トピック

すっきりとしたデザインながら機能・収納・耐久に妥協無しのショルダーバッグ

ハクバ新GW-PROカメラバッグの魅力を解説(その3)

左からマルチモード ショルダーバッグ15、スリングショルダー6

40年以上の歴史を持つハクバのカメラバッグシリーズである「GW-PRO」。2023年7月にフルリニューアルし、全8モデルがラインアップされている。

新GW-PROシリーズを紹介する連載の第3回は、「マルチモード ショルダーバッグ15」と「スリングショルダー6」を紹介していこう。

第1回は「マルチモードバックパック30」「同20」、第2回は「リアゲートバックパック20」「フェイスゲートバックパック20」を紹介した。いずれも大容量、豊富な機能、優れたフィット感、強靭な耐候性を持ち合わせた意欲的なバックパックタイプだ。

なお新GW-PROシリーズ共通の特徴や仕様は、第1回目で詳細に解説しているのでご覧いただければと思う。

今回紹介するのは、いわゆるワンショルダーバッグになる。

ショルダーバッグに求められるものとは

ワンショルダーバッグの使用シーンは、スナップやポートレート、家族などの撮影といったファミリーユースなどだろう。加えて、自転車で移動する軽快な撮影などでの需要も大きい。そうした日常的かつ一般的なシーンにおいては、機能性もさることながら、ルックスがけっこう重要だ。

その点「マルチモード ショルダーバッグ15」と「スリングショルダー6」は、黒を基調としてスッキリした、過度な主張のないデザインで街歩きにもマッチする。

とはいってもそこは新GW-PROシリーズ。生地にはDIMENSION-POLYANT社の「X-Pac X50」と高強度500Dナイロンを使用。ファスナーにはYKK社製止水ジッパーを採用することで、雨の浸透をしっかり防いでくれる。そのため雨の街での撮影をものともしない、攻めたスナップスタイルのカメラマンでも安心して使用できる。

大容量で多機能、なのにスタイリッシュ……マルチモードショルダーバッグ15

GW-PROマルチモード ショルダーバッグ15

「マルチモード ショルダーバッグ15」は、メッセンジャースタイルのワンショルダーバッグでありながら、本格的な撮影を可能にする大容量と機能性を有するカメラバッグだ。

外寸が400×310×210mm、カメラ収納部が370×290×160mm。容量は15L。メッセンジャースタイルのショルダーバッグとしては十分すぎるほどの大容量となっている。フルサイズカメラボディに大口径ズームレンズ3本セットが入るので、大抵の機材なら都合良く収納できてしまうだろう。

FE 24-70mm F2.8 GMを装着したα7R V、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSを収納

特に深さが160mmもあるので、フルサイズ70-200mmクラスや100-400mmの望遠ズームレンズが縦に入るのが良い。

さらにトップフラップは、バックルの位置を変えることで収納容量を増やせるエキスパンダブル構造。見た目以上に容量に余裕がある。

収納部の仕切りも豊富に用意されているので、内部のカスタマイズ性も高い。細かなアクセサリーの多いドローン機材などでもすっきりと収納できるだろう。

また15インチのノートPCが入るスペースもあるので、クライアントに画像を見せながらの撮影といったちょっとしたロケ撮影もこなせてしまう。

この製品、実は「マルチモードバックパック20」の上半分をショルダーバッグにしたようなデザインだ。その名前からわかる通り、カメラの取り出し方法が2通り用意されている。

具体的には、①トップフラップを全開にする方法、②フラップを閉じたままトップ面からカメラを取り出す方法だ。

①を行うたびに、ドイツFIDLOCK社製のマグネットバックル「V-Buckle」の操作性の良さを実感する。開けるときはプルタブを引いて瞬時に、閉じるときはマグネットでパチっと自動、というスマートさが癖になりそうだ。

②は、人混みなどでもサッとカメラを取り出して撮影に入れるのが利点。①もあわせて、このスマートさはワンショルダーバッグならではの快適さだ。

トップフラップを開口せずに機材の取り出しが可能

また、トップフラップの裏側やカメラ収納部のサイド面などにいくつかの収納ポケットがあるが、バックパックタイプに比べてアクセスが良く、ショルダーバッグならではの活用法につながっている。

