特別企画
“ドデカク使える”ウェイクを、カメラマンはどう使いこなす?
ダイハツ ウェイクで行く早春房総撮影ドライブ
2019年2月27日 08:19
冬の寒さが残る2月上旬。まだまだ花の少ない季節だが、ここへ行けばたくさんの花に出会えるという場所がある。それが、黒潮の影響を受けて温暖な海沿いのまち、千葉県の南端地域だ。ひと足早い春を求めて、館山市と南房総市へドライブ撮影旅に出かけた。
私の愛車は10年ほど前に購入したダイハツ「ハイゼットカーゴ」。荷室がフルフラットになり、多くの機材を乗せられて、車中で寝泊まりしやすいところが気に入っている。フリーランスになってから初めて購入したのがハイゼットで、今のハイゼットは2代目だ。
そんな私が今回乗ったのは同じダイハツの軽自動車「ウェイク」。「ドデカク使おう」のキャッチフレーズが耳に残るテレビCMを見て「アウトドア向け」「たくさん乗せられる」というぼんやりとしたイメージは抱いていたものの、今回、初めて乗ってみて、いろいろな驚き、発見があった。最新の軽自動車「ウェイク」の魅力を紹介しつつ、旅に役立つ撮影テクニックを交えていきたい。
まずはドキドキのウェイク初乗車。軽とは思えないほどに、車内が広々としているという印象だ。アイポイントが高く、そして、フロントガラスからの距離が少し離れているので、前方への圧迫感がないので広がりを感じるのだろう。フロントガラスの横、ドア前方側にも窓があるので、右左折時の視界も良好。
さて、いよいよエンジン始動して都内にある編集部から出発。スマートキーを持っていれば、プッシュボタンでエンジンがスタートする。走行中は信号で止まるたび、完全に停車する少し前に自動でエンジンが止まり、ブレーキペダルを離すとエンジンが再始動するという燃費を考えた「エコアイドル」機能が搭載されている。走り出しが遅くなるのでは? とも思ったが、とてもスムーズ。
首都高、東京アクアラインを通り、館山道に入る。私が写真を始めた頃から南房総へ通っているが、その頃はアクアラインもなく、館山道も途切れ途切れだったことを考えると、都内からのアクセスはとてもよくなった。
海の上を通るアクアラインを走ると、強い風に吹かれて、車高の高い車はふらつきがちで、少し怖さを感じるのだが、ウェイクは車高が高いにも関わらず、走りが安定していて快適だった。走りの感触を確かめつつ、2時間もかからずに富浦インターに到着。少し早めのランチタイムを、という事でインターの目の前にある寿司店に入った。
駐車場などで、車をバックで停めるのに不安を感じるシーンもあるが、そんな時に味方になってくれたのがバックモニター+パノラマモニターの2画面表示。後方を確認しながら、車の周辺を上から俯瞰して見ているようで、安心だ。またパワースライドドアはボタンのワンタッチでドアの開閉ができるので、たくさんの撮影機材を抱えている時に嬉しい。
店ではちょうど窓ぎわの席に案内されたのだが、自然光が入り込む席は写真を撮るのに好都合。真上から強い光が当たる店内の照明よりも、窓辺は光が拡散して料理が綺麗に写るのだ。さらに、窓に向かい合うようにポジションを選ぶと逆光気味になり、きつい影ができにくい。
さて、さっそく地元のネタを注文。炙り穴子にのったタレの照りが食欲をそそる。やはり光は大事で、光があるからこそ白く反射して照り感が生まれる。また、穴子だけでは画面が寂しいので、別の寿司も入れたいが、ごちゃごちゃしないよう、寿司とわかる程度にぼかした。絞り優先オートで絞り値(F値)を小さくすれば、背景はボケる。ボケについては花の撮影編で詳しく解説しよう。
次は、地魚の寿司、椀、そして、房総の漁師料理「アジのなめろう」。どれも鮮度が良く、美味しそうだ。こちらもテーブルの賑わいを出すべく、1品だけではなく、数品を画面に入れたい。画面に動き、流れができるように、3品をくの字を描くように配置した。また、少し寿司ゲタを斜めにすることでも動きが出た。最後の味付けとして、カメラの仕上がり設定をナチュラルからビビッドにすると、赤み魚の色がより鮮やかになってより美味しそうに写る。
お腹がいっぱいになったところで、メインの撮影へ向かう。館山市中心部から南房総市の野島崎灯台までの道は「房総フラワーライン」と呼ばれ、海を眺めながらのドライブが楽しめ、この時期は道路の両脇に菜の花が咲いている。まっすぐで走りやすい道が続く、ドライブにお勧めのルートだ。
最初の目的地は館山ファミリーパーク。広大な敷地に10万株100万本の花が咲く、関東最大級のポピー畑だ。オレンジや黄色、白の花がひしめくように咲き競い、見頃は2月から3月だが、次々とつぼみをつけるので、5月ぐらいまでは楽しめる。ポピーは大きく薄く、大きな花びらが広がり、光に透けるととても美しい。
今回はあいにくの曇り空だったので、そのままの露出で撮ると色が濁ってしまう。そこで、露出補正を大幅にプラスへ動かせば、見た目以上に透明感のある仕上がりになる。まずは気に入った花を一輪選んでクローズアップしてみよう。写真のように背景をぼかすと主役の花が目立つ。それには「絞りを開ける」「望遠系のレンズを使う」「花に近づく」「主役と背景が離れたアングルを選ぶ」という4つのポイントを取り入れるといい。
また手前の花をぼかして入れる“前ボケ”は花全体をやわらかく包むひとつ上のぼかしテクニックだ。園内にあったサンドアートもこの前ボケのテクニックを使えば花畑の雰囲気を組み合わせることができる。もちろん人物撮影にも使えるテクニックなので、挑戦してほしい。いつもの記念写真がグレードアップすること間違いなし!
