特別企画

シーズン到来!三脚が必要な紅葉撮影とは?

動感表現やライトアップなど、一味違う紅葉写真に挑戦してみよう

秋が深まる中、赤やオレンジ、黄色と彩り豊かに色づく紅葉の季節がやってきました。すでに多くの読者が紅葉の撮影に挑戦しているかと思いますが、私も晴れあり、雨あり、曇りあり、そして夜のライトアップと、様々なシーンで紅葉を撮影してきました。

テーマは「三脚が必要な紅葉写真」。

最近はデジタルカメラの高感度画質が良くなったため、三脚の必要性が薄れています。また、手ブレ補正の効きも良くなり、手持ちでの撮影範囲が広がっているのはご存知でしょう。

しかし、手持ち撮影にも限界があります。三脚を使うことで手持ち撮影とは一味違う表現が可能になったり、低感度でブレのない美しい作品に仕上げられるのです。

望遠やマクロ撮影で……

三脚が欲しいと思う撮影のひとつに、望遠レンズやマクロレンズでのクローズアップ撮影があります。被写体が近いほどブレが目立ちやすくなるからです。紅葉の場合は、望遠レンズで一部を切り出したり、マクロレンズで1枚の葉をクローズアップする表現があります。

このとき、背景をすっきりさせたいので、絞りは開放付近で撮ります。そのぶん被写界深度が浅くなるので、ピント合わせがシビアになりがち。ピント位置が数mmずれただけで作品が台無しになるので、三脚に固定することで、前後のぶれによるピントのずれを抑えましょう。

赤い葉の背景に緑の葉を、逆に緑の葉を主役に色づいた葉をぼかして、色の対比を楽しむのもいいですね。1枚1枚の葉を目立たせるため、葉の重なりの少ない、枝先を狙うのがポイントです。

OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 1/20秒 / F2.8 / 135mm(270mm相当) / ISO 400
OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 1/200秒 / F2.8 / 150mm(300mm相当) / ISO 200

これは雨の日のカット。曇天時は色が濁りやすいので露出を明るめにし、ホワイトバランスをカスタムで調整して青みを加えています。水滴がつき、幹が濡れ、しっとりとした雰囲気があります。

OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 1/200秒 / F2.8 / 150mm(300mm相当) / ISO 200

このときのシャッター速度は1/8秒。高画質な低感度での撮影にこだわると、ここまでシャッター速度は下がるのです。三脚の必要性を感じた瞬間でした。

日の出前に起き出して足元を見ると、落ち葉に霜が付いていました。マクロレンズで近接撮影をするときはブレが目立ちやすく、ピントもずれやすいもの。三脚の出番です。

ピントを確認するためにライブビュー画面の拡大機能を使っていますが、カメラを固定していると安定して画面が見られます。日が差し込むとキラキラと輝いて綺麗でしたが、撮影しているうちに、あっという間に霜が溶けてしまいました。

OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro / 1/200秒 / F2.8 / 60mm(120mm相当) / ISO 200

滝・渓流でも……

滝や渓流を絡めた動感表現も紅葉撮影のひとつです。水が美しく流れているように見せるには、1秒以上の低速シャッターにしたいところ。中途半端に遅いシャッター速度では流れが細切れに写るからです。こういった場面は三脚がないと撮影が難しいでしょう。

そのとき、PLフィルターで葉のテカリを抑えたり、水面や岩場の反射も除去するのも定番のテクニック。PLフィルターを使用するとシャッター速度が下がるので、やはり三脚があったほうが有利です。

OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 2秒 / F14 / 150mm(300mm相当) / ISO 200
OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 1秒 / F13 / 48mm(96mm相当) / ISO 200
OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO / 1秒 / F16 / 28mm(56mm相当) / ISO 200

ライトアップでも……

ライトアップされた紅葉は、日中とは違った美しさがあります。下からの光に照らされるので、木自身が発光しているかのようです。基本的な撮影テクニックは夜景と考えて良いので、三脚があったほうが良いでしょう。

日の入りの頃にスタンバイし、日の入りから20分ぐらいに撮影をスタート。ちょうど薄暗くなってライトアップが目立ちつつも、空のトーンが残っています。その後、空は真っ黒になりますが、黒の中に照らされた木々が浮かび上がるのも妖しげで魅力的です。

設定としては、黒の占める面積が多いので露出補正はマイナスにし、ホワイトバランスは晴天で、見た目の色合いを出しています。

OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO / 1.3秒 / F8.0 / 12mm(24mm相当) / ISO 200

水面が揺らぐと写り込みにシャープ感がなくなってしまいます。絞りは開け気味にしてシャッター速度を速めにしています。それでも手持ちではブレが心配なので三脚を使用しました。2秒セルフタイマーを使うとシャッターボタンを押したときの振動も防げます。

OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 1/6秒 / F2.8 / 40mm(80mm相当) / ISO 200

まとめ:天候が悪くても撮れる!そのためには三脚がポイントに

撮影に出かけても、なかなか思い通りの天候に恵まれることはありませんが、悪天候でもそれが自然の表情と捉え、カメラの設定や三脚を上手に活用してみましょう。雨の良さ、日陰の良さが見つかるはずですし、また、晴れれば、心地の良い気持ちが写真に現れるかもしれませんね。ぜひ、紅葉を撮影に出かけてみてください。

OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 1/6秒 / F2.8 / 150mm(300mm相当) / ISO 200

今回使った三脚は……

ベルボンの「ジオ・カルマーニュE645M II」です。望遠レンズでの撮影でも安心感が高い中型4段カーボン三脚。ベルボンのロングセラー600番台のうち、最新のレバーロックタイプになります。サイズといい、使い勝手といい、定番中の定番といったカーボン三脚です。

エレベーターを伸ばしたときの全高は1,640mmと、一般的な撮影では余裕の高さを持っています。

脚部はカーボンファイバーで軽量。4段伸縮なので、遊歩道や沢を歩るくときも持ち運びに便利です。

雲台はPHD-65Qが付属。カメラの取り付けが簡単にできるクイックシュータイプです。薄く軽量なカメラ台も特徴(雲台なしモデルもあります)。

実施中の「2017ベルボンカーボン三脚祭」の対象製品になっています。対象製品を購入すると、もれなくシュープレートやカメラカバーなどがもらえるキャンペーンです。購入期間は12月31日まで。(編集部)

制作協力:ベルボン株式会社

吉住志穂

(よしずみ しほ)1979年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業後、竹内敏信事務所に入社。 2005年4月に独立。自然の「こころ」をテーマに、花や風景の作品を撮り続けている。