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High-FIVE「EOS R5 Mark II」で挑む感動の撮影体験

チャーリィ古庄さんが体験したノイズレスで高速連写も可能な高画素機の魅力

高画素機は高感度に弱いと思っていたので、恐る恐るISO 25600を試したが問題なし。「ニューラルネットワークノイズ低減」をかけるとさらにノイズがなくなった
キヤノン EOS R5 Mark II/RF100-300mm F2.8 L IS USM/300mm/マニュアル露出(F2.8、1/60秒)/ISO 25600/WB:2,700K/ニューラルネットワークノイズ低減(標準)

5本の指を高く掲げて手を合わせる。キヤノンの「EOS R5 Mark II」は、結果を見て思わずハイタッチをしたくなるような、感動的な撮影体験ができるカメラに仕上がっている。EOS R5を超える存在として進化を遂げた次世代機が飛行機撮影でどう活躍するのか、チャーリィ古庄さんがフィールドレポートする。

チャーリィ古庄

1972年東京生まれ、旅客機専門の航空写真家。世界の航空会社や空港からのオーダーを受けこれまで100を超える国や地域に訪れ航空写真を撮っている。訪れた空港は世界500カ所以上。世界で最も多くの航空会社に搭乗した「ギネス世界記録」を持つ。旅客機関連の著書、写真集は30冊を超え、サミットなどのVIP機公式記録カメラマンを務めた経験もあり。飛行機とヘリコプターのパイロット資格を保有。空撮用のヘリコプターも所有している。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2024年9月号』より転載・加筆したものです。

EOS R5の解像力に高速・高精度AFという新たな強みが追加された1台

私は現在EOS R3、R6 Mark II、R7を愛用している。初代EOS R5はデビュー当時に飛行機を撮影したが、AFの追従性能に満足しきれず、仕事では使わなかった。しかし今回のEOS R5 Mark IIは違った。R6 Mark IIで満足していたAF精度をはるかに超えてきたのだ。

R3では外れることもあった視線入力も進化を遂げた。視線を向けてシャッターボタンを半押しすると飛行機が即検出され、そのままトラッキングしてくれるという快適な撮影体験ができる。日中のオートホワイトバランスもできが良く、ファインダーをのぞいた瞬間から違いを実感した。

忘れてはならないのが、これらの快適な撮影性能が約4,500万画素の高画素機に搭載されていることだ。1.6倍クロップを使っても十分な画素数が得られる。また、新搭載の「カメラ内アップスケーリング」を使えば、約1億7,900万画素の画像も生成可能で、トリミング耐性はさらに上がる。熱中症になりそうな酷暑の中で撮影したが、熱問題も改善されているのか、カメラが止まることはなかった。

EOS R5 Mark II
発売予定日:2024年8月30日(金)
キヤノンオンラインショップ参考価格(税込):65万4,500円(ボディ)、80万8,500円(RF24-105L IS USM レンズキット)

●SPECIFICATION
イメージセンサー:約4,500万画素(裏面照射積層型)
画像処理エンジン:DIGIC X & DIGIC Accelerator
常用感度:ISO 100~51200
最高シャッター速度:1/32,000秒(電子)、1/8,000秒(メカ)
最高連写速度:約30コマ/秒(電子)、約12コマ/秒(メカ)
手ブレ補正:周辺協調制御&5軸対応、中央8.5段、周辺7.5段
動画記録:8K/60p 他
ファインダー:0.5型約576万ドット約0.76倍
外形寸法(W×H×D):約138.5×101.2×93.5mm
質量(バッテリー・カード含む):約746g

POINT 01.飛行機検出&トラッキングAFで快適に飛行機を追尾

個人的にはこれまでEOS R6 Mark IIが飛行機を最も速く捕捉できると思っていたが、EOS R5 Mark IIはそれを凌駕する。被写体検出で乗り物を選択しておき飛行機にカメラを向けると、すぐにコックピットを検出してトラッキングを開始する。機体が横を向いてもボディをしっかりと追いかけてくれて、その検出精度の高さに驚かされた。逆光や着陸灯がまぶしい難しいコンディションでも問題なく追尾を続けてくれる。

