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東芝「FlashAir」

〜スマホからデジカメの画像を閲覧・転送できる無線LAN搭載SDHCカード

 デジタルカメラとスマートフォンの架け橋に、また新たな選択肢が加わった。東芝が3月10日に発売した「FlashAir」は、SDアソシエーションが策定したWirelss LAN SD準拠の無線LAN機能搭載SDHCメモリーカードだ。実勢価格は7,000円前後。

 これまで本誌では、デジタルカメラで撮影した画像をスマートフォンに直接転送する手段としてEye-Fiカードのダイレクトモード無線LAN対応SDカードリーダー「AirStash」などを取り上げてきた。

 上に挙げたのはいずれもスマートフォンへの画像転送を実現する製品だが、成り立ちはそれぞれだ。あくまで筆者の印象だが、Eye-Fiカードは画像のバックアップおよびソーシャル共有の自動化が得意で、AirStashは使用するカメラ機材を変えずに導入できる点が特徴。ユーザーそれぞれの活用シーンに合わせて製品を選べるような状況になってきた。

 今回紹介するFlashAir最大の特徴は、スマートフォンやパソコンのWebブラウザから能動的にカメラ内の撮影画像を読みに行けるという点だろう。カードがカメラに差し込まれていながら、同時にカードリーダーにも差さっているような感覚といえばいいだろうか。先行製品にあった、自動で画像転送が始まるタイミングを待ったり、カードを対応リーダーに入れ替えてから専用アプリで読みに行ったりといった手間がない。

無線LAN機能を除けば、8GB・Class 6の地味なSDHCカードだ

 無線LAN規格はIEEE802.11 b/g/nに対応。セキュリティはWEP、TKIP、AES(WPA、WPA2)に対応する。今のところ日本のほかアメリカ、カナダ、ヨーロッパで使用可能といい、これから更に利用可能な地域を増やしていくとしている。

 また、東芝ではカメラメーカーに対しFlashAir対応製品の開発について呼びかけを行なっているそうで、実現すればFlashAirを入れたカメラ同士でのファイル交換などが可能になるという。

 今回は一例としてiPhone 4Sに画像を取り込む方法を紹介しよう。いまのところ取り込み方法はWebブラウザ経由のみなので、Android端末やパソコンでも基本的には同じ手順だ。

リコーGR DIGITAL IVとの組み合わせで試用した

 FlashAirを挿入したデジタルカメラを起動すると、しばらくしてiPhoneの無線LAN接続先にFlashAirが現れる。出荷時の初期設定パスワードを打ち込んで接続し、Webブラウザから「http://flashair/」を開くとFlashAirにアクセスする。初回起動時は「Welcome」の画面が表示されるので、矢印をタップしてSSIDとパスワードを設定しよう。

接続先にFlashAirが現れる 初回接続時のWelcomeページ
SSIDと新しいパスワードを設定する パスワードを空欄にすればセキュリティなしの設定も可能

 設定が完了すると、FlashAirのルートディレクトリが表示される。下の歯車アイコンをタップするとSSIDとパスワードを変更可能だ。これは最初にFlashAirに接続した端末からのみ可能で、そのほかの端末からアクセスすると、ファイルへのアクセス可能だがSSIDおよびパスワードの変更はできない仕様になっている。紐付けはFlashAirの初期化でリセット可能だ。

 撮影画像が保存されているフォルダ内に入ると、画像ファイルのサムネイルが表示される。これはファイル内のサムネイルを切り出し、FlashAirが生成したHTMLに並べて表示しているためだ。サムネイルをタップするとフル画素の元ファイルが開くので、iOS端末であれば開いた画像をロングタップでカメラロールに保存できる。端末側が対応していれば、画像ファイルに限らず開けるという。

撮影画像が保存されるDCIMフォルダが見える。この画面へのブックマークやショートカットが便利だろう フォルダの中身。サムネイルだけを読み込むため表示はわりと速い
画像を開いたところ。iPhoneのSafariではフル画素表示されなかったが、ここからカメラロールに保存した画像はちゃんとフル画素だった 画像をロングタップすると表示されるメニューからカメラロールに保存可能

 ちなみに、FlashAir内のファイルをブラウザから削除することはできない。デジタルカメラは記録メディア内のファイル構造(FAT情報)をあるタイミングで読み込んでバッファしていることが多く、記録メディア側の挙動でファイルを削除してしまうと、FAT情報の不整合でカメラの動作に悪影響を及ぼすおそれがあるからだという。

 なお、FlashAirは工場出荷時に1枚の画像が書き込まれており、その画像に対してカメラからプロテクト/解除を行なうことで通信のオン/オフができるようになっている。カードをフォーマットすると消えてしまうが、Windows用のツールソフトを使えば再度書き込める。

撮影画像とは別の画像が書き込まれており、この画像に対するプロテクトで通信のオン/オフを行なえる
Windows用のツールソフト 無線LANのオン/オフを行なう画像を書き込める

 今回はリコーGR DIGITAL IVとの組み合わせで問題なく使用できたが、カメラの機種によってはフォルダ構造の影響で通信オン/オフ用の画像が表示されないことがあった。たとえば筆者が試した範囲ではキヤノンPowerShot S100がそうで、撮影画像を外から取り込むことはできたが、通信のオン/オフを行なう画像が再生画面に表示されなかった。東芝のWebサイトには同社調べの動作確認機器一覧があるので、心配な場合は事前に確認しておくとよいだろう。

 ほかにも自己責任とはなるが、CFアダプターを使ってデジタル一眼レフカメラでも試してみた。キヤノンEOS 5D Mark II、EOS 7D、ニコンD3はいずれも無線オン/オフ画像こそ表示されなかったものの、画像の取り込みは可能だった。カメラのオートパワーオフが働くと通信が切れるので、設定時間を長めにしておくとよいだろう。ニコンD4およびD700はCFスロットがType Iのため、CFアダプター自体が入らなかった。

自己責任ながら、CFアダプターでも試してみた CFスロットがType II対応なら、CFアダプター経由で使える場合も
Webブラウザをリロードすることで、最新画像をパソコンから随時確認できた MacのSafariからFlashAirにアクセスしたところ。ブラウザの横幅いっぱいにサムネイルが並ぶ

 FlashAirの通信速度はカメラの構造に影響されるが、だいたい10Mbps程度という。同時アクセスは4台程度が実用範囲で、通信可能な距離はおよそ5〜10mとのことだった。

 今回発売した製品は、容量8GB、SDスピードクラスは6。本誌読者のようなヘビーユーザーであれば更なる高速・大容量化を求めてしまいそうなところだが、東芝によると「8GB・Class 6」というのはあくまでコストと価格のバランスを検討した結果であり、今後は上位タイプのバリエーションも増やしていければとしていた。

 また同社ではカメラ系スマートフォンアプリの開発元に国内・海外問わず呼びかけを行なっているそうで、早ければ夏頃までに「FlashAirから読み込む」の項目が加わったアプリが登場する見込みという。同じころにはスマートフォンに画像を一括・選択ダウンロードできる自社製アプリのリリース計画もあるそうで、活用シーンの拡大と使い勝手向上にますます期待できそうだ。




本誌:鈴木誠

2012/3/16 00:32