特別企画
快速・快適な画像ビューアソフト「Photo ExpressViewer」
写真セレクトをもっと楽しく! シンプルかつ奥深い機能の数々
2021年1月29日 17:00
写真管理のためにわざわざソフトを使うのは大げさ。そのためにソフトを起動するのも面倒だし、Windows標準の「エクスプローラー」でフォルダ分けすれば十分。
今まではそう思っていたけれど、その考えを改めさせられたのが、今回紹介するビューアソフトの「Photo ExpressViewer」(以下、「Photo ExV」)。
フォルダにある写真を見て、セレクトするためのソフトなのだが、専用のソフトだけのことはあり、「痒い所に手が届く」的な使い勝手がとても心地よい。
中・上級者なら写真の閲覧や管理で感じていた「ちょっとした不便」が解消されるし、初心者や初級者なら「写真管理のイロハ」から覚えられる、シンプルで懐の深いツールだと思う。
ワークフローが快適に 動作速度も文句なし!
パソコンで写真を扱うさいに重要なのは、「素早く」「分かりやすく」「気持ちよく」作業できること。これに尽きる。とくに、セレクト(管理)前の写真はフォルダ内に雑多に並んでいるだけなので、必要な写真/いらない写真などを「ストレスなくチェック」していきたい。
そのために必要なのが、「ビューアソフト」と呼ばれるものだ。簡単にいうなら、フォルダ内の写真をサムネイルで表示したり、拡大して表示したり、印をつけて分類できるソフトのこと。
「Photo ExV」はそのひとつで、RAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio」(以下、「SILKYPIX」)シリーズでお馴染みの市川ソフトラボラトリー製の最新ビューアソフトだ。扱える写真の形式はJPEGとTIFF、それとRAWだ。RAWについてはデータ内に記録されているプレビュー画像を利用している。
「SILKYPIX」シリーズにもビューア的な機能が搭載されているため「なぜ今さら?」と思ったのだが、使ってみて納得。編集や活用などの機能が搭載されていない分、シンプルな操作性で小回りの利いた使い勝手に仕上がっている。
つまり、写真を見て、管理することに徹しているということ。RAW現像やレタッチが必要な場合は、「Photo ExV」から編集ソフトを呼び出し、続きの作業はそちらで行なうスタイルだ。
10種類のソフトを登録できる上、それぞれに対してショートカットキーが割り当てられるため、機能を拡張する感覚でソフトを追加していける。使い慣れたソフトと連携ができ、現在の環境やワークフローに追加するのもそれほど難しくはないだろう。
肝心の表示速度はというと、Windows標準の「エクスプローラー」よりも高速。ハッキリいって、これは驚異的だ。
筆者はその昔、パソコンのOSや標準ソフトを開発する環境に身を置いていたが、「OS標準ソフト」は内部的になんでもありの、ある意味チートな存在といえる。「アプリでこの機能を実装したい」と提案すれば、OS側から対応することも可能なわけだし。
そんな「エクスプローラー」を上回る速度を実現するとは思いもよらず、当初は「よくて互角かな?」程度に考えていたけれど……、「Photo ExV」を甘く見てました。
JPEG形式の表示が速いだけでなく、RAW形式が増えるほどに「エクスプローラー」との速度差は顕著になるし、超高画素のRAW形式があってもお構いなしにサクサクと表示していくし。大量のサムネイルを表示させて「ようやく重くなったかな?」と思ったら、裏で別のソフトが動いていた、なんてオチまであって。
あれこれと蘊蓄や弁解を述べているが、要するに、「Photo ExV」は速い。
ちなみに、「エクスプローラー」はコーデックがないとRAW形式が表示できないこともあるため、利便性に関しても「Photo ExV」のほうが快適に感じるはずだ。
写真が守り続けられるソフト
「Photo ExV」を使って最初に感じたのが、メモリーカードからパソコンに写真を取り込む作業がラクになったこと。「日付」や「撮影情報」などで自動的にフォルダを振り分けて保存できるため、手作業で取り込むよりも手間やミスが軽減する。
もちろん、取り込み機能を使わなくてもOK。登録型の管理ソフトのように、「写真をソフトに取り込まないと扱えない」という煩わしさはない。
