特別企画

春の短期連載:桜の撮影とレンズ焦点距離の関係——標準ズームレンズ編(その2)

焦点距離24mm
撮影:館野二朗
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/24mm/マニュアル露出(1/60秒、F11)/ISO 200

今年も桜が咲き誇る季節となりました。待ち望んでいた読者も多いかと思います。そこで、毎年桜の撮影で日本を駆け巡る写真家の館野二朗さんに、自身の作品を解説してもらいました。

テーマは「ズームレンズと桜の関係」。

自然風景では広角ズームレンズ、標準ズームレンズ、望遠ズームレンズの3本が良く使われるのはご存じの通り。桜の撮影の場合、どのような作画意図でその3本を使い分けているのでしょうか。今回はその2回目、標準ズームレンズ編(その2)です(編集部)

標準ズームレンズ(24-105mm)の使いどころは?

24mmから105mmという焦点距離域は、風景写真でも最も使う領域プラス、痒い所にも手が届くような、便利なズームレンズだ。とくに昨今の軽くコンパクトになったレンズは、荷物を軽くしたい登山や長時間の撮影などではとても重宝している。

そして軽くなっただけではなく、手ブレ補正も強力なので安心して手持ち撮影もできる。描写性能も申し分ないので、信頼できるレンズになっている。

これから写真を始める人や1本でなんでも撮りたい人にもおすすめのレンズだ。

標準ズームレンズの例
RF24-105mm F4 L IS USM

広角側で桜と背景の山をバランスよく

焦点距離28mm
撮影:館野二朗
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/28mm/マニュアル露出(1/25秒、F13)/ISO 100

広がった桜の枝と鳥海山の裾野までをバランスよく入れるためには、桜の木にかなり近づく必要があり、広角側で微調整しながら上手く収まる位置を探して撮影している。このような時は、ズームレンズの自由度が有利だ。


標準域で桜を凝縮

焦点距離50mm
撮影:館野二朗
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/50mm/マニュアル露出(1/60秒、F11)/ISO 200

少し離れた位置から、山の斜面に咲く花々を標準的な画角で捉えた一枚。この画角は広すぎず狭すぎないので、肉眼で見えているものを違和感なく捉えやすい。

風景写真の場合、広い風景から50mmの領域を切り抜くのは難しい点もある。しかし、構図がハマると見ていて飽きのこない写真が撮れる。


離れた位置から桜+城を印象的に

焦点距離81mm
撮影:館野二朗
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/81mm/マニュアル露出(1/60秒、F13)/ISO 200

高い石垣で有名な津山城。その石垣の上に建てられている備中櫓と、周りの桜を下から見上げるように撮影をしている。ある程度引いた場所からでないと櫓が見えないので、ちゃんと見える位置まで引いてから良い画角までズーミングして構図を作っている。ズームレンズの利点を生かした1枚といえる。


縦位置で迫力のある構図に

焦点距離90mm
撮影:館野二朗
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/90mm/マニュアル露出(1/3秒、F5.6)/ISO 400

大きく堂々とした桜の幹を印象的に捉える為に、桜の木が画面いっぱいになるような構図を作って撮影している。この時、離れた位置から望遠側にズームして撮影する事で、余計なものが入らず桜の幹と花に注目できる。


ズーミングで得られるバリエーション

焦点距離105mm
撮影:館野二朗
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/105mm/絞り優先(1/200秒、F4)/ISO 200

数珠なりに垂れ下がった花を、遠目から望遠端の105mmで切り取った。たくさん枝垂れている枝の中から、密度の濃い部分を選んで切り抜けるのは望遠域の強みだ。そして、被写界深度を浅くすることで前ボケを作ることもできる。


望遠端で両岸の桜に迫力を

焦点距離105mm
撮影:館野二朗
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/105mm/絞り優先(1/30秒、F11)/ISO 100

足元まで来ていた花筏をまずは広角側で広く撮影した後に、ズームして手前の花筏から遠くの桜までを縦位置で切り取った。105mmの望遠端で撮影していることもあり、圧縮効果が効いて、距離感のある風景もまとまって写せている。


山の彩りを望遠端で

焦点距離105mm
撮影:館野二朗
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/105mm/絞り優先(1/125秒、F8)/ISO 100

山桜が山の斜面に広く分布している場所で、近くからは撮影できないため遠目から撮影するしかなかった。しかし、あまり広く撮ってしまうと空の分量が多くなり、間の抜けた写真になってしまう。そのため、望遠端で桜の密度の濃い場所を切り抜いて撮影した。


館野二朗

若い頃からバックパッカーの旅やフライフィッシングを通して自然と向き合う。手つかずの自然美にインスピレーションを受け、2000年頃から本格的に撮影活動を開始。以降現在まで全国を行脚し、独創的な視点で撮影をおこなっている。