特別企画
小型で軽量、でも本格派!Profoto B10で子ども撮影に挑戦
出張撮影の現場で使ってみる
2018年10月29日 12:30
元来、バッテリー内蔵式のモノブロックストロボは灯体が重く、そのこと自体は仕方ないと思われてきた。そのため、トップなどをつくるような灯体の軽さが必要なときは、ジェネレーターのタイプの灯体か、クリップオンストロボが使用されていた。
しかしPtofoto B10は、十分な出力がありながらもサイズはコンパクトな点が新しい。Profoto B10の出力は最大で250Ws。室内の出張撮影などでは余りある性能と言えるだろう。サイズがコンパクトとなりかつ機材全体の質量が減ることで、現場での設定はとてもスマートになるはずだ。
左がProfoto B10(以下B10)、右がProfoto A1(以下A1)。B10はクリップオンスタイルのA1に対し、一回り大きい程度だ。モノブロックストロボとしては破格に小さいことがわかるだろう。
操作系は従来のProfoto製品と共通。直感的な操作が可能だ。Air Remote TTLを使った無線コントロールにも対応している。
また、B1XやB2と同じくバッテリーで駆動するので、カメラとのシンクロコードも、AC電源からの電源ケーブルのどちらからもフリーとなっている。
バッテリーは少し小ぶりだが、最大出力で400回照射できる。様々なシチュエーションを演出しながら余裕を持って撮影することができそうだ。
LEDによるモデリングライトも内蔵。最大2,500ルーメンとかなり明るい上、調光および色温度のコントロール(3,000〜6,500K)も行える。
また、近年のデジタルカメラは高性能となり、感度を上げてもノイズを感じづらくなってきた。そんな中で、環境光をうまく利用しつつスポット的にストロボを取り入れる撮影方法はメジャーとなっている。そういう意味では、クリップオンスタイルのProfoto A1(以下A1)で十分だというユーザーもいるはずだ。A1なら機材のサイズも格段に小さい。その代わりA1はアクセサリーのバリエーションが少なく、その点を悩ましく感じていたユーザーもいるだろう。
その点、B10に使用できるアクセサリーは、B1XやD2など、他のProfoto製品と150種類以上のアクセサリー(ライトシェーピングツール)が共有できる。ソフトボックスやOCFソフトボックス60cm Octaなど、表現を広げるためのアイテムが使いまわせるのはうれしいところだ。
今回B10を手にして実際に子どもを撮る出張撮影を行ってみたので、そのレポートをしてみたい。子ども撮影のバリエーションも説明してみたので参考にして見てほしい。
Case: 1
モデルとなる子どもの自宅で撮る出張撮影の場合、撮影スタジオなどと違い空間が狭いため、ストロボからの光を反射させて利用することが前提となる。モデルの後ろにさりげなく設置するとき、コンパクトなB10と小さめのOCFソフトボックス60cm Octaのコンビネーションは最強だ。
まずはB10の光を回しつつ、前から明るさを補うためA1を1灯使用。計2灯で撮影した。B10からの光はモデルの後ろにまわり、その反射光で反射光で全体が明るくなる。髪の毛のハイライトも柔らかい。
Case: 2
今度はテレビを見ている兄妹を撮影。カーテン奥のベランダにB10を忍ばせた。背景が落ちてしまうと印象的な雰囲気になりすぎるので、普段の暮らしのいち場面を意識して、A1で弱めの光を背景に当てている。
Case: 3
同じように太陽の光が弱い北側の窓にB10を忍ばせて、自然光の向きに光を合わせながらA1で顔の影をおこす。ふんわりとした柔らかい光が白い壁に反射し、北側の暗い光を感じさせない仕上がりになった。
Case: 4
暗めの場所には、その暗さを活かしたライティングも良い。表情が出にくい男の子は、連写で撮影することも多いが、B10はチャージが速くて非常に助かる。
B10を窓の外のベランダに忍ばせて、カーテンを引き背景を落とすと、サイド光の大人びたライティングになった。
Case: 5
南向きの光が強い場所で、ハイスピードシンクロに設定して動きを狙う。影がしっかりと出るように、被写体のサイドから後ろにかけてストロボ光を使用。B10、A1ともアクセサリーを使わず直に照射した。
窓枠などの影に比べて、男の子の影はコントラストが強く黒くはっきりと出ていることから、B10の効果がよく現れているのがわかる。
Case: 6
同じ場所でB10にOCFソフトボックス60cm Octaを使用。女の子には自然光のサイド光が強すぎる場所だが、B10の発光する光を弱めに拡散して顔に強い影が出ないようにする。 アンバーのフィルターを使用したため、ウッドな空間に似合う柔らかい午後のオレンジの光をつくることができた。
Case: 6
陽もだいぶ落ちてきたので、お兄ちゃんの方は暗さを取り入れた男の子らしいカットを。全体的にアンダーの写真だが、A1が扉の向こうで発光しているので髪の毛にハイライトができ、暗くなりすぎない印象に。
Case: 7
同じ場所で今度はメインにA1、背景にB10を使用。B10、A1ともにバッテリー式でかつ無線コントロールに対応するコードレスタイプなので、こういった機材の交換も非常にスムーズだ。真逆光にすると顔のディティールが溶けてしまうので、A1で少し光を当ててている。
まとめ
子ども写真において、現場のスピード感は大切な要素の一つ。長引くと子どもは飽きてしまうからだ。カメラの向上とともに、誰しも写真を写せるようになったが、今後求められるのは、常に最善の空間を素早くつくれるフォトグラファーではないだろうか。どんなシチュエーションでも完成度にばらつきを持たせない仕上がりは、クライアントに大きな安心と信頼を持ってもらえる部分となる。
B10は今まで以上に機動力や持ち運びにすぐれ、小さいながらそのボディにプロフォトブランドの基本機能が継承されている。スマートに格好良く、短時間で撮影するためには、カメラやレンズだけではなく、照明という機材選びも重要になってくる。自分のパ-ソナルサイズを理解し、運搬やセッティングも含めて最善の機材を選ぶことは、自分の写真作品、さらに現場のクォリティーを上げることにつながるだろう。
制作協力:プロフォト株式会社