トピック

シンプルなデザインで使いやすさ抜群の「リア/フェイスゲートバックパック20」

ハクバ新GW-PROカメラバッグの魅力を解説(その2)

左からリアゲートバックパック20、フェイスゲートバックパック30

フルリニューアルしたハクバのカメラバッグ「GW-PRO」シリーズ。全8モデルがラインアップされており、この企画では4回に分けて紹介していく。

前回は「マルチモードバックパック30」および「同20」を紹介した。バックパックの天面・背面・左右がそれぞれ開くという大胆なデザインで、さらに大容量を実現。主に風景やネイチャーなどフィールドユーザーをメインターゲットとしたバックパックだ。

今回は、どちらかといえばオーソドックスなバックパックの紹介になる。同じく新GW-PROに属する「リアゲートバックパック20」と「フェイスゲートバックパック20」を解説していこう。

バックパックに求められるものとは?

今回紹介する2モデルもバックパックスタイルだが、「マルチモードバックパック30」「同20」と比べると、幾分スリムで都会派のカメラバッグといった印象。スナップやポートレート、ライトトレッキングなどの撮影にぴったり合いそうだ。とはいうものの、両モデルとも大容量かつタフネスな設計なので、フィールドユーザーでもまったく問題なく使用できるだろう。

詳細に入る前に、新GW-PROシリーズ共通のポイントを改めて見ていきたい。

表地は「X-Pac X50」を採用。強度と防水性を兼ね備えた高性能生地だ。側面などには耐水圧1750ミリの500Dナイロン生地。

ファスナーはYKK社製止水ファスナーにGW-PROオリジナルの大型リングプラーが付いている。ほかにも徹底した雨対策が施されているため、「マルチモードバックパック30」「同20」と同様、「リアゲートバックパック20」と「フェイスゲートバックパック20」にもレインカバーは同梱されていない。むしろカバー無しで雨対策ができるということで、歓迎すべき点だろう。

いざというときに容量アップ…「リアゲートバックパック20」

リアゲートバックパック20

「リアゲートバックパック20」は大容量の20Lモデルながらもすっきりしたデザインを採用。その上で拡張性が自慢のバッグだ。後述するが新GW-PROのバックパックタイプで唯一、カメラ収納部以外にもう一つ大型のポケットを持っている。

外寸は約320×490×200mmとやや縦長なフォルム。カメラ収納部は約300×470×140mmで、多くの撮影で十分な大きさとなる。フルサイズミラーレスカメラと大口径ズームレンズ3本セットに加え、小ぶりな追加レンズ1〜2本も入る。

α7R V、FE 16-35mm F2.8 GM、FE 24-70mm F2.8 GM、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS、FE 35mm F1.4 GM、FE 50mm F1.4 GM、FE 100mm F2.8 STF GM OSSを収納

機材を詰め込み重たくなっても、ちょっと軽く感じちゃうのが新GW-PROの良いところ。日本人の体型にフィットするエルゴノミクスカーブを描き、厚めのクッションが肩にかかる圧力を分散させてくれる新しいショルダーハーネスがとてもいい仕事をしている。

背中に当たる部分にも肉厚なクッションが採用されているが、そのクッションの配置を最適化することで空気の流れをつくる「エアベンチレーションシステム」を採用している。カメラマンはいつだって汗だくなので、こうした汗や蒸れを抑える工夫は大歓迎だ。

「リアゲートバックパック20」はその名前からわかる通り、背面アクセス構造のバックパックだ。

その名の通りリア(背面)がフルオープンになる

加えて背面から見て右側に、「マルチモードバックパック30」「同20」でも採用されていた、新しいサイドアクセス構造の「Lクイックアクセス」を備えている。

「Lクイックアクセス」は、バッグ上面側の一辺をマグネットでの開閉構造とすることで、ファスナー部をL字にした新しい開閉システム。従来のコの字型のサイドアクセス構造よりも動作が少なく、素早いカメラの取り出しが可能となっている。そのため、急なシャッターチャンスに対応しやすくなっている。

