キヤノンから2月に発売された「IXY 410F」は厚さ約19.5mmという超薄型スタイリッシュモデルで、2010年2月に発売された「IXY 400F」の後継機種に当たります。カラーラインナップはシルバー、ブラック、レッドの3種類。執筆時の大手量販店での販売価格は1万8,200円でした。
前モデルの「IXY 400F」は28mm相当(35mm判換算、以下同)だった広角端が、本機では24mm相当と広くなり、望遠端も112mm相当から120mm相当になっています。これにより、広角化と光学ズームが4倍から5倍になるという進化を遂げました。
有効画素数は前モデルの1,410万画素から1,210万画素になり、撮像素子は前モデルの1/2.3型CCDセンサーから裏面照射型の1/2.3型CMOSセンサーになっています。今回から、高感度撮影に強い「HS SYSTEM」が採用されました。
また前モデルでは1,280×720ピクセルだった動画機能は、本機では1,920×1,080ピクセルのフルHD動画に対応し、背面には新たに動画ボタンが装備されました。
■超薄型シンプルデザイン! 基本操作系も堅実!
シンプルでゴテゴテしていない硬派なデザインで、男性でも女性でもスマートに持ち歩くことができます。ビジネスマンがスーツの胸ポケットに入れて持ち歩くウィークデイカメラにもピッタリです! 色合いもマットで大人っぽいコーティングなので、ボディに指紋が付きやすくてこまめに拭かなくちゃいけない、なんてこともありません。
シンプルなデザインのコンパクトデジタルカメラにありがちな持ちにくさをまったく感じなかったのは嬉しかったです。レンズがかなり左に寄って付いていることと、液晶モニターがでしゃばらずに2/3ぐらいのスペースで落ち着いていることで右手の置き場所が確保されて、しっかりと片手でホールドできるメリットに繋がっているのでしょう。
操作ボタン系は基本的には文句のない堅実な操作性なのですが、ズームレバーがあまりスムーズではありませんでした。広角端から望遠端にズームする時、かなりしっかり回し込まないとズームが途中で止まってしまうので、レバーの引っ掛かりが小さいのも相まって、ちょっと手が疲れてしまいます。
ズームレバーはシャッターダイヤルと同軸に装備 |
ズームについてはもう1点。ズーミングの速度の遅さが気になりました。普段の街撮りスナップでは気にならない程度の速度ですが、動物などの動きモノの撮影や旅行などでパパッと撮りたい時は、ズームの速度に関しても欲張りになってしまいますね。
■さらなる広角化で24mm相当に対応
本機の広角端は24mm相当と広いため、建造物などの撮影でも足元から全体を写すことができ、広角ならではの迫力ある画を撮ることができます。
肝心の広角端の画像ですが、画面四隅で多少の歪曲は感じられますが、不自然な歪曲ではないのでそれほど目立ちません。また、画像自体は撮影条件によっては四隅で少々の甘さを感じることもありますが、通常撮影では全体にクリアで極端な像の流れなども見られません。
広角24mm相当からの5倍ズームレンズを搭載。光学式手ブレ補正付き |
建築写真やポートレートの作品撮りにはさすがに向きませんが、日常撮りのカメラとしては、このコンパクトさと広角の広さの掛け合わせでこの性能というのは、かなり実用性が高いといえるでしょう。
■暗くても明暗差があっても大丈夫! 「HS SYSTEM」はデキるコ!
