写真展レポート

MG10×福島裕二写真展

新製品の特徴を活かした作品群 会場でも試用が可能

写真家の福島裕二さん

ポートレート写真で知られる写真家の福島裕二さんが、ニッシンジャパンのグリップ式ストロボ「MG10」だけを使って撮り下ろした「MG10×福島裕二写真展」が東京渋谷のギャラリー・ルデコで開催されている。期間は11月18日まで。ここでは11月9日に行われたプレスデーで福島さんが語った撮影秘話を紹介する。

MG10とは、ニッシンジャパンが8月に発売したグリップ式のストロボ。かつての“マシンガンストロボ”こと「MG8000」のコンセプトを継承しており、クリップオンストロボを上まわる光量や連続発光時の発熱に耐える仕様などが特徴となっている。

MG10

今回の作品はこのMG10にソフトボックスなどのモディファイヤーを付けずに1灯で撮影している(1枚だけ3灯使った作品がある)とのことだが、そうは見えないバリエーションに富んだライティングによって浮かび上がる人物が見物である。

「MG10を普通に発光させた写真は1枚もないです」(福島さん)。

実は今回、福島さんはニッシンジャパンが想定していない方法でMG10を使用したとのこと。MG10にはレンズの焦点距離に合わせて可動するフレネルレンズが外側に着いているが、これを手で動かして一番前に繰り出した状態で発光させたとのこと。

フレネルレンズを押さえて最も繰り出したところ。本来自動ではこの位置までは動かない。

こうすると、光に明るい部分と暗い分の帯が2本発生する。本来、こうした光のムラは歓迎されないが、福島さんは意図的にこのムラを発生させてライティングに活かしたとのことだった。

光のムラを見せる福島さん

「ストロボにとって光ムラはナンセンスだが、僕にとっては最高。雑誌の表紙を撮るときのような『はさみライト』ができる」(福島さん)。

こうした、メーカーが意図しない方法での撮影については、下記のレポートでも述べられているので参考にして欲しい。

MG10のフレネルレンズはマグネットのリンクで動くため、ニッシンジャパンによると手で無理に動かしても壊れることはないそうだ。なお、光にムラが出る位置までフレネルレンズが可動するのは、フレネルレンズを取り外すための遊びの部分だからだ。もちろん、通常の使用ではこのような光のムラは発生しないので安心して欲しい。

その他にも、発光部分を手で覆ってそこから漏れた光を利用したりと様々な工夫を聞くことができた。福島さんの特異(得意)なストロボの使い方で撮影された作品の数々をぜひご覧いただきたい。

会場にはMG10と各カメラ用のコマンダーが用意されており、カメラを持参すると発光を試すこともできる。

会場

ギャラリー・ルデコ
東京都渋谷区渋谷3-16-3 髙桑ビル6階

開催期間

2018年11月10日(土)〜11月18日(日)

開催時間

11月10日(土)11:00〜19:00終了しました
11月11日(日)11:00〜15:00終了しました
11月12日(月)13:00〜21:00終了しました
11月13日(火)17:00〜21:00
11月14日(水)13:00〜21:00
11月15日(木)13:00〜21:00(展示作品一部入れ替え日)
11月16日(金)13:00〜21:00
11月17日(土)11:00〜19:00
11月18日(日)11:00〜17:00

スペシャルセミナー

11月11日(日)16:00〜19:00終了しました
11月13日(火)13:00〜16:00

作者プロフィール

長野県出身。写真家の上野勇氏に師事し1997年独立。
2003年に写真事務所ハーベストタイムを設立。
女性を主題とした撮影を得意とし、商業撮影や雑誌など多数の媒体にて活躍。その撮影手法は多岐に及ぶ。
2018年インターネットオンラインサロン「福島裕二写真研究所」設立、今秋リリース予定。

武石修

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。