また、たくさんの花があるのだから、花畑としても狙ってみたい。立ったままのアングルで足元の花を狙うと花の重なりが乏しく、なんだかスカスカして見える。しゃがんで低いアングルから、望遠レンズで遠くの花を狙うと花が重なり、密集感が生まれる。ちょっとの工夫で、写真の印象が大きく変わるのだ。
ここは屋外のポピー畑のほか、ビニールハウス内でストックやスターチスといった花も植えられており、花摘みも楽しめる。写真に撮って、さらにお家に飾って楽しむのもいいだろう。曇っているときは花がやや青みがかって見えるので、ホワイトバランスを日陰にして赤みを加えた。あたたかい色合いの方が春らしい雰囲気になる。
こちらは井上さんの作品。カメラの知識は全くないとのことだったけれども、ポピー畑のところで紹介した撮影テクニックをさっそく実践していた。
次は房総半島最南端の野島崎灯台を目指す。それほど距離が離れているわけではないので、カメラをいちいちバッグにしまうほどでもない。そんなときはウェイクの収納が便利だ。助手席前にある大型トレイにはレンズを付けたままの一眼カメラが軽く収まってしまう。被写体を探しながら、ちょっと撮っては移動することも多いので、これは便利。
そのほか、さまざまな収納スペースが多くあり、助手席の下や運転席の前の収納は外からは見えないので、防犯の点からも嬉しい。ユーザーごとに、何をどこにしまうのか、工夫して使っていけそうだ。
さて、灯台に到着すると、雲の合間から青空がのぞいていたが、灯台は陰っていた。空と灯台とに露出差があるので、空をメインの露出にすると灯台は暗くなり、灯台をメインにすると空は白く飛んでしまうという難しい条件だ。そのため、今回は露出を暗めにして、灯台は風景の中の点景として控えめに配置した。
空を大きく入れた写真では灯台は小さく、ぽつんとしているが、そのぶん、空の広がりを感じさせることができている。また、露出を暗くしているので、雲の陰影がしっかり出た。
手前に草むらを入れたカット。標準ズームレンズの広角側で草むらに迫っているので、遠近感が生まれた。
このヤシの木を入れた写真も同様で、広角特有の奥行き感が感じられる写真になった。
天候に恵まれなかったときは、露出やホワイトバランスを工夫したり、アートフィルターを使用して、自分のイメージに近づけてみるといいだろう。
今回は日帰りの旅だったが、泊まりがけで撮りに行くことも多い。そんなときはいつも車中泊なので、私の車にはいつも寝具が積んである。同じようにウェイクにも私がいつも持っていく荷物を積んでみた。
実際に試してみると、その収納力は素晴らしく、荷室のアンダートランクは長いものでも立てかけて乗せられるし、蓋がわりのデッキボードが備わっていて、下に入れる荷物の大きさに応じて、2段階に高さ調節でき、ミニテーブルとしても使える。下には小型のテントや長靴、上には頻繁に出し入れするカメラバッグ、三脚と寝具を乗せてみた。
また、車中泊する場合はシートをフラットに倒したいが、ニーズに合わせてパターンを変えることができる。朝起きて、すぐに発進させるなら運転席はそのままにしておきたいので、助手席側だけ倒してあとは平らにする。広々としているので、1日撮り終えた写真データをパソコンに取り込んで、チェックすることもできる。
残念ながら空が曇っていたので、夕焼けの撮影を諦めて帰ることに。あたりはすっかり暗くなってしまった。ちょっとしたことだが、帰り支度で荷物を整理するときに、LEDの車内灯・荷室灯が明るいのも助かった。また帰り途中、内陸の道が結構暗かったのだが、ハイビームとロービームが自動で切り替わるので、対向車の有無での切り替えがいらなかった。
ちょっとしたことでも、毎日のように乗るのだから、快適に過ごせることに越したことはない。遠くへ撮影に出かけるとなる、撮影時間よりも運転時間の方が長かったりすることもある。私の愛車である10年前のハイゼットと比べると何から何まで新しく、便利になっている。宣伝を見ていても、カタログを見てもわからなかったことが、実際に乗ってみてわかってきた。そろそろ買い替えかな? と思いながら、都内への帰路についた。
制作・撮影協力
ダイハツ工業株式会社
地魚回転寿司 山傳丸
館山ファミリーパーク