HS SYSTEMは、高感度撮影時の画像ノイズを抑えてクリアでキレイな画質が得られるシステムで、キヤノンIXYシリーズのコンパクトデジタルカメラとしては2010年の「IXY 30S」で初めて搭載されました。
高感度撮影ではISO800でノイズが見え始めますが等倍に引き伸ばさなければ気にならない程度、ISO1600のノイズはISO800とそれほど変わらないと感じました。ISO3200はかなりノイズが乗ってくるので、常用ではISO1600までの使用にしておきたいです。
ただ、色味はISO3200まで大きな変化が見られず、見た目に近いナチュラルな描写をしているのに感動しました。
HS SYSTEMはダイナミックレンジの拡大にも一役買っていますが、今回の作例を撮ったどピーカンの撮影状況では、その恩恵に大きく与ることができました。明暗差の激しい青空と濃いグリーンの葉、川の緑、神社の朱色などが混ざるシチュエーションでも、思い出写真として相応しい鮮やかさで描き出してくれました。
■文句なく便利な主役フォーカス
2011年春モデルの新機能として登場した「主役フォーカス」を本機も搭載しています。人物以外の動く被写体をカメラが検出して、ピントと露出を合わせて追い続ける機能で、従来の顔優先AFが人物以外にも使用できるようになったと考えるとわかりやすいでしょう。
それに伴ってシーン認識機能のこだわりオートも進化。前モデルは22シーンだった認識シーン数が32シーンと増えました。
この主役フォーカス機能は文句なく便利です! 何も考えなくてもカメラが勝手にAFロックとAEロックをしてくれて追いかけ続けてくれるのですから、動く被写体の撮影はもちろん、自分が走っているような状況でも、片手で簡単・お手軽にメインの被写体にピントの合った自分好みの構図で撮影ができます。露出も自然で好感の持てる明るさです。
バッテリーおよびメモリーカード室 | HDMI端子も装備 |
■まとめ
いつからか進み始めたコンデジの広角化。いわゆる流行もあると思うのですが、私としてはこの広角化計画は大賛成です!
街中では建物や大勢の友達を撮りたくて後ろに下がりたくても壁が邪魔をし、旅行先ではみんなが写真を撮りたいような人気の被写体は押し合い圧し合いの過酷な状況でカメラを上に上げて液晶モニターで確認する間も無く撮影する羽目になり、ちょっとおしゃれなレストランでブログ用にテーブル全体の写真を撮ろうと立ち上がることは周りの視線が気になってできず……こんな状況もレンズ交換式デジタルカメラがあれば解決するけど、毎日大きなカメラを持ち歩くのはちょっと……ですよね。
そんなときは、スタイリッシュコンパクトデジタルカメラをスマートに取り出してパチリ!
女性の小さなバッグにも余裕で納まりますし、シンプルなボディなので逆にデコってしまうのもアリでしょう。男性なら、まさかカメラが入っているとは思えない所に入れておいてささっと取り出せば男子力アップ!
デザインだけではない高性能・高機能モデルなので、普段撮りに持ち歩きたい人はもちろん、彼氏、彼女へのプレゼントにもお勧めです。
付属のバッテリーと充電器 |
■実写サンプル
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置の画像は、非破壊で回転させています。
・画角
荒川に架かる旧秩父橋にて撮影。現在は車の交通はなく、橋上公園として憩いの場になっています。
・歪曲
・感度
秩父神社の「水占みくじ」は、境内に流れる小川におみくじを浸すと運勢が浮かび上がってくるというちょっと変わったおみくじです。
小川は木陰、おみくじは白ということでおみくじの文字の部分に注目して頂けるとわかりやすいと思います。ISO800から「おみくじ」の字の辺りにわかりやすくノイズが見えてきます。ISO1600のノイズはISO800とそれほど違いを感じません。ISO3200はかなりノイジーなので、常用はISO1600までにしておきたいです。
・主役フォーカス
・i-コントラスト
カメラが明るさを判別して白トビ、黒ツブレを補正してくれます。撮影後に効果をかけることもできるのはとっても便利!
i-コントラスト:強 / IXY 410F / 約3.4MB / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 4.3mm |
・シーンモード
・作例
・動画
- 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードします。
- 再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
H.264(MOV) / 1,920×1,080ピクセル / 24fps / 50MB |
2011/8/12 00:00