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ライカQ2モノクローム

人気のQシリーズにモノクロ専用機が登場

11月19日に発売となった「ライカQ2モノクローム」の外観や画面写真をお届けする。発売前の試作機を用いたため、製品版とは細部が異なる可能性をお含みいただきたい。

本機は、モノクロ撮影専用のイメージセンサーを搭載したレンズ一体型のデジタルカメラ。一般的な構造のイメージセンサーから、RGB各色の情報を得るためのカラーフィルターを取り除き、各画素が輝度情報だけを得る仕組みとした。これにより得られる独特の解像感の高さが話題となり、2012年発売のレンジファインダーカメラ「ライカMモノクローム」以来、ライカのモノクロ専用デジタルカメラは代を重ねている。

今回は「ライカQ2」のモノクロ版ということで、レンズ一体型であると同時に、いわゆるデジタルカメラらしくAFやEVFを使って撮影でき、普通のデジタルカメラと同じぐらい接写ができて、手ブレ補正も備わっているのが特徴。モノクロファン注目の描写と、片手でもクイックに撮れる最新デジタルカメラらしい使い勝手が融合し、これまで「(マニュアル操作が主体の)M型だから」と敬遠していたユーザーにも訴えかけるパッケージングになっている。

ライカQシリーズの特徴は操作性。ピントレバー、絞りリング、シャッター速度ダイヤルの3つが備わるデジタルカメラは珍しい。フルオートなら誰でも使えるし、もどかしい時は即マニュアル操作に移行できる。特にピントレバーは、AFより速くて確実なピント合わせもあるという観点で、他社のコンパクトカメラにもマネしてほしいと思っている。

また、M型のモノクロ専用機も「ライカM10モノクローム」として2020年1月にリニューアルされたばかり。こちらは新旧ライカレンズを絵筆のように使い分ける表現の自由度と、レンジファインダーカメラならではのクラシックな操作感が楽しめる。まさにフィルムカメラのフィルムがデジタルカメラのイメージセンサーになっただけ、という感覚に近いかもしれない。"モノクロ専用機"という異端の商品が、こうしてユーザーの好みでスタイルを選べるまでに発展を遂げたのは驚くべきことだろう。

「MONOCHROM」の刻印が控えめに主張する。

手ブレ補正は、オン/オフ/オートから選択可能。基本状態は「オート」になっており、シャッター速度が1/60秒より速いと手ブレ補正が自動的にオフになる制御。ライカは手ブレ補正によりレンズが動くことによる光学性能のロスを嫌って、先代のライカQにおいては手ブレ補正機構を搭載しつつも出荷時設定を「オフ」にしていた。

レンズシフト式の手ブレ補正機構を持つ。
張り革はクラシックライカ風。これまでのQシリーズはモダンなダイヤモンドパターンだったが、これも刻印の色などと同様、世界観の演出だろう。

ショートカットキーとして、背面左手側のFNボタン、天面右手側ダイヤルのボタン(設定ダイヤルボタン[右])が利用可能。いわゆるAFL/AELのボタン(ズーム/ロックボタン)も、機能割り当てを変えられる。

端のダイヤルは、上面がFNボタンになっている。
背面左手側は、ライカM10以来の3ボタン構成。MENUボタンを押すごとに設定画面のページが送られる。
ショートカット設定の画面。
割り当てられる機能の一覧。
記録メディアはSD×1。外部端子はホットシュー以外になく、USB転送・充電・給電も不可。

バッテリーはライカSL2などと共通の「BP-SCL4」。1個2万円と高価だが、これにより従来のライカQより撮影可能枚数が増えたという。バッテリー抜き差しの方法が独特なので、動画にしてみた。ロック解除レバーを操作し、飛び出た部分を1度押し込むようにすると、バッテリーが抜ける。差し込む時はただ奥まで押し込めばOKだ。

バッテリーの抜き差し(ライカQ2モノクローム)
ロック解除レバーを操作すると、バッテリー底部が少し飛び出す。ここでバッテリーを一旦カメラ側に押し込むとロックが外れて、取り出せるようになる。
バッテリー室のフタがない構造。一目でバッテリーの有無がわかってよいとの声も。

メニュー画面

MENUボタンを1回押すと表示される「お気に入り」画面。よく使う項目をここにまとめれば、ページめくりの必要がなくなる。
メインメニュー。5ページ目は「設定リセット」のみのため割愛。
モノクロ専用機として、トーニング(調色)機能を搭載。JPEG画像に適用される。
記事末の実写サンプルは、この標準設定(一部トーニング)で撮影。
シャープネスとコントラストは5段階。
EVFと背面モニターは、どちらも色味を調節可能。アイセンサー感度は、「低」にしてもまだ感度が高いように感じる。EVFへの切り替えはライカQ2より速い気もする。
AFモードも「顔認識」など、イマドキなラインナップ。
いわゆるインフォ画面の状態。デジタル一眼レフカメラのようにファインダーと背面モニターを使い分けられる「EVFアドヴァンスト」モードも搭載。

実写サンプル

特記したものを除き、カメラで撮影したままのJPEGデータをそのまま掲載している。サムネイルのクリックでオリジナルデータを表示。

F1.7 1/50秒 ISO 200
F6.3 1/1,000秒 ISO 200
F1.7 1/50秒 ISO 4000
F1.7 1/400秒 ISO 200
F4.5 1/320秒 ISO 200
F4.5 1/200秒 ISO 200 トーニング
同一シーンの絞り違い
F1.7 1/1,250秒 ISO 200
F5.6 1/100秒 ISO 200

マクロモード

レンズ根元のリングを回転させて「MACRO」にすると、撮影距離範囲が通常時の30cm〜∞から17cm〜30cmに変化。開放F値もF1.7からF2.8になる。

マクロモードF2.8 1/250秒 ISO 200
マクロモードF2.8 1/800秒 ISO 200

RAWとJPEG

同じ撮影データを、カメラ内JPEGとRAWからのストレート現像で見比べた。「撮った写真をその場でスマートフォンに転送する」といった用途が広まってきたことをライカも認識しており、近年JPEG画質に力を入れてきたことがわかる。ライカQ2モノクロームにおいては、いわゆる"撮って出しJPEG"でもカメラ本来の性能を味わえるレベルになっている。

F5.6 1/250秒 ISO 200(カメラ内JPEG)
Lightroom Classicでストレート現像。

本誌:鈴木誠