一度飛行機を検出したら画面内でトラッキングを続けられる設定が可能
キヤノン EOS R5 Mark II/RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM/500mm/シャッター優先AE(F8、1/1,000秒、±0EV)/ISO 500/WB:オート
コックピット付近を検出してトラッキングが続けられていることが分かる

POINT 02.ニューラルネットワークノイズ低減で夜の飛行機写真を精細に仕上げる

夜の飛行機写真は高感度撮影が不可欠。光量が減るにつれてISO感度を上げざるを得ない。EOS R5 Mark IIの場合、ISO 25600は問題なく使用可能。ISO 51200も使えるという手応えを感じた。カメラ内RAW現像で、ディープラーニング技術に基づいたニューラルネットワークノイズ低減の処理をすれば、写真展でA1プリントまで大きくプリントして発表できるくらいノイズレスに仕上がる。

カメラ内RAW現像でニューラルネットワークノイズ低減を「する」に設定し、「弱め」「標準」「強め」の3段階から効果を選択して適用する
キヤノン EOS R5 Mark II/RF100-300mm F2.8 L IS USM/300mm/マニュアル露出(F2.8、1/80秒)/ISO 25600/WB:2,800K/ニューラルネットワークノイズ低減(標準)
ニューラルネットワーク
ノイズ低減(標準)
通常の高感度
ノイズ低減(標準)
薄暮の時間、ISO 25600に上げて着陸する機体を軽く縦に流すように追いかける。肉眼では写真よりもかなり暗いが、ニューラルネットワークノイズ低減を使うと、上の比較例のようにノイズが大幅に低減されて、機体後部に反射する滑走路のラインまで細かく写し出してくれた

POINT 03.ゆがみが抑えられた電子シャッターで流し撮りがしやすい

福岡空港で着陸する機体を流し撮り。EOS R5 Mark IIの初期設定は電子シャッター。ローリングシャッターゆがみが出るか気になっていたが、相当重箱の隅をつついて探さない限り、気にならないほどに良く抑えられている。さらに電子シャッターのおかげで、ブラックアウトフリーで約30コマ/秒の高速連写が可能。流し撮り中、シャッターを切っている最中も機体が見えるので、飛行機を追いやすい。

3つのモードにコマ速を割り当てられる
キヤノン EOS R5 Mark II/RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM/238mm/シャッター優先AE(F13、1/160秒、±0EV)/ISO 200/WB:オート

POINT 04.オートホワイトバランスが優秀なので順光でも逆光でも青空が美しい

ファインダーをのぞいた瞬間、これまでと色が違うことに衝撃を受けた。オートホワイトバランスの検出精度が上がり、空の色が的確に表現されるようになった。従来機でも不満はなかったが、順光でも逆光でもこれまで以上に空の青が美しく再現される。もちろん、ファインダー内だけでなく、後で画像処理用ディスプレイで見ても納得のいく色みが出ていた。私が最初にこのカメラに魅力を感じた点だ。

順光
キヤノン EOS R5 Mark II/RF15-35mm F2.8 L IS USM/35mm/シャッター優先AE(F7、1/320秒、±0EV)/ISO 200/WB:オート
逆光
キヤノン EOS R5 Mark II/RF24-70mm F2.8 L IS USM/33mm/シャッター優先AE(F9、1/160秒、+1.3EV)/ISO 200/WB:オート

POINT 05.視線入力によって素早く被写体を追える

EOS R3より視線入力が向上し、前述の飛行機検出&トラッキングAFと併用すれば鬼に金棒。狙いたい飛行機にファインダー内で視線を向けてシャッターボタンを半押しすると、視線の先にある飛行機を検出。そのままトラッキングが始まるのでフレーミングに集中するだけだ。

