中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」

ゆる鉄探訪 第3回「只見線」

素敵な撮影ポイントが目白押し オススメ季節&時間帯も紹介

会津水沼駅と会津中川駅の間にある「第4只見川橋りょう」を大俯瞰するポイント。鉄橋のトラスを抜けた瞬間を狙うのがコツ。列車の位置が真ん中にこないようにすると、意外に構図づくりが難しいポイントでもあります。また、撮影地がかなりの山奥にあり、たびたびツキノワグマが目撃されていますので、十分に気をつけてください。撮影地へは舗装道路から農道に入り、行き止まり付近から左方向にあるけもの道で森に入りますが、地主さんの意向で農道への関係者以外の車の進入が禁止されていますので、徒歩で向かいましょう。
ソニーα1 FE 70-200mm F2.8 GM OSS (115mm) 絞り優先オート (F8・1/500秒)ISO 800 WB:太陽光 [Google Maps]

僕が大好きな“ゆる鉄路線”をご紹介する「ゆる鉄探訪」。路線の撮影ポイントや見どころのほか、僕がその路線で撮影したBEST SHOTもご紹介します。

第3回は福島県の会津若松駅から新潟県の小出駅を結ぶ、全長135.2kmのローカル線です。ゆる鉄というより、どちらかというと鉄道絶景写真が撮れる路線ですが、素敵なポイントが目白押しですので、ご紹介します。現在は2011年7月の豪雨災害によって会津川口駅から只見駅にかけての区間が長期運休していますが、今年秋ごろの開通を目指して、現在復旧工事が行なわれています。

ソニーα1 FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS (400mm) 絞り優先オート (F6.3・1/2,500秒)ISO 800 WB:太陽光

最初にご紹介するのは、広大な田んぼのなかを走る只見線を撮影できるポイント。会津盆地を一 望できるほか、磐梯山も望むことができ、風景写真を撮る人にもオススメです。撮影地は「蓋沼森林公園」がある山の上。会津高田駅から根岸駅にかけて、田んぼを横切る只見線をかなり長い時間望めるので、ずっと列車を追い続けるのではなく、何箇所か構図を決めて撮るほうがいいでしょう。公園は夜間ゲートが閉まりますが、撮影ポイントはゲートのある位置から左方向へ登るけもの道を2分ほど進んだ位置にあるので、早朝でも撮影できます。

ソニーα1 FE 70-200mm F2.8 GM OSS (198mm) マニュアル露出 (F8・1/250秒)ISO 200 WB:太陽光

続いては滝谷駅付近のポイントを2か所ご紹介します。まずは滝谷駅の手前の跨線橋からの撮影。只見線はどうしても俯瞰ポイントが多く、列車が小さい写真ばかりになりがち。そんな中でこのポイントは、列車をいい感じで大きめに撮れるポイントです。跨線橋には柵がありますが、それほど高くないので撮影可能です。反対方向を見ると、滝谷駅を撮影することもできます。

ソニーα1 FE 24-70mm F2.8 GM (32mm) 絞り優先オート (F7.1・1/500秒)ISO 800 WB:曇天

こちらは滝谷駅の先にある「滝谷川橋りょう」です。作品は11月に撮影した紅葉の風景。県道32号から気軽に撮れるポイントですが、かなり山奥の雰囲気があり、列車もそこそこ大きめに撮影できます。最近展望台が整備され、周辺に駐車できるスペースもあります。

ソニー α7R IV FE 70-200mm F2.8 GM OSS (86mm) 絞り優先オート (F4.5・1/640秒)ISO 1600 WB:太陽光

ここは只見線を代表する撮影地。会津桧原〜会津西方にある「第一只見川橋りょう」です。深い谷の底を薄紫色の鉄橋が渡る光景は、只見線だけでなく、日本の鉄道を代表する絶景と言っても過言でないでしょう。国道252号にある道の駅「尾瀬街道みしま宿」から遊歩道が整備されており、かなり急な階段はありますが、15分から20分くらいで撮影ポイントまで登ることができます。高さを選べますが、送電線の鉄塔の下あたりがメインの撮影ポイント。光線はお昼前後が順光。秋は9時台にならないと鉄橋に光があたりません。11月初旬の紅葉と、厳冬期がオススメです。

ソニーα1 FE 70-200mm F2.8 GM OSS (125mm) マニュアル露出 (F4・1/500秒)ISO 800 WB:太陽光
ソニーα1 FE 70-200mm F2.8 GM OSS (119mm) 絞り優先オート (F8・1/400秒)ISO 800 WB:太陽光

