イベントレポート

RICOH THETA V 体感&トークライブレポート

高画質化と高速化を発売前に体験 機能拡張ファームウェアの公開宣言も

RICOH THETA V

9月15日に発売される「RICOH THETA V」のイベントが、東京と大阪で各1回ずつ開催された。その名も「RICOH THETA V 体感&トークライブ」。大阪会場の様子をお届けしよう。

東京会場が9月3日、大阪会場が9月9日の日程で開催された。大阪会場は、同日にリニューアルオープンしたリコーイメージングスクエア大阪と同じOMMビルで実施。発売前の製品に触れられるとあって、開催中は多くの来場者で賑わった。

高画質化&高速化を実際に体験

THETA Vは今回からAndroidベースの製品となり、従来モデルから大きな変革が見られる。その最たるものは後述するプラグインシステムだが、作品志向のユーザーからすると、4K動画記録に対応したことと、動画および静止画の画質向上もうれしい点だ。

会場でのデモ映像を見た印象だと、動画、静止画ともに従来モデルよりコントラストが高まり、色の抜けが良くなっている。解像感も高くなり、拡大するとこれまで以上に細かく描写されているのがわかる。デジタルカメラ技術を生かした結果とのことだ。

従来のTHETA S(左)とTHETA V(右)との比較。

また、スマートフォンへの転送速度が高速化したのもトピック。THETA Sに比べて静止画で約3.2倍、フルHD動画(10秒)で約2.5倍高速化した。Bluetooth接続に対応したことで、スマートフォンとの常時接続が可能になったことも大きい。

ちなみに無線LANの周波数を5GHzに設定することで、さらなる高速化が可能という(法律により屋内のみでの利用可能)。

タッチ&トライコーナーでは、それらを実際に体験することができた。

新機能で注目したいのは、VR向けの音声技術「360度空間音声」だ。水平方向だけでなく、上下を含めた全方向の音声について指向性を持たせられる技術で、音声情報は全天球動画ファイルの中に組み込まれる。

すでにVRコンテンツで使用されている技術だが、収録するには360度カメラとは別に、高度な3D音声用のマイクが必要だった。それがTHETA V単体で、映像とともに記録できるようになっているのがポイント。高度な技術を手軽に扱えるところがいかにもTHETAらしい。

会場では360度空間音声のデモを盛んにやっていた。頭上を旅客機が通過することで有名な伊丹空港で収録されたデモ映像では、頭の動きにあわせて音の位置が変化。デモを体験した人は一様に興奮を隠せない様子だった。

360度空間音声は、本体内蔵の4チャンネルマイクにより実現している。この内蔵マイクの音質に満足できない場合は、別売の3DマイクロフォンTA-1を使って音質アップを図ってもよい。そのTA-1は、タッチ&トライコーナーで見ることができた。

手前が3DマイクロフォンTA-1、奥が水中ハウジングケースTW-1。

TA-1の隣にはこれも新アイテムとなる、水中ハウジングケースTW-1も展示されていた。水中での光の屈折率を考慮したレンズが取り付けられており、陸上と同様、自然なつなぎ目が生成される。

リモート再生機能のデモも盛り上がっていた。THETA V本体内の360度映像を再生・操作する機能で、THETA V本体とMiracast対応テレビで再生環境が整う。若干のタイムラグによる操作性の悪さはありつつも、テレビの大画面で楽しむ360度映像の迫力はなかなかのものだ。

壁面にはTHETAで撮影された静止画作品が展示されていた。イベント内でトークライブを行った、全天球映像作家の渡邊課 課長 渡邊徹さんの作品もあった。

渡邊さんはTHETAシリーズを歴代使用しているとのことで、トークライブにおいては特に、機動性とシンプルな使い勝手について強調。THETA Vの画質向上も、作品を通じて紹介していた。

全天球映像作家の渡邊課 課長 渡邊徹さん。

例えば、プラレールの車輌にTHETA Vを載せて撮影した4K動画が再生されると、その迫力に会場から声があがった。映像が高精細な4Kになったことで、プラレールに乗車しているという疑似体験がよりリアルになる。VRこそ高画質が求められるコンテンツだと感じた。

トークライブに参加した来場者のうち、およそ3分の2がTHETAユーザー。THETA Vへのユーザーの高い期待が感じられ、それに応えるリコーの自信が垣間見えたイベントだった。

機能拡張ファームウェアは年内?

開発者トークライブの中で触れられたのが、機能拡張ファームウェアの内容と公開時期。最初のファームウェアの公開時期は年内になることが宣言された。意外に早い公開に、会場からは拍手が沸き起こった。

あくまでも予定だが、イベント時点で明らかになっている内容を紹介しよう。

転送速度が高速化

スティッチを撮影時に行うようになり、例えば10秒のフルHD動画が1.4秒程度で転送できるようになる。現在、転送に41.2秒かかる10秒の4K動画は、4.9秒で転送が可能に。

無線LANクライアントモードの搭載

THETA Vから無線LANルーターに直接接続できるようになる。これにより転送時、無線LANルーターにつながっているスマートフォンの接続先を、THETA Vに切り替える必要がなくなる。スマートフォンでインターネットを使いながら、THETA Vの画像をアップロードすることも可能だ。

プラグインの提供

ファームウェアとは別の話になるが、将来的にはプラグインの提供も予定されている。実装済みのリモート再生機能もプラグインのひとつ。今後、プラグインを集めたサイトが用意され、ユーザーが任意のプラグインをダウンロードできるようになるという。

本誌:折本幸治