特別企画

人気インスタグラマーyohei_sawamura氏の流儀とは?(前編)

書籍『憧れのインスタグラマー20名に学ぶ 美しい写真術』より

撮影:yohei_sawamura

小社では、数多くのフォロワーから支持を得ているインスタグラマー20名が、それぞれの流儀や撮影術、Instagramの活用術を語る書籍『憧れのインスタグラマー20名に学ぶ 美しい写真術』を5月22日に刊行しました。今回、この20名の参加インスタグラマーの中からyohei_sawamura氏のパートの一部を2回にわけてご紹介します。前編ではインタビューを中心に同氏の人気の秘訣に迫ります(編集部)。

yohei_sawamura
京都府生まれ、京都市在住。東京と京都を中心に活動中。美容師、和食料理人、バリスタ、珈琲焙煎士など、さまざまな職業を経験した異色の経歴を持つ。
Lightroomのオリジナルプリセットは多方面から人気。それぞれの職業で培った感性と類い稀なセンスと器用さを武器に瞬間を自分の“色”で表現している。

インタビュー——向上心のあるモデルを撮影して互いに成長していきたい

――yohei_sawamuraさんは、カメラを手にしたのがとても遅かったそうですね。

yohei_sawamura :カメラを始めたのは30歳です。それまでは、スマホとかでもほとんど写真を撮らへんような人間でした。そのときはカフェの店長で、料理長もしてたんですけど、たまたま料理がめっちゃできる人が入ってきたから、空いた時間でカフェのレベルアップのためにラテアートを始めることにしたんです。ちょうどラテアートの世界チャンピオンの人が京都にお店を出したので、そこに行って話を聞いてたら、審査にラテアートの写真が必要なことが分かりました。それでちゃんとしたカメラを買うことにしました。

その人もカメラにはまってたんで、せっかくやしということで、その人と僕とお店のスタッフと僕の友達の4人でカメラ部を始めようということになったんです。その4人で決めたルールがインスタグラムに1日1投稿。でも、毎日ラテアートの写真を上げてもおもしろくないなと思ったんです。ちょうどそのとき、カフェにあるギャラリーでポートレートの写真展をしてたので興味が湧いて、ポートレートも撮ってみようかなと。

ラテアートを1枚投稿したら、違う写真を2枚投稿しました。最初のころは、「いいね!」が付くのをその4人で張り合うのが楽しかったです。ラテアートのファンと写真で好きになってくれたファンが合わさって、1年目でフォロワーが1万人くらいまでいきました。

――投稿を始めたころは、いろいろなタイプのポートレートを載せていたのが、1年たったころから独自性を感じさせる作品に変わりますね。

yohei_sawamura :それまでインスタグラムのポートレートは、みんな“キメた”写真しか載せてなかったんです。表情も澄ましたり、にらんだりしたようなキメた感じしかなくて、場所も植物園とか海みたいに非日常しかなかった。インスタグラムを始めて1年たったぐらいのときに、たまたまお店に来て仲良くなったお客さんを撮りにいったんです。そのときに、琵琶湖でいつも通りにキメた写真を撮ってたんですけど、撮りながら、「この娘は絶対に笑顔のほうが似合うのにな」って思ってたんです。それでも、そういうものやからって勝手に自分を縛りながら撮ってたんですが、途中でなんか嫌になってきて……。それでしゃべって笑かしながら、バンバンと笑顔の写真を撮りました。

それまで有名なインスタグラマーでそんな笑顔の写真を投稿してる人なんて全然いなかったのですが、めっちゃいい写真と思ったから投稿したんですよ。そのときまで「いいね!」が1,000付いたらガッツポーズするぐらいやったんですけど、その写真は3,000ぐらい付いたんです。翌週は普通に京都の街中でいっしょに遊んで、カフェでお茶したり、CDショップで試聴したりするシーンを撮りました。そしたら、コメント欄には「こんなとこで撮るの?」「普通やん」とかの意見がある一方、反応はすごくよくて、僕自身リアルとリアルじゃないところの間ぐらいが楽しくなっていきました。それで別に付き合ってたわけじゃないんですけど、“彼氏から見る彼女”みたいな目線で1年間撮ってみたんです。そしたら一気に反応がよくなって、2年目でフォロワーが4万人ぐらいまで増えました。