本格的に写真を管理するソフトには「登録型」のタイプが多いが、手厚い管理がおこなえる反面、外部ソフト(レタッチソフトなど)から管理している写真が見えない(読み込めない)というデメリットもある。つまり、管理ソフトが起動しなくなったら写真が扱えなくなるということ。これが嫌で管理ソフトを敬遠するひとも少なくない。
その点、「Photo ExV」はパソコンのフォルダに直接アクセスするタイプなので、管理しているフォルダもその中の写真も外部から丸見えだ。たとえ「Photo ExV」を使わなくなったとしても、その後も「エクスプローラー」(OSの標準機能)で問題なく写真が扱える。これは、写真を守り続ける上でとても大切なこと。
機能的(写真のコピーや移動など)にはWindows標準の「エクスプローラー」と同様だが、作業面では快適さが大きく異なってくる。その理由のひとつが、「ヒストグラム」機能の有無だ。
ヒストグラムが表示できない「エクスプローラー」の場合、写真を適切にセレクトすることは難しい。露出のチェックを行うには、レタッチソフトなどを起動して、その画面でヒストグラムを確認しなければならないためだ。
対して「Photo ExV」の場合、ヒストグラムを見ることで「サムネイルの状態」でも露出や白とび、黒つぶれがチェックできる。セレクト+露出チェックが同時におこなえるため、作業効率がとてもよい。
ほかのソフトに切り替えるという中断もないため、ストレスなくセレクト作業が続けられるだろう。
カスタマイズ可能な画面構成
「Photo ExV」の画面スタイルは、フォルダ内の写真をサムネイル一覧で表示する「サムネイル表示」、サムネイル+プレビューの「コンビネーション表示」、プレビューのみの「プレビュー」表示の3種類が用意されている。これらを元に、2枚の写真を比較する「マルチプレビュー」や、各コントロールの表示/非表示や配置位置の変更、フローティング化など、使いやすいようにカスタマイズすることが可能だ。
これらの画面構成の中でも、写真を並べて比較する「マルチプレビュー」は、類似した写真をセレクトする上で欠かせない機能のひとつ。たとえば連写した写真なら、比較しながら「よい写真」だけを残していけばベストショットが見付けられるし、露出をバラした写真なら、階調感の高い写真が探しやすくなる。
このように、画面構成はビューアソフトとして標準的なスタイルなので、ほかの製品からでも違和感なく乗り換えられるものだ。
基本の管理がしやすいデザイン
「Photo ExV」を使う最大の目的が写真の管理。つまり、写真をフォルダに分けたり、マークを付けたりして見付けやすくしておき、次の処理(RAW現像やレタッチなど)に備えておくこと。
「マークを付ける」とは、「レーティング」(★の数)や、「ユーザーマーク」(色の付いたラベル)、「お気に入り」、「予約」などの機能を使って、サムネイルに印を付ける作業だ。各マークの設定は、メニューバーや右クリックメニュー、ショートカットキーなどで行なえるが、画面下部の「ステータスバー」を使うと必要なマークにアクセスしやすい。
同様に、画面上部の「ツールバー」にあるボタンで、選択したユーザーマークをもつ写真だけが絞り込み表示できる。
つまり、画面の下のボタンでマークを設定、上でのボタンで絞り込み表示、と覚えておけば、基本的な管理がおこなえるというわけだ。
「マーク付け」と「絞り込み表示」は写真管理の基本中の基本であり、頻度の高い作業なので、見渡しよくこの作業がおこなえるインターフェイスは初心者にも使いやすい。
作業を効率化したい中・上級者なら、ショートカットキーを使ったり、使いやすいキーに割り当て直してもよいだろう。ショートカットキーのカスタマイズの自由度も、「Photo ExV」の特徴のひとつだ。
また、より詳細に写真を探したい場合に備え、「フィルタ」機能と「検索」機能も用意されている。どちらも写真を探す機能だが、前者はピンポイントに、後者はあいまいに探せる点が異なっている。
たとえば「シャッター速度」で写真を探す場合、「フィルタ」機能は「1/100」のようにターゲットを直接指定するが、「検索」機能は「1/100以下」「1/125以上」のように範囲をもたせた指定がおこなえる。レーティングやISO感度、撮影日などに対しても「この範囲で探して」という使い方ができるため、おぼろげな記憶を頼りに探せるのが特徴だ。
各種マークや撮影情報などでは探しにくい写真が出た場合は、「コメント」機能にテキストを入力しておくと写真を見失わずに済む。撮影地や被写体名、季節など、写真を探す手掛かりになりそうなワードを入力しておくとよいだろう。
個人的に気に入った機能がコレ!
ニッチな機能かもしれないが、個人的に役立っているのが「一括リネーム」機能だ。
この機能が優れているのは、「サムネイルの並び順」にファイル名に連番が付けられる点。つまり、「Photo001」「Photo002」などの番号が、サムネイルを入れ替えながら決められるということ。
リネーム機能を必要とするひとは限られているかもしれないが、ほかのソフトではできないことができると、手放せないツールになるのも事実。筆者にとっては、「一括リネーム」機能がまさにそれだ。
命名のルールが細かく設定できるため、SNSにアップする写真や仕事に使う写真など、目的に合わせた名前+連番でファイル名が付けられるため、とても重宝している。
それと、使ってみたら予想外に便利だったのが、「予約」機能。これは、「コピー」や「移動」、「削除」する予定の写真に対して、「後でまとめて実行する」ために付けておくマーク的なものだ。「予約」を設定しておけば、サムネイルを選択することなく、まとめてコピーや移動、削除がおこなえる。
この「選択することなく」という点が重要!
通常はコピーしたい写真を一枚ずつ選択するか、「フィルタ」機能などで絞り込んでから選択し、それからコピーを実行するのだが、「予約」を設定しておけばその手間は不要。未選択状態のまま、ワンアクションで目的の操作が完了する。
このように、「予約」機能は上手く使えばファイル操作が捗る便利な機能なのだが、予約を実行した後に「予約を解除」する設定があるともっと便利だと思う。
現状は、予約実行後も設定が残っている上、移動やコピーした写真にも「予約」設定が付いてしまうため、紛らわしく感じることがあるかもしれない。
この辺りは“慣れ”な気もするけれど、ユーザーが自ら選択できるようにしてもらえると嬉しい。
小技の効いた使い勝手のよさ
「Photo ExV」を使うなら、覚えておきたい小技が「複数のフォルダをまとめて表示」する方法。これの技を使えば、確認したい写真が別々のフォルダに散らばっていても、ひとつのフォルダを覗くようにサムネイルがまとめて表示できる。写真の閲覧や比較表示がとてもラクになること間違いなし。
この操作性に慣れてしまうと、単一フォルダしかサムネイル表示できないソフトがもどかしく感じてしまうくらいに使い勝手のよい機能だ。
ほかにも、とても地味な機能ながら、「これいいな!」と感じているのが「選択コマを閉じる」機能。これは、サムネイル一覧から、選択したサムネイルを閉じる(非表示にする)という文字どおりの機能なのだが、初見では活用法が見出しにくいかもしれない。
この機能が効力を発揮するのが、ザックリと写真の選別をしたい場面。
たとえば、各種のマークを付ける必要もないくらいに不要な写真に対して「選択コマを閉じる」を実行していけば、サムネイル一覧から写真が見えなくなり、必要なものだけを残すことができる。要するに、消去法でセレクトを進めるというわけだ。
写真は実際に削除されるわけではなく、フォルダを再表示する(アクセスし直す)と復活するのでご安心を。
最後に、RAW形式における注意点をひとつ。
RAW形式の表示は「埋め込まれているプレビュー画像」が使われているため、拡大しても実際の画素数の大きさにならない場合もある。実像が確認できない点はデメリットに思えるかもしれないが、それは考え方次第だ。
RAW形式の写真は「編集して仕上げる」ことが前提のため、「Photo ExV」によるセレクトは「編集できる可能性」のある写真が選び出せればよい。そう考えるなら、ある程度の画質で画柄がチェックできるプレビュー画像で十分。そこから先の作業はRAW現像ソフトの役目となる。
この点を理解しておかないと、「Photo ExV」のよさを見失いかねないので、RAWユーザーは特性を覚えておくようにしたい。
◇ ◇ ◇
以上が、「Photo ExV」の主だった機能の紹介と筆者が感じた印象だ。
フォルダを使い写真を管理する上では過不足のない機能を有しているし、レスポンスもよい。管理に特化したシンプルさで、直感的に扱える操作性も好印象だ。
ただし、快適に作業できるかどうかは主観やPCの環境によるところが大きいので、必ず体験版をダウンロードして試してみること。
と、このようにあれこれと検証してみたのだが、実のところ、最大の魅力は価格なのかもと思っている。現在はキャンペーン期間中(2021年3月31日まで)とはいえ、税込み1,980円で入手できるのは大きなメリットだ。しかも、サブスクリプションではないので、ずっと使い続けられるし。
もし、写真を見る環境や整理する環境を整えたいと考えているのなら、「Photo ExV」を選択肢のひとつに入れてみてはどうだろう? 新規のソフトでありながら、「SILKYPIX」という息の長いソフトのDNAを受け継いだ(であろう)同社ならではの機能と操作性で、気持ちよく管理がおこなえるはずだ
制作協力:株式会社市川ソフトラボラトリー