GW-PRO共通仕様として、底面には防水性に優れたターポリン生地を装備。

底面には湿った地面に置いても平気なターポリン素材を採用

さらに底面に収納された収納式のベルトを活用することで、三脚や追加の荷物を固定できる。

三脚などを固定するベルトが格納されている

携行性の良さも魅力

両肩ではなく片方の肩だけで担ぐワンショルダーバッグは、一般的にバックパックより肩への負担が大きくなりがちだ。しかし本製品のショルダーパッドはGW-PROのバックパックタイプと同様、厚手のクッションのおかげでその影響が少ない。

分厚いショルダーパッドが肩への負担を減らしてくれる

しかもこのショルダーパッドは面ファスナーで着脱が可能。ワンショルダーバッグのストラップをやや締め気味にしようとすると、ショルダーパッドがストラップの長さ調節用のベルト送りに邪魔され、任意の位置まで持ってこれないことがある。本製品なら面ファスナーのおかげで、ベルト送りの位置を気にせずショルダーパッドをつけられる。

メッセンジャースタイルということで、クロスストラップを装備しているのも特徴だ。

クロスストラップを装備。自転車での移動時に威力を発揮

活用することで、例えば自転車での移動時に、バッグが背中からずれて胸に回るような事態を防ぐことができる。これもマグネット式となっているため、片手でサッと装着可能だ。

背面には空気の流れを生み出すエアベンチレーションシステムを採用。これまで紹介したバックパックモデルと同じく、汗や蒸れを抑制してくれる。キャリーバッグのハンドルに通して固定するための、キャリーオンスリーブも背面に装備されている。

極力気軽に、でも安全にカメラ機材を携行……スリングショルダー6

GW-PROスリングショルダー6

もう一方の「スリングショルダー6」は、容量6Lの小ぶりなワンショルダーバッグだ。

外寸310×250×160mm、カメラ収納部270×220×110mmで、フルサイズ一眼レフカメラに標準ズームレンズ+追加レンズレンズ1〜2本程度が入るミニマムなサイズ感。

FE 24-70mm F2.8 GMを装着したα7R Vと、FE 16-35mm F2.8 GMを収納

重量は850gで、気軽に歩き回って撮影するスタイルのカメラマンにマッチする。

開口部は上部のファスナーによるワンアクセス方式。前回紹介した「フェイスゲートバックパック20」の上半分をショルダーバッグにしたようなデザインで、ころんとしたデザインのかわいさもある。

ショルダーストラップはオートスプリングカムバックルを採用し、長さの調整がワンタッチでできる。

バックルを起こすと長さを調整できる

自転車に乗っているときはギュッと締めて、降りた瞬間に緩めて機材へのアクセスを素早く、といったクイックな撮影に非常に向いている。

またショルダーベルトはフック式で、左右の付け替えが可能。利き手に合わせての付け替えや、疲れてきたな、というときにもサッと逆の肩に変えられるのが良い。

バックルと取り付けフックはマットな銀色パーツでデザインのアクセントになっており、スマートな印象を受ける。

面白いのは、新GW-PROの全バックパックモデルに装着可能な「GW-PRO ウエストベルト」(別売)を装着できること。つまり、ウエストバッグとしても使用できるのだ。

GW-PRO ウエストベルト(別売)とも組み合わせられる

なお「GW-PRO ウエストベルト」には、両サイドに小物を収納できる伸縮ファスナーポケットが装備されている。つまり、「スリングショルダー6」に収納力を追加できるメリットもあるのだ。

その他、「マルチモード ショルダーバッグ15」と同様の特徴を受け継いでいる。例えば底部の三脚固定ベルト、背面のエアベンチレーション、厚いクッションのショルダーパッド、バッグの位置を固定するマグネット式クロスストラップを装備している。

まとめ

「マルチモード ショルダーバッグ15」と「スリングショルダー6」は、シンプルな使い勝手と街中に馴染むスッキリとしたデザインでありながら、それぞれ必要十分な機材を入れられる収納力が魅力だ。また新GW-PROシリーズらしい厚手のショルダーパッドやクロスストラップにより、疲労の蓄積も最小限となっている。

タフな使用にも耐えうる強靭なバッグではあるのだが、それほど屈強な雰囲気もしないのもまた良い。通常はバックパックタイプのカメラバッグを使用している筆者も、「マルチモード ショルダーバッグ15」と「スリングショルダー6」を見ていると、久しぶりに自転車で軽快な撮影なんかもいいなぁと思えてきた。

1986年埼玉県生まれ。風景写真家。雑誌『風景写真』の編集を経てフリーランスになる。日本各地の自然風景、生き物の姿を精力的に撮影。雑誌への執筆や写真講師として活動している。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。