――その後、撮り方は変えていったのですか

yohei_sawamura :彼氏っぽく撮るために、レンズは50mmばっかり使ってたんですけど、もうちょっと広く撮りたいと思って、35mmのオールドレンズを買いました。それまでラテアートとかポートレートとかを撮ってたせいで、ピンポイントで見る目になってたんですけど、それがぐんと広くなって、スナップとか風景とかを撮るのが楽しくなって。スナップにはまるとポートレートにも生きてくるんですね。

この風景のここに人がいたらいいのにというとき、モデルをここに当てはめたらいいんかと思うようになって、そのおかげでポートレートもうまくなったという感覚があります。

以上、取材・文:岡野幸治、人物撮影:池田光徳

この後もインタビューはまだ続く。その中では、インスタグラムの活用方法や運営ポリシー、ポートレート撮影へのこだわりなどについても、yohei_sawamura氏は包み隠さず話してくれている。インスタグラムを利用する際の参考になる情報やヒントを数多く発見することができるだろう。

写真の撮り方

書籍では、撮影意図に合わせたレンズ選択のコツや、ストーリーを感じさせる写真の撮り方・組み方などが分かるコーナーを各写真家ごとに3つ設けています。以下にyohei_sawamura氏の撮り方を抜粋してご紹介します。

[シーン1]陽が落ちるとき

太陽が沈みはじめた夕方の時間帯に感じる美しさと切なさを表現しています。モデルで逆光の太陽を隠して表情をはっきりと見せた写真と、少しずらしてまぶしさを表現した写真を組み合わせました。撮影位置は微妙に変えていますが、構図はほぼ同じ。目線のある・なしで雰囲気が異なるイメージに仕上げています。

撮影:yohei_sawamura
α7R II+SIGMA 50mm F1.4 DG HSM|Art、撮影地:京都市内
撮影:yohei_sawamura
同上

Camera&Lens

ポートレート撮影では、ソニー α7R Ⅲにシグマ 50mm F1.4 DG HSM|Art、もしくはニコンZ 7にニコンNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sを組み合わせて愛用。雰囲気重視で自分の色を表現したいときはソニー×シグマ、透明感やメイクの色みの美しさを表現したいときはニコンを使っています。

ソニーのカメラは、いい意味で色乗りが強くないおかげで自分の好みの色を表現しやすいです。ただし、コントラストが強く出やすいため、シャープだけどコントラストが弱めのシグマを利用することでバランスを保っています。ニコンZ 7は本当に澄んだ色みで発色もしっかりしています。加えて、透明感も抜群なのでモデルの肌の色やメイクの色みをきれいに再現してくれます

カメラ:ソニーα7R III、ニコンZ 7
レンズ:シグマ 50mm F1.4 DG HSM|Art、ニコン NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

Bag&Strap

カメラバッグはthinkTANKphoto(シンクタンクフォト)のAirportTakeOff V2.0を使用。このバッグは基本的にキャリータイプなので重たい荷物も楽に持ち運べます。足場が悪いときや両手を空けたいときはバックパックとしても利用可能で重宝しています。ストラップはpeak design(ピークデザイン)のL-BL-3を使っています。状況によってはストラップがじゃまになることも。そんなとき、簡単にストラップを取り外しできるアンカーリンクシステムを採用している点がお気に入りの理由です

バッグ:thinkTANKphoto Airport TakeOff V2.0
ストラップ:peak design L-BL-3(リーシュ カメラストラップ ブラック)

他にもInstagramを使いこなすヒントがたくさん

本書では、ここで紹介したyohei_sawamura氏を含め、20名のインスタグラマーが登場する。内容もそれぞれとなっており、ユーザーの目を引く写真の撮り方&仕上げ方のほか、フォロワー数を増やすコツや「いいね!」の数を増やすポイントに関する解説も。

またハッシュタグの有効な付け方やフィード画面のきれいな見せ方といったIsntagramをもっと上手く使っていくためのヒントも。“映える”ストーリーズの作り方なども解説しています。

デジカメ Watch編集部