特別企画
円周魚眼で万華鏡写真を撮ると?
LAOWA 4mm F2.8 Fisheye MFTで撮る不思議な世界
2019年9月26日 12:36
210度の画角の威力
「円周魚眼レンズで万華鏡写真を撮ったらどんなイメージになるだろう?」
以前から試してみたかったのですが、Venus Opticsからマイクロフォーサーズ用の円周魚眼レンズ「LAOWA 4mm F2.8 Fisheye MFT」をさっそく入手して実験してみました(国内では9月27日発売)。
一般的な万華鏡は3枚の鏡を組み合わせたもので、回転させながら覗くと鏡に反射してできる模様がどんどん変化していきます。そして私はその偶然できるパターンを記録できないかと万華鏡を使った写真を撮っています。被写体としては生花が多いのですが、普通万華鏡の中に生花は入れられないので、「見たことのない写真を撮ってみたい」という私のコンセプトにも合っています。また通常は広角レンズを使って撮影しているので、円周魚眼との組み合わせには期待大です。
LAOWAの円周魚眼レンズはコンパクトで約135gと軽く、210度の画角をカバーしているのが売りです。
実際に手にしてみるとそのコンパクトさに驚かされました。比較のためにオリンパスのM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO、M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROと並べて撮影してみました。そのサイズの違いがはっきりと分かります。
早速カメラに取り付けて撮影してみて驚きました。
「指まで写ってるー!」
まあ超広角レンズは気をつけないと指が写ってしまうということはありますが、OM-D E-M1 Mark IIを使い、グリップを握って撮影する限り必ず指が写りこみます。さすが210度の威力。
指を隠して撮ってみましたが、今度はグリップが写ってしまいました。つまり、大きめのグリップがあるカメラとこのレンズとの組み合わせでは、トリミングしないで使いたいという場合には向いていないということです。
ただ、たとえば前と後ろの写真を2枚撮って、そこから360度の全周写真にしたいというような場合はグリップの部分の写りこみをカットしてしまえばいいんだから問題はありません。というか重なり部分が60度あるんだから問題はないはず。あとはドローンにつけて撮影するといったことを想定されているようですが、これにも向いてますね。なにしろ軽いから。うまく使い方を考えれば、いろいろ楽しめそうなレンズです。
専用の万華鏡を作ってみた
私は今までいろんな方法で万華鏡写真を撮ってきました。通常の万華鏡というのは覗き穴が小さく写真を撮るには向いていません。そこで覗き穴をなくし撮影に向いた大きめの万華鏡を作ることを基本としています。
そして通常は万華鏡の中にオブジェクトを入れて楽しみますが、オブジェクトを入れずに素通しにしました。それによっていろんな被写体が撮影でき、屋外に持ち出すこともできるようになりました。
万華鏡の撮影に向いているのは広角系のレンズです。スリーミラーシステムの場合は3枚の鏡を使い、三角形のパターンの繰り返しを撮影しますが、広角レンズを使うとこのパターンの数が増えてきます。逆に望遠レンズの場合はパターンの数が少なくなり、万華鏡らしさは薄れてきます。
私が万華鏡撮影でよく使っているのはM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8(35mm判換算34mm相当)です。私の使っている万華鏡でパターンの数がちょうどいい感じになるからです。ただ望遠系のレンズではパターンが減るもののオブジェクトのディテールがはっきりと写っておもしろい。つまりは感覚的にいろんな画角のレンズをチョイスしてみればそれぞれで楽しむことができるということです。
ただし前玉が大きすぎて万華鏡からはみ出てしまうようなレンズだとケラレが発生するので向いていません。
そんな中で今回LAOWAのレンズを試してみたのは円周魚眼でありながらレンズがコンパクトに設計されているからです。ただいつもの万華鏡には合わなかったので、このレンズ専用の万華鏡を工作して撮影してみました。