視線入力を「する」に設定しておき、被写体検出の「乗り物優先」と組み合わせることで、ファインダー内で視線を向けた先の飛行機に素早くピントを合わせられる
キヤノン EOS R5 Mark II/RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM/135mm/マニュアル露出(F7.1、1/400秒)/ISO 1600/WB:オート

チャーリィ古庄が厳選 飛行機を撮るならばこのRFレンズ4本

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
飛行機撮影の8割をまかなえる。100mm側による機体型式写真から500mm側の迫力あるシーンまで幅広く対応可能。クロップすれば800mm相当にもなる頼もしい相棒だ
RF15-35mm F2.8 L IS USM
至近距離からワイドで機体を狙うシーンで有効なレンズ。15mm側でもゆがみが少ないので安心して使える。空港内やコックピットシーンなど、旅の雰囲気を撮影するのにも便利だ
RF24-70mm F2.8 L IS USM
飛行機の機窓を撮るときはこのレンズと一緒に搭乗して、窓枠や翼と眼下の風景を24mm側で撮影している。開放F2.8なので夜の空港で飛行機が並ぶシーンなどでも活躍してくれる
RF100-300mm F2.8 L IS USM
夜景撮影で重宝する全域開放F2.8と明るい望遠ズーム。飛行機の機種ごとに全長が違っても、ズームレンズなので機体サイズに関係なく対応でき、画質も抜群だ

高画素と高速連写が表現の幅と質を引き出す

私は飛行機写真のコンテストの審査や写真展の監修をよく行うが、目につくのは夜間撮影時のノイズだ。「夜の飛行機写真」は人気だが、古いカメラはISO感度を上げるとどうしてもノイズが目立ってしまう。EOS R5 Mark IIに搭載された「ニューラルネットワークノイズ低減」は、その悩みを解決してくれる先進的な機能だ。

カメラ内RAW現像で設定して書き出すだけで、解像感を損なわずにノイズレスな写真に仕上げられる。夜間撮影では赤く明滅する飛行機の衝突防止灯が点灯している躍動感のあるシーンが定番だ。これを撮るには高速連写が不可欠だが、EOS R5 Mark IIは高画素機ながら最高30コマ/秒の高速連写を実現しており、点灯する瞬間を逃さず捉えられる。

高画素で高感度に強く、しかも高速連写も可能。飛行機写真のクオリティーアップに欠かせない性能をEOS R5 Mark IIは網羅している。それでいて、EOS R5同様に操作しやすいサイズ感を維持しているから、従来機からの乗り換えユーザーも安心して使えるだろう。

このカメラで最高の瞬間を高画質で写し、A1サイズ以上の大判プリントで写真展示したくなった。

離陸上昇中の機体をしっかりAFが追従してくれるので、低速連写しながらフレーミングに集中して撮影。オートホワイトバランスによる美しい青空と白いボディのコントラストが美しい
キヤノン EOS R5 Mark II/RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM/300mm/シャッター優先AE(F8、1/1,000秒、±0EV)/ISO 500/WB:オート
至近距離を時速200km超で通過する機体。滑走路の光が反射して輝く一瞬を30コマ/秒の高速連写で捉えた。AF精度とブラックアウトしないファインダーは夜間撮影の味方だ
キヤノン EOS R5 Mark II/RF100-300mm F2.8 L IS USM/175mm/マニュアル露出(F2.8、1/60秒)/ISO 25600/WB:2,700K/ニューラルネットワークノイズ低減(標準)
ドラマチックな空の下で離陸する飛行機。機体が小さく、かつ真逆光であっても飛行機を捕捉し続けてくれるので、こちらは適正露出をファインダーで見ながら決めるだけだ
キヤノン EOS R5 Mark II/RF100-300mm F2.8 L IS USM/300mm/マニュアル露出(F10、1/4,000秒)/ISO 200/WB:オート
チャーリィ古庄