた。台数が8万1,725台(前月比97.8%)、金額が13億5,089万9,000円(前月比95.7%)を記録している。

国外の状況

国外全体のデジタルカメラ出荷台数は70万7,595台(前月比77.7%)、金額は401億8,558万円(前月比81.7%)を記録。日本以外の地域では台数と金額ともに、概ね減少傾向を示した。

台数の内訳はミラーレスカメラが27万8,407台、レンズ一体型カメラが24万5,618台、一眼レフカメラが18万3,570台という順番だった。金額ベースで見るとミラーレスカメラが267億1,638万4,000円、一眼レフカメラが81億1,865万2,000円、レンズ一体型カメラが53億5,054万4,000円を記録しており、ミラーレスカメラが頭ひとつ抜けた結果となった。

台数別・金額別のミラーレスカメラ、一眼レフカメラ、レンズ一体型カメラの割合については、中国や欧州、米州向け市場においても概ね同様の傾向を示しており、台数と金額ともにミラーレスカメラが優勢となっている。

2020年の累計

世界全体のデジタルカメラ年間累計出荷台数は888万6,292台で、金額が4,201億3,770万6,000円を記録した。前年比では台数が58.5%(前年:1,521万6,957台)、金額が71.6%(前年:5,871億4,300万2,000円)だった。

日本国内のデジタルカメラ全体の出荷台数は129万5,575台(前年比55.9%)、金額は488億5,860万2,000円(前年比64.3%)だった。とくに一眼レフカメラの減少幅が大きく、台数が11万7,491台で前年比40.8%、金額が68億4,446万9,000円で前年比49.8%という結果だった。ミラーレスカメラは台数が32万8,571台(前年比60.3%)、金額が268億8,425万6,000円(前年比76.3%)を記録している。

2020年は年間をとおして、世界全体で総出荷台数および金額が低調に推移した。とくに2月から5月にかけては長期間にわたり減少傾向を示しており、年間累計としてもCIPA統計にミラーレスが含まれた2012年から最低水準の結果となった。しかし、6月から年末にかけては増加傾向もあり、12月の金額が前年同月(421億3,945万6,000円)を上回るまでの回復を見せた。2021年に入り、既にミラーレスカメラの新機種も複数台発表された。2020年からどのような市場の推移をみせるのか、引き続き注視していきたい。

本誌:宮本義朗