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ニッシンの新しい“マシンガンストロボ”「MG10」詳報

連写対応の高耐熱仕様 カメラを取り替えやすい新モードも

ニッシンジャパン株式会社は8月28日、ストロボ新製品「MG10」のタッチ&トライが可能なセミナーを銀一スタジオショップで開催した。本稿ではイベント内で紹介された製品仕様についてお届けする。

MG10登場の経緯

連写でもオーバーヒートしない高耐熱ストロボとして注目を集めた、マシンガンストロボこと「MG8000」(2012年発売)。もともと後継機種の予定はなかったそうだが、生産終了後も市場からの強い要望があり、「オーバーヒートしない、止まらない」というMG8000のコンセプトを継承する新製品として「MG10」が登場した。MG10も、MG8000と同様にクオーツ放電管を採用している。

MG8000(生産終了)

クリップオンタイプだったMG8000に対し、MG10はグリップタイプに変更。グリップタイプのストロボといえばナショナル製品(いわゆる”ナショP”)が有名だが、3〜4年前にサポートが終了している。「MG10の登場は、グリップタイプのストロボを望む方々にインパクトがあったのでは」とニッシンジャパンの担当者は語る。こうしたストロボを求める声は、報道の分野からも強かったそうだ。

旧モデル「MG8000」との仕様比較。

MG10の使い方

MG10はグリップタイプのため、付属のブラケットを介してカメラの三脚ネジに固定する。発光に関する操作は同社コマンダー「Air10s」との組み合わせを前提にしており、MG10本体の背面操作部はシンプル。Air10sはフォーサーズ用も9月には発売となる見込みで、これで当初予告していた5マウントが出そろう。

MG10とコマンダーの「Air10s」

MG10には、コマンダーが動かないときなどの非常用としてシンクロターミナルも備わっている。その場合はマニュアル発光のみ可能で、MG10側で光量調整できる仕組みになっている。

シンクロコード接続時の光量設定。

ズーム機構は24-200mm相当の画角をカバー。内部のマグネットと外側のカバーがマグネットで連動している。ズームユニットを内部に持つとヘッドが大きくなり、市販のストロボ用アクセサリーが付かないことがあるために考案された。

特許取得済みの「マグネットスライド式外部オートズーム」。ズームカバーは取り外しも可能とした。
ワイドパネル装着で16mm相当の画角にも対応する。
フィルターホルダーとアンバーフィルターが付属。ニッシン初という。

発光部にはLEDのモデリングライトも装備。8Wで、光量は25段階に調節できる。最大光量時は4時間発光する。電池残量が減ってくるとストロボの発光を優先するため、モデリングランプは暗くなる仕様。そのため、長時間のモデリングランプ使用時は外部電源が有効としていた。

ズームカバーを外したところ。左右にLEDモデリングライトが備わる。
外部電源(パワーパックPS8)を繋いでスタンドにセットしたところ。
外部電源ソケット。MG10にはソニー用のソケットが付いているため、PS8の使用時は対応する電源コードが別途必要になるという。
側面に三脚ネジ穴がある。ヘッドとグリップ部の中間でバランスが取れるようにした。付属の簡易型アンブレラホルダーなどを付けられる。
アクセサリー装着例。ズームカバーを外せば、ヘッドを挟むタイプも取り付け可能だという。汎用性を意識したポイント。

リチウムイオン充電池に対応

ニッシンジャパンで動作確認済みのものは、Amazonから2本で4,000円程度買えるとのこと。

MG10には、「単3電池8本用マガジン」と「保護回路付き26650型リチウムイオン充電池用マガジン」の2つが付属。26650型リチウムイオン充電池は大容量ながら充電時間も短く、また軽く小さいため、ストロボ本体にセットする電池として好ましいとして採用された。

多くのストロボメーカーでは独自にパッケージングしたバッテリーパックを提供するが、ニッシンでは26650型リチウムイオン充電池をそのままマガジンにセットして使えるのが特徴だ。同社としても新しい取り組みだそうで、今後も新しい情報をWebサイトなどで随時発信していくとしていた。

マガジンにセットした26650型リチウムイオン充電池。マガジンには温度センサーが装備されている。温度変化を検知できない可能性があるため、26650以外の電池をアダプター経由で使うことは非推奨。あくまで保護回路付きの26650を使用するよう強調していた。
単3電池8本用マガジン。

フル発光のリサイクルタイムは、単3アルカリ乾電池で3.5秒、リチウムイオン充電池で2.8秒、外部電源で1.5秒だという。リチウムイオン充電池を使うとチャージが速くなるので、用途によっては外部電源の「PS8」を併用しなくても済むシーンが増えるかもしれないという。

なお外部電源の接続時も、内部回路を動かすためにストロボ側の電池が必要。外部電源を装着している間も、LEDモデリングライトの点灯と冷却ファンの電源はストロボ内部に装填された電池を使うそうだ。

リモートシャッターレリーズ

リモートシャッターレリーズの使用イメージ。Air10sとカメラをリモートシャッターケーブルで接続しておく必要がある。

「今までにできなかったような撮り方ができる」とする新機能。MG10にはリモートトリガー用のシャッターボタンが付いているため、MG10を右手で保持しつつ押すことでシャッターボタンとして使える。この場合、Air10sからカメラにトリガーケーブルを接続しておく必要がある。

カメラが小さい場合には、ブラケットを反転させて使うことも提案。するとカメラの右手側にストロボが固定される。リモートトリガー用のシャッターボタンは半押しにも対応する。

リモートシャッターレリーズのボタン。半押しもできる。
小型カメラ向けに、ブラケットを上下反転したイメージ。
ブラケット取付部。レール固定式でがっしりとしている。

再ペアリング不要の「オープンモード」

複数台のAir10sで1台のストロボを操作できるようになるモード。ニッシンのワイヤレスシステムは1台としかペアリングできない仕様になっているため、チャンネルの重複による混信が起こらないメリットはあるが、複数台のコマンダーで1台のストロボを操作したいときは再度ペアリングする必要があり、手間だったという。このオープンモードでも、TTL調光は使える。

本誌:鈴木誠