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7月の勢いから転じて国内のデジカメ市場に冷え込み

世界的には回復傾向を示す CIPA8月の統計より

一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)が2020年8月のデジタルカメラ生産出荷実績(同工業会統計)を公開している。状況は前月から引き続き回復傾向を示しており、回復基調に転じた6月から3カ月連続で上向きの状況を記録することとなった。

概況

8月の総出荷数は68万3,933台となり、金額は320億5,146万4,000円を記録した。前月の7月と比較して、台数・金額ともに伸びてはいるものの、小幅な上昇にとどまっている。参考までに前月の記録をみると、台数は65万6,604台、金額では318億352万8,000円となっていた。

内訳をみていくと、ミラーレスカメラは22万4,228台(金額:191億6,762万4,000円)で、一眼レフカメラは17万3,839台(65億9,705万5,000円)、レンズ一体型は28万5,866台(62億8,678万5,000円)となっている。

前月(7月)実績との違いをみていくと、レンズ一体型のみ台数および金額の減少がみられるものの、ミラーレス機と一眼レフ機はともに台数・金額ともに伸びていることが読み取れる。

ただ上昇傾向にはあるものの伸び幅はごく小さく、台数・金額ともに前月の傾向から大きな変化は生まれていない。

国内の状況

国内市場は、これまで同様ミラーレス一強といっていい状況が続いている。一眼レフ機とミラーレス機を比較してみると、台数では約3倍、金額ではおよそ5倍ほどの開きがある。

7月の伸びが大きかったミラーレス機だが、8月は一転して下降傾向を示している。7月実績との比較で数字の動きを追っていくと、台数は3万2,748台(7月)から2万3,506台(8月)に。金額では29億8,406万1,000円(7月)から18億8,714万3,000円(8月)となっており、前月を大きく割りこんでいる。

この下落傾向は一眼レフカメラもレンズ一体型でも同様となっており、前月比でいずれもマイナス側に振れている。

国外の状況

国外市場は、前月と比べて全体的に伸びている。ミラーレス機、一眼レフ機、レンズ一体型、それぞれ前月比100%以上となっており、プラス側に振れている。

地域ごとの内訳をみていくと、中国・欧州・アメリカ・その他の地域で、ミラーレス機が優勢となっている。唯一、日本および中国以外のアジア地域で、一眼レフ機がミラーレス機を上回っている状況にある。

7月の実績では、欧州でミラーレス機と一眼レフ機の溝が大きく開いていたが、8月の実績では僅差といえるレベルで両者は拮抗している(いずれも台数ベース)。金額面でのミラーレス機と一眼レフ機との差は依然として大きいままとなっている。

アメリカでもミラーレス優勢の状況は変わらず。一眼レフ機との差は、台数ベースで約9,000台ほどとなっており、7月実績の傾向から大きな変化は生まれていない。

本誌:宮澤孝周