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富士フイルムX-Pro3の外装素材は「TranTixxii」

日本製鉄による“デザイニングチタン”

FUJIFILM X-Pro3 DRシルバー

日本製鉄株式会社は3月12日、富士フイルムのAPS-Cミラーレスカメラ「FUJIFILM X-Pro3」のボディ外装に用いられているチタン素材について、同社の製品が採用されていると発表した。

X-Pro3は、富士フイルムAPS-C機における最新世代となる有効約2,600万画素のX-Trans 4センサーと、画像処理エンジンX-Processor 4を搭載したミラーレスカメラ。レンジファインダースタイルのボディデザインを採用しており、OVFとEVFの切り替え表示が可能。背面モニターを“隠し”仕様とするなど尖ったコンセプトで展開している。ボディの外装素材にチタンを採用したことで、発表時に大きな話題を呼んだ。

2019年11月28日に開催されたメディア向け説明会スライドより

同機で採用されたチタン素材は、デザイニングチタン「TranTixxii」(トランティクシー)というもの。チタンならではの耐食性に加え、耐変色性を保ちつつ色彩や色調といった意匠性を独自の技術で加味・実現しているという。

素材名称の由来は、Transcend / Transform(超える、変化する)+Titanium+22(チタンの原子番号=xxii)。これらTran(超える、進化する)+Ti(元素記号)+xxiiの組み合わせで、“TranTixxii”となっている。

チタン素材は“軽い・強い・錆びない”といった素材特性から、幅広い分野で採用されている。同社資料によれば、1970年代には建築の分野などで意匠性を高めたチタンが採用されるようになったが、一部のチタンで表面が銀色から茶色に変色する現象が発生。同社は、この変色のメカニズムに着目し、この変色の原因となる表層の不純物を取り除く技術を確立して、耐変色チタンの開発に成功した、と説明されている。

TranTixxiiは、そうした同社の技術と技術パートナー企業の技術があわさって誕生に至ったという。

さらにTranTixxiiの特徴をみていくと、100種類以上の色調バリエーションへの対応が可能であることや、紫外線や海水に負けずに鮮やかな色を保持できること、酸性雨でも変色しにくいことなどが挙げられている。

X-Pro3でトップカバーとベースプレートにチタン素材を用いたことについて、富士フイルムは「手に触れたときの懐かしい冷たさと、それなのに心が温かくなる感覚。失われることのないエイジレスな輝きはチタン外装特有のもの」だとして訴求している。

なお、TranTixxiiの展開例としては、時計やテーブルウェアのほか、建築でも用いられており、浅草寺・本堂(東京、ブラスト[AD03]仕上げ)、龍王神社・拝殿(熊本、IP Gold Titanium仕上げ)などがある。

本誌:宮澤孝周