なおウエストベルトは内蔵されていないため、バックパックを地面に降ろさずレンズ交換をするためには別売の「GW-PRO ウエストベルト」が必要。ウエストベルトを装着するとフィット感がさらに向上するので、レンズ交換を頻繁にするタイプのユーザーはこちらを併せての使用をおすすめしたい。

「GW-PRO ウエストベルト」を装着すれば、地面に下ろさず開口できる

フィット感を高めるにはもちろんチェストベルトも留めたほうが良いわけだが、そこがマグネット式のワンタッチ仕様になっているのも今どきな感じでなんだかかっこ良い。

「リアゲートバックパック20」の特徴のひとつとして、フロント面に備えられた大きなポケットがある。形状は縦長で、ノートやファイルを入れるには良いサイズ感だ。

さらにこのポケットにはギミックがある。ポケット周囲のファスナーを開けることで、容量がぐっと広がるのだ。厚みはおよそ3〜4倍になる。

フロントポケットの容量を拡張可能

追加の機材を入れたり、衣類や携行食を入れたりとなにかと便利そうなサイズ感。地味ではあるがかなりうれしい。

サイドポケットに三脚を収納可能。固定ベルトは本体から引き出して使う
サイドに設けられた持ち手もしっかりしている

オーソドックスかつ丁寧な造り…「フェイスゲートバックパック20」

フェイスゲートバックパック20

一方の「フェイスゲートバックパック20」も20Lの大容量モデルで、新GW-PROのバックパックの中で唯一のフロントが全面開口できる構造だ。フロント全面開口は収納部が大きく開くため、内部の一覧性が高い。カメラバッグを置いて落ち着いた姿勢でレンズ交換をしたいタイプにおすすめできる。

前方がフルオープンする

外寸は約330×500×220mm。カメラ収納部が約300×470×155mmなので、「リアゲートバックパック20」に比べてやや大柄になる。

新GW-PROのバックパックは、いずれも底面にフットスタンドがあり自立する構造だが、このモデルはサイズ感と厚みのバランスのためか、自立させたときの安定感が一番良い気がした。自立させて開くことの多い、フロント開口モデルであればこその作り込みを感じた。

底面は防水仕様。シリーズ共通でしっかりしたフットスタンドを装備

こちらも例に漏れず、バッグ右側に「Lクイックアクセス」を備えているため速写性に優れる。加えて収納上部にもう1台カメラを入れる、2台持ち体制も悪くない。

前方が大きく開くので、上部からのカメラ取り出しも容易
ボディ2台体制の例。収容物はα7R V、FE 16-35mm F2.8 GM、FE 24-70mm F2.8 GM、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS、FE 35mm F1.4 GM、FE 50mm F1.2 GM、FE 100mm F2.8 STF GM OSS、クリップオンストロボ

その際、両側面に内蔵された三脚取付用のベルトを使って、開口部のフラップが開きすぎないようにできる。ファスナーの開けすぎによってレンズなどが転がり落ちるのを防止できる仕組みだ。

フロントフラップが開きすぎないよう、三脚取り付け用ベルトで開き具合を制限できる
サイドポケットに三脚を装着した状態

まとめ

今回紹介した2モデルは、「マルチモードバックパック30」「同20」と比べて、比較的シンプルな構造をしている。そのため、ある程度カメラバッグの使い方が決まっているユーザーに受け入れやすいだろう。

サイズやデザインにもシュッとしたシンプルさがあり、それほどカメラバッグ然とした見た目でもないので街中でも周囲に溶け込みやすい。

それでいて「Lクイックアクセス」による速写性を確保し、さらに収納力も抜群。急な雨にも困らない強靭な造りなど、カメラバッグとして求められるものがしっかりと備わっている。先進の機能を持ちながらも、安心感あるベーシックな使い勝手が得られることだろう。

1986年埼玉県生まれ。風景写真家。雑誌『風景写真』の編集を経てフリーランスになる。日本各地の自然風景、生き物の姿を精力的に撮影。雑誌への執筆や写真講師として活動している。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。