いつも使っているミラーは53×226×1mm。ガラス製の表面反射鏡で「万華鏡写真用ミラー/表面反射鏡(3枚組)」(ZENJIX)として販売もしています。某スナック菓子の空き箱にぴったりのサイズになっているのがミソです。
そして今回作ったのは85×100×1mm。レンズの最短撮影距離、レンズの大きさ、歪み方などを考えて、このサイズにしてみました。円周魚眼用のほうが三辺が長く、長さが短くなっているのは、レンズがすっぽり入るようにしたのと被写体に近づけて歪みを生かした撮影にしたかったからです。
そしてこの円周魚眼で撮影したのがこの写真。歪みが強調され、たくさんのパターンが映り込んだ不思議なイメージの写真になりました。
私は宙玉(そらたま)を始め、丸を基調とした写真をいろいろ撮っているので、それらとも親和性の高いシリーズができそうです。
ただし、上の写真は若干トリミングをしています。というのはこのレンズの画角は210度なので、トリミングをしないと反射したレンズの側面まで写ってしまうからです。周囲に写るレンズの姿に気づいた時はちょっと引きました(笑)
コスモスとホオズキの写真を30mmと17mmで撮影したのが以下の写真。レンズにより見え方も変わってきます。
実際の撮影法
室内で撮影をする場合は三脚を使い、俯瞰で撮っています。真上から撮影をするため、ベルボンの「V4ユニット」を使用。真俯瞰で撮れない場合は多少斜めでも構いませんが三脚は使ったほうがブレないし撮影がしやすくなります。ただスマートフォンで撮影する場合は三脚なしで気軽に撮ってみてください。
照明はライトボックスのようなもので下から当ててもいいし、LEDで横から当ててもいい。また窓際の明るいところで撮影してもオーケーです。
万華鏡はレンズに直接取り付けてしまったほうが撮影は楽ですが、円周魚眼に万華鏡を取り付ける工作はまだできていないので、針金を使った工作で自立させて撮影しました。屋外で撮影をした時は右手にカメラ、左手に万華鏡というスタイルだったので撮影の難易度はちょっと高かったです。
今後の課題としては万華鏡にレンズをどう取り付けるかということ。ただこれがクリアできれば、まあるい万華鏡写真が室内でも屋外でも撮りやすくなるので、ぜひ実現したいところです。
その他万華鏡を使った撮影方法に関しては、上原ゼンジのWEBサイトでも紹介しているので興味のある方は御覧ください。
おまけ:宙玉で花火を撮る
今年の夏は宙玉を使った打ち上げ花火の撮影に何度か出かけました。OM-D E-M1 Mark IIに搭載されているライブコンポジットという機能にハマったからです。
これはカメラ内で写真を合成してくれる機能ですが、次々に打ち上がる花火をライブで合成することが可能。画面を見ながら合成されていく写真を見てちょうどいいと思ったところで止めるのですが、このタイミングがなかなか難しくおもしろい。
撮影のポイントとしてはいつもの宙玉写真よりも焦点距離の長いレンズを使ったこと(35mm判換算80mm)。これにより、バックでボケる花火を大きく捉えることができました。
通常宙玉を使った撮影では35mm判換算で焦点距離24-50mm程度のレンズを推奨しています。ある程度の範囲がバックに写っていたほうが絵的におもしろいのと、望遠系のレンズでは適切なサイズに玉を写すためにレンズから離さなければならず、重みでレンズに負担がかかってしまうからです。
宙玉での花火撮影はちょっと難易度が高いですが、けっこうおもしろいので興味がある方はぜひお試しを! ムービーを撮ってもおもしろいですよ。
現在TwitterとInstagramを使って『宙玉アワード2019』を開催中なので、おもしろい写真が撮れたらぜひご応募ください。セッティングの詳細に関しては宙玉サイトの情報をご参考に。
告知:上原ゼンジ写真展「宙玉と万華鏡」
会場
オリンパスプラザ大阪・クリエイティブウォール
会期
2019年9月27日(金)〜10月3日(木)10時00分〜18時00分
※最終日は15時00分まで。日曜日(9月29日)は定休日ですのでご注意ください。
トークショー
2019年9月28日(土)15時00分〜16時00分