特別企画
春の短期連載:桜の撮影とレンズ焦点距離の関係——標準ズームレンズ編(その1)
2024年3月11日 11:13
今年も桜が咲き誇る季節となりました。待ち望んでいた読者も多いかと思います。そこで、毎年桜の撮影で日本を駆け巡る写真家の館野二朗さんに、自身の作品を解説してもらいました。
テーマは「ズームレンズと桜の関係」。
自然風景では広角ズームレンズ、標準ズームレンズ、望遠ズームレンズの3本が良く使われるのはご存じの通り。桜の撮影の場合、どのような作画意図でその3本を使い分けているのでしょうか。今回はその2回目、標準ズームレンズ編(その1)です(編集部)
標準ズームレンズ(24-70mm)の使いどころは?
風景写真の撮影において一本だけレンズを持っていくとしたら、やはり標準のズームレンズになるだろう。
レンズは50mmが標準となるが、ズームレンズの場合だと大抵は24mmから70mmくらいで、ワイド側では広角レンズのように使え、また70mmでは少し離れた距離から狙える。そして、このレンズ領域は人間の視野にも近く、風景写真で最も使用頻度の高い領域でもある。
画角を自由に変えられるのは、風景写真にとって大きなメリットになる。
レンズ交換のタイムロスも削減
ライトアップされた臼杵城。階段を上がると、桜と城跡が広く見えるところがあり、広角に変えようか迷ったが、ワイド側いっぱいにして収めることができた。レンズ交換で貴重な薄暮の時間を無駄にすることもなかった。
桜を印象的に配置する
棚田の中にある一本桜を、周りの風景と一緒に撮影しながら、かつ桜に注目した構図も作りたかったので、ワイドから中望遠までカバーしているこのレンズを選んだ。おかげで初めての場所でも、様々な画角を得ることができた。
混雑時でも時間をかけずに
天気がよかったこともあり、この撮影ポイントは大変混み合っていたので三脚は使わず、手持ちであまり時間をかけずに撮影したかった。ズームレンズであれば微妙な画角の調整も簡単にできるので、このような時は便利だ。
前ボケを取り入れて印象的な作品に
一本桜にワイド側で近づいて撮影した後に、菜の花と撮影するために少し離れた位置から撮影している。望遠側で桜を引き寄せ、F3.5にして菜の花を前ボケにいれた。明るいレンズの特性も活かすことができた。
ズーミングで構造物の特徴を生かす
上から出ている桜の枝と門の中に見えている桜は、近づいている時には見えないもので、“離れたからこそ”撮影できるもの。そして、建物など歪みなく撮影したい場合は、少し離れて望遠側で撮影すると正しい形で撮影できる。