特別企画

トレンドを網羅した4K27型広色域液晶ディスプレイ「ViewSonic VP2785-4K」を試す

ハードウェアキャリブレーション対応で10万円以下の良コスパ

プロアマを問わず、フォトグラファーも4Kというキーワードを無視できない時代になった。デジタルカメラは着々と高画素数化が進み、4K動画が録れる機種も今となってはさほど珍しくない。大きく高解像度で色再現性の高い液晶ディスプレイは、写真と動画にこだわる者にとって必需品だ。この手の製品は高額になりがちだが、ViewSonicからリーズナブルな4K対応広色域27型液晶ディスプレイが登場した。それがVP2785-4Kである。

4K27型ながら同サイズの普及価格帯に割って入る

ViewSonic VP2785-4Kは、4K対応27型というハイエンドクラスの液晶ディスプレイだ。普及価格帯の27型モデルが2,560×1,440ドットであるのに対し、本製品は3,840×2,160ドットの4Kに対応している。単に高解像というだけでなく、Adobe RGB 99%、DCI-P3 95%をカバーし、HDR10もサポートする。写真と映像のプロユースを意識した仕様だ。

4K対応の27型液晶パネルを採用。ハードウェアキャリブレーションに対応し、フォトグラファーのニーズにしっかりと応えてくれる。

フォトグラファー目線で重要なカラーマネージメント機能は、ハードウェアキャリブレーションに対応している点。本機能はキャリブレーションセンサーの老舗メーカー、X-rite(ビデオジェット・エックスライト株式会社)とのコラボレーションで実現した。

X-rite社のキャリブレーションセンサーを使い、プリセットや任意のターゲットに合わせてハードウェアキャリブレーションが可能だ。

X-riteとのコラボレーションでハードウェアキャリブレーションを実現する。カラーマネージメント環境に必須の機能だ。

また、高品位なバックライトセンサーを採用し、均一かつ安定した輝度やガンマを維持できるように配慮している。

4K対応27型、Adobe RGB 99%カバー、そしてハードウェアキャリブレーション対応。これだけの条件がそろって99,800円というのは、フォトグラファーにとって大いに魅力的な価格である。

複数の入力端子群により様々な使い方が可能

インターフェイスは映像入力用にディスプレイポート×1、ミニDP×1、HDMI×2を備え、DVI端子は未搭載だ。USB3.1端子はType-A×3、Type-B×1、Type-C×1を装備している。

USB、HDMI、ディスプレイポートと端子類が並ぶ。端子はすべてパネル下部にあり、側面に端子はない(写真はディスプレイを縦にしたところ)。

USB3.1 Type-Bはハードウェアキャリブレーションや後述するオートピボットの際、映像出力するパソコンと接続しておく。

ノートパソコンをUSB3.1 Type-Cで接続すれば、映像出力と電源供給が1本のケーブルで可能だ。VP2785-4Kをノートパソコンの拡張ディスプレイとして使いたいとき、ケーブルに煩わされない快適な環境を構築できる。

また、複数の映像入力およびマルチピクチャーに対応しているので、ノートパソコンとデスクトップパソコンを接続し、画面を切り替えて使ったり、分割画面で表示するなど、多様な使い方が可能だ。

ピボット機能も搭載

VP2785-4Kはベゼルが非常にスリムで、27型モデルの割りにデスクスペースを必要以上に圧迫しない。ホームユースだと27型はかなり大きく感じるものだが、本製品に関しては思いの外スマートに収まってくれる。

ベゼルはスリムな上に、液晶パネル面とフラットになっている。27型ディスプレイは無論大画面だが、スリムベゼルのおかげで圧迫感は少ない。

スイベル、ティルト、高さ調整、さらにはピボット(縦横の回転)に対応し、自由度の高い設置が可能だ。特にピボットは縦位置写真を大きく表示したり、ウェブサイト閲覧でスクロールの手間が省けるなど、様々な利点がある。

液晶パネルを回転し、縦位置の写真を表示してみた。アスペクト比16:9のディスプレイなので、3:2の写真だと上下に余白がある。

専用のユーティリティーソフトをインストールすることで、ディスプレイの縦横を動かすだけで自動的に表示方向の切り替えが可能だ。その一方で、人を検知して自動的にスリープから復帰する人感センサー、周囲の明るさに応じてディスプレイの輝度を自動調整する環境光センサーを搭載し、ユーザビリティーも十分に配慮した製品である。

用途カテゴリー別にプリセットが用意されている

OSDのメニューを見ていこう。前面ボタンに軽く触れると、まずは簡易メニューが表示される。

静電式のボタンで、軽く触れるだけでメニューが画面に現れる。OSDメニュー内の移動はこのボタンを押して操作する。

標準色、コントラスト/輝度、入力選択、メインメニューといった項目が並び、使用頻度の高い項目に速やかにアクセス可能だ。特に入力選択を手軽に変更できるのはありがたい機能性である。

簡易メニューを表示した状態。入力選択や輝度にスピーディーにアクセスできる。シンプルで使いやすいメニューだ。

メインメニューでは詳細な設定が可能で、その項目は多岐にわたる。

興味深いのはViewモードだ。ゲーム、映画、ウェブ、フォトグラファーなど、用途カテゴリーごとに表示プリセットが用意されている。Viewモードの「フォトグラファー」を例に取ると、「レトロ」「風景」「モノクロ」など、写真を個性的に表示するプリセットが並んでいた。

メインメニューのViewモードでモノクロを選択してみた。画面がすぐさまモノクロ状態になる。ノンレタッチで写真のモノクロ鑑賞が可能だ。

その一方で、「カラー調整」の「カスタム」を開くと、色温度、ガンマ調整など、キャリブレーションのターゲット値でおなじみの項目があらわれる。これらを手動で微調整するといった使い方も可能だ。

メインメニューのカスタムを開いたところ。キャリブレーションのターゲット値となる色温度やガンマ値を手動で調整できる。

文字通りの“折り紙つき”の品質が保証される液晶パネル

液晶ディスプレイは他のパソコン用周辺機器と比べ、買って長く使うことになる。それだけに液晶パネルの表示品質が気になるところだ。その不安を払拭してくれるのが製品個々に同梱されたカラー・キャリブレーション・ファクトリー・レポートである。

これは出荷時の製品チェックをまとめたもので、それぞれの個体につき、ユニフォーミティー(均一性)、ガンマカーブ、輝度、色域など、多様な項目のレポートが記載されている。レポート内容は無論、こうしたレポートを同梱すること自体に、メーカーとして品質への自信が見て取れる。

ViewSonic VP2785-4Kは、4K27型、カラーマネージメント、HDR10、USB3.1 Type-C、とトレンドスペックを全網羅し、なおかつ手頃な価格を実現する。その上品質にも自信ありというのだから頼もしい。本気で写真に取り組む作業環境として、貴重な選択肢になってくれるだろう。

制作協力:ビューソニックジャパン株式会社

澤村徹

(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp