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鉄道写真撮影に最適なNIKKOR Zレンズとは? 助川康史さんおすすめのズームレンズ3本

鉄道風景写真や編成写真の撮影テクニックを実写解説

ニコン Z 8+NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR

高画質なズームレンズが有力候補

ニコンのミラーレス一眼に最適化されたNIKKOR Zレンズは41本(テレコンバーター含む。2024年1月現在)。超広角から超望遠までラインアップが充実している。Fマウントを凌駕する優れた光学性能は、老舗光学メーカーならではの技術力と誇りを感じる仕上がりだ。特に超広角から標準域の解像感は素晴らしく、各種収差を徹底的に抑えた上位モデルの「S-Line」の描写力には目を見張るばかり。

高性能でバラエティー豊かなNIKKOR Zレンズではあるが、鉄道写真撮影にはどれが良いのか迷うユーザーも多いだろう。そんな方におすすめなのは、超広角から超望遠まで各焦点域をカバーするズームレンズだ。さまざまな撮影の制約が多い鉄道写真において、どのような状況下でも細かく焦点距離を刻んで適切なフレーミングを可能にする。豊富なZマウントズームレンズ群の中でも私が厳選したお気に入りの3本を紹介しよう。

※本企画はムック『超・鉄道風景 撮影ガイド』より転載・加筆したものです。

沿線の情景を広く精細に撮る鉄道風景写真

鉄道風景写真は列車を小さく写すのが基本。また画面の隅近くに車両を配置する構図がベストなので、Zレンズの解像性能がものを言う。画面の端に橋脚を入れることで安定感が出る。

ニコン Z 8/NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S/18mm/マニュアル露出(F9、1/1,000秒)/ISO 400/WB:晴天/内房線 上総湊~竹岡
驚異の周辺画質を誇る大三元の一角
NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
ニコンダイレクト価格:34万8,700円(税込)

超広角から広角をカバー。特に絞り開放時でも画面周辺部のキリっとしたディテールを描き出す画質は誰もが驚がくするほどの性能だ

列車も背景もバランス良く配置する編成風景写真

列車の存在感を出しつつ風景も写す編成風景写真は標準域がベスト。S-Lineらしい収差の少ない写りによって列車を精細に捉えている。標準ズームは使用頻度が高いので常にカメラに装着しておくとシャッターチャンスに対応しやすい。

ニコン Z 8/NIKKOR Z 24-120mm f/4 S/64mm/マニュアル露出(F8、1/2,500秒)/ISO 800/WB:晴天/東海道本線 近江長岡~醒ヶ井
広いズーム域で汎用的に使える1本
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
ニコンダイレクト価格:15万4,000円(税込)

鉄道風景写真で最も撮影頻度の高い広角から中望遠域を担い、自然なパースが魅力の高機動ズームレンズ。開放絞りから高い解像力を誇る

画角いっぱいに列車を捉える編成写真

編成写真で大活躍するのが超望遠ズーム。幅広い焦点域のおかげで、安全な位置から架線柱と架線柱の間を抜いて撮影できた。超望遠撮影はAF-Cでピント合わせを行おう。

ニコン Z 8/NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR/380mm/マニュアル露出(F9、1/1,600秒)/ISO 800/WB:晴天/東武鉄道東武日光線 下小代~明神

遠くの列車を自在に切り取る鉄道イメージ写真

これぞ圧縮効果を生かした超々望遠の世界! 赤い朝もやの濃度が上がり、やって来た列車がメリハリのある高コントラストに仕上がった。陰で列車の細部が分かりにくい場合は置きピンを使っても良い。

ニコン Z 8/NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR+Z TELECONVERTER TC-1.4x/780mm/マニュアル露出(F11、1/640秒)/ISO 400/WB:曇天/小湊鐵道 上総村上~海士有木
列車を引き寄せて大胆な構図も自由自在に楽しめる
NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR
ニコンダイレクト価格:24万9,700円(税込)

望遠系編成写真から超望遠ならではの圧縮効果を楽しめるズームレンズ。線路際の撮影の制約が多くなっている鉄道写真撮影では必須レンズと言える。小型で取り回しに優れ、高級感のある鏡筒も魅力だ

小型で素早いズーミングが可能

600mmの超望遠の世界を手軽に楽しめることに加え、このクラスのレンズとしてはコンパクトで軽量なのがうれしい。ズームリングの回転角が70°と小さいので迅速なフレーミングが行える。

ズームリングの回転角が小さくて回しやすい
鉄道撮影を強力にサポートするおすすめカメラ
ニコン Z 8
ニコンダイレクト価格:59万9,500円(税込)

20コマ/秒の超高速連写やブラックアウトフリーEVF「Real-Live Viewfinder」が鉄道写真のテクニカルな撮影を強力にバックアップ。その上、高品質なNIKKOR Zレンズの描写力をいかんなく発揮できる4,571万画素のハイエンド機だ

鉄道写真撮影で活用したいZ 8&Zレンズの機能

列車対応の被写体検出「乗り物」モード

Z 8に搭載されているコンティニュアスAF(AF-C)のAF被写体追従性能を格段に上げるモード。鉄道写真撮影では、編成写真や車両イメージ写真など、動く車両を大きく撮影する際に威力を発揮する。iメニューのフォーカスモードを「AF-C」にした上で、AF時の被写体検出設定を「乗り物」にする。どのAFエリアモードを選ぶかはフレーミングと列車の動き方で変えるが、よく使うのは「3D-トラッキング」だ。AFが列車の先頭部にピントを合わせ続けてくれる。

iメニューでAF時の被写体検出設定を行い、鉄道に対応した「乗り物」を選択。AFエリアモードは「3D-トラッキング」が多い
細い白枠が出ると列車が検知された証。AFを開始すると写真のように枠の色が変わり、列車の先頭部に合焦し続ける

L-Fnボタンのフォーカスプリセット

置きピン撮影時、稀に起こるピントずれ。何かの拍子にピントリングを触ってしまうなど、いくつかの原因があるが、被写界深度が浅い望遠から超望遠での撮影では致命的だ。それを防ぐにはL-Fnボタンに「フォーカス位置の登録」を割り当てよう。L-Fnボタンを押してピント位置を記憶させたら、同じL-Fnボタンの機能割り当てを「フォーカス位置の呼び出し」に変更。万が一ピントがずれてもL-Fnボタンで瞬時に正しいピント位置に戻せるので、シャッターチャンスを逃しにくくなる。

カスタムメニューの「f2 カスタムボタンの機能(撮影)」でL-Fnに「フォーカス位置の登録」を割り当てておく
レンズのL-Fnボタンでピントを登録。カスタムメニューに戻って同じL-Fnに今度は「フォーカス位置の呼び出し」を割り当てる
助川康史