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PENTAXが「K-3 Mark III」で体現するブランドステートメントとは

“目に見えない”部分へのこだわりを高橋社長が語る

リコーイメージングは12月22日、同社APS-C機のフラッグシップモデルとして開発を進めている一眼レフカメラ「K-3 Mark III」の動作機を披露する内覧会を実施した。

K-3 Mark IIIの外観など詳細はこちら→【速報】「PENTAX K-3 Mark III」の実機が初公開

本機は、同社が7月に公開した動画「これからのPENTAXカメラが大切にしていくこと」にて詳細なコンセプトが公開されていた。新たに開設された同社Webページ上の特設コンテンツ「新APS-Cフラッグシップモデル最新情報」では、APS-Cフォーマットカメラのフラッグシップモデルにどのような想いが込められたのかがつづられている。

代表取締役社長が語る“K-3 Mark IIIへの想い”

内覧会の冒頭では、同社代表取締役社長の高橋忍氏が登場して、本機に込められた想いについて改めて解説する場面があった。

高橋忍氏(リコーイメージング株式会社 代表取締役社長)

「後継機という枠を超えた進化」

本機にかける大きなコンセプトについては、従来モデル「PENTAX K-3 II」の後継機という枠を超えた進化を実現したとしている。訴求するポイントは4つ。

「光学ファインダー」は見かけ視界がフルサイズ一眼レフに匹敵するという新開発のものを搭載。徹底的に磨き上げたという「操作性」は、握り心地にこだわったグリップ形状や気持ちの良いシャッター感覚などを目指して開発を進めていったという。「画質」については、イメージセンサーや画像処理エンジン、アクセラレーターユニットをすべて一新したことで、機能・性能ともに大幅な向上を実現できたと説明。「速写性」として、新規開発したAFシステムや最高約12コマ/秒の撮影が可能になった点もアピールする。

上述した進化ポイントについて、高橋氏は「最高レベルのカメラを作ろうということで、画質や操作性など、すべての部分で練り上げてきました。少し時間はかかりましたけれども、良いカメラができたと思っています」と振り返った。

「K-3 Mark III」で体現するブランドビジョン

4つの進化ポイントを訴求する一方で、高橋氏は仕様表では見えてこない“目に見えない”部分へのこだわりについて語った。

7月配信の動画「これからのPENTAXカメラが大切にしていくこと」で、同社は一眼レフ機で体現していくブランドステートメントについて発表していた。最高の写真体験の提供を核に、「K-3 Mark III」を、ブランドステートメントを体現する製品の第一弾として位置づけている。その中でも特に3つポイントについて高橋氏が強調した。

1つ目は「光学ファインダー」へのこだわり。光学ファインダーは一眼レフの象徴だと話す高橋氏は、生(ナマ)の光を写し、生の映像を直接目で見ることで、“被写体と対話をするように”撮影を楽しんで欲しいと話す。本機には新開発したという光学ファインダーが採用されているが、それは数値上に見えるファインダー倍率の大きさだけではなく、「色味」「ピントやボケ具合の確認のしやすさ」「四隅の見え方」という部分にも徹底的にこだわっているという。

2つ目は「撮影プロセス」へのこだわり。光学ファインダーを通して、想像力を駆使しながら“頭の中で思い描いて、気持ちを込めて”シャッターをきる。そこに楽しみやワクワク感を見出してもらうことができるよう、光学ファインダーやグリップ形状、心地よいシャッター感覚など、官能性にこだわっているため、一連の撮影プロセスとして存分に楽しんで欲しいと語った。

3つ目は、「画作り」へのこだわり。撮影者が被写体と向き合ったときに心に刻まれた印象や色のことを同社は、“印象色”と呼んでいると説明。この印象色を写真の色としていかに再現するかということに、これまでも挑戦し続けてきたのだという。

PENTAXの従来機においても、単に人物や風景だけではなく、「雅」「ほのか」「リバーサルフィルム」などという個性的なモードを揃えたカスタムイメージを搭載している。これらは、パラメータの調節によって、撮影者の“印象”に合うようにコントロールをすることができる。「K-3 Mark III」では、一新したイメージセンサーや画像処理エンジン、アクセラレーターユニットの搭載や、実際に繰り返しテスト撮影を行い官能評価を繰り返してきた中で、さらにディテールの処理や質感表現を進化させているという。

“目に見えない”価値

高橋氏は、これらのブランドビジョンについて、体験に重きを置いていることもあり、言葉でうまく表現できるものではないと話す。本機でこだわった光学ファインダーの見え味や、操作感、シャッター感覚や画質などは仕様表から感じることはできない。ぜひ、実際に体感し楽しんでいただきたいと語った。

本誌:宮本義朗