こちらは「船着き場ポイント」と呼ばれるポイントで、第一只見川鉄橋を低い位置から撮影できます。只見川はかなり川幅が広いですが、この鉄橋付近は水鏡になることが多く、幻想的な作品を狙えます。天気予報で風の強さをチェックして無風が期待できるなら、道の駅ポイントよりもオススメです。

会津若松方面からのアクセスでは、国道252号と滝谷駅方向に向かう県道366号の分岐を過ぎた、ナナメ右方向の檜原方面に右折、右急カーブの直後に折り返すように左に下りる狭い道があるので、そこを左折。行き止まりでは?と不安になりますが、まっすぐ集落を抜けると只見線の踏切があり、そのまま進むと船着き場ポイントに近い広場に到着します。かなり広い駐車スペースがあります。工事中以外は、冬は除雪されません。

ソニーα1 FE 24-70mm F2.8 GM (37mm) 絞り優先オート (F8・1/320秒)ISO 800 WB:日陰

こちらは会津宮下駅と早戸駅の間に位置する「第3只見川橋りょう」を見下ろす有名撮影ポイント。みごとな紅葉につつまれた谷の底を、列車が横切る姿はまさに絶景。アップで撮ることが多いですが、ここは作例のように周りの風景をたくさん入れて撮るのが好き。

ここも運が良ければ、水鏡になるときがありますが、第1鉄橋に比べると風が吹きやすく、確率は低いと思います。撮影ポイント周辺の国道にはスノーシェッドがありますが、谷側に2箇所の駐車スペースがあり、3〜5台駐車することができます。

ソニーα1 FE 70-200mm F2.8 GM OSS (93mm) マニュアル露出 (F8・1/800秒)ISO 800 WB:太陽光

川沿いギリギリのところを進む只見線を俯瞰撮影するポイント。ここも会津宮下駅と早戸駅の間になります。川の色がキレイだったので、ここでは川をメインの構図に。夏と秋、そして厳冬期と、3シーズン撮影を楽しめます。地図のポイント付近のカーブを過ぎたら、スノーシェッドから左側のスペースに入れる場所が2箇所あり、そこから道路に沿って小道を10mくらい進むと、只見線が見えます。実はかなりの崖っぷちですので、雪が積もっているときなどは、十分に注意してください。

ソニーα1 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II (200mm) 絞り優先オート (F8・1/800秒)ISO 400 WB:太陽光

最後にご紹介するのは、会津中川駅に近い大志集落を大俯瞰するポイント。本当に俯瞰撮影ばっかりですね……。只見川に近いわずかな土地に、身を寄せ合うように建ち並ぶ集落が、旅情を誘います。Googleマップを見ると、金山小学校の横から道路がありますが、かなり狭くて急な一部砂利道ですので、遠回りでもかねやまスキー場と金山町農業実習館経由でアクセスしたほうがいいでしょう。

ソニーα1 FE 16-35mm F2.8 GM (17mm) マニュアル露出 (F2.8、30秒)ISO 3200 WB:電球

そして只見線のベストショットは、夜の第一只見川鉄橋と天の川を写した作品。天の川がいい位置になるのが深夜だったので、23時の列車を撮影。肉眼では真っ暗でピントが合わせられないので、明るいうちにピントを合わせておきました。

中井精也からのお知らせ

神戸・三宮で「ゆる鉄画廊NOMAD」

2022年4月26日(火)〜5月1日(日)に兵庫県神戸市の三宮で「ゆる鉄画廊NOMAD神戸三宮」を開催予定です。全日程で、中井精也が在廊予定です。関西地域のご当地の絵柄作品やオリジナル書籍、グッズを取り揃えて、皆様のお越しをお待ちしております! 詳細は、「1日1鉄!」ブログ他、ゆる鉄画廊NOMAD公式ツイッター、中井精也ツイッターでもご案内いたします。

期間:2022年4月26日(火)〜5月1日(日)
営業時間:11時〜18時30分(最終日のみ15時閉業)
会場:ギャラリーミウラ
〒650-0004 兵庫県神戸市中央区山手通1-8-19 三浦ビル1F

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中井精也

1967年、東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影し、「1日1鉄!」や「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。2004年春から毎日1枚必ず鉄道写真を撮影するブログ「1日1鉄!」を継続中。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。全国を旅しながら自身の作品を販売する「ゆる鉄画廊NOMAD」を展開中。テレビレギュラー番組に「中井精也のてつたび!/NHK BSプレミアム」、「ヒルナンデス!/日本テレビ系列」、「にっぽん鉄道写真の旅/BS-TBS」などがある。https://ameblo.jp/seiya-nakai/