新製品レビュー

GoPro HERO

極限まで機能を削ぎ落したストイックな小型カメラ

小型で軽量でお手頃価格のGoProが新登場。その名は「GoPro HERO」。

ナンバリングもBlackの名称もない無印のHEROは、これまで登場したどのGoProとも一線を画すカメラといえる。その大きな理由は、設定がなにもできない本体。GoProの代名詞でもあるビデオブレ補正「HyperSmooth」すら搭載されていないのだから驚きだ。

果たして、ビデオブレ補正のないGoProに魅力はあるのか?

じっくりと検証してみたので、少しでもGoPro HEROに興味があるのなら目を通してもらえるとうれしい。

HERO13 Blackの廉価版ではない

GoPro HERO(以下、HERO)は、GoProシリーズでもっとも簡素なカメラだ。

基本的には4K30fpsで“素”の映像を撮ることだけを目的としたカメラで、解像度もフレームレートも画角も色も明るさも変更することはできない。撮影時に選べるのは、「写真」「動画」「スローモーション」のモードくらい。

ちなみにフルHDの30fpsでも撮影できるが、そのさいは「省電力」に設定するという分かりにくい仕様になっている。この点からも、4K30fps以外の撮影は考慮されていないことが分かる。

とにかく、撮影設定はまったくできないカメラで、写真を撮るか動画を撮るかを選んだらシャッターボタンを押すだけでいい。

カメラとして“当たり前”の機能が搭載されていない代わりに、堅牢で小さくて軽くて安い。

GoPro HERO13 Black(以下、HERO13)より2回りほどコンパクトで、重さと価格は約半分。撮影スタイルにマッチすればお得なカメラだろう。

手前がHEROで奥がHERO13。2台を並べるとHEROの小ささが際立つ

本体周りを見てみると、前面は冷却フィンに覆われていて、レンズカバーが交換できる15mm(35mm判換算)のレンズを搭載。

背面には1.76型のタッチパネル、左側面は電源ボタン、右側面はサイドドア内にmicroSDカードのスロットとUSB Type-C端子、下部は折りたたみのマウントフィンガーが内蔵されている。

ちなみに、HERO13のようなマグネット式マウントや三脚穴は未搭載だ。

HERO本体の展開図。マイクは前面と上面の2か所、スピーカーは折りたたまれたフィンガーの奥に設置されている

バッテリーは内蔵式で交換ができない点は、撮影スタイルによってはネックになるかもしれない。

また、レンズカバーのほか、折りたたみ式のフィンガー、サイドドアの交換パーツが用意されていて、ダメージを受けた部品を簡単に交換できる点はGoProシリーズの強みといえる。

そのほか、HERO13と比較した主な仕様は以下のとおり。

「GoPro HERO」と「GoPro HERO13 Black」の比較
HEROHERO13 Black
イメージセンサー1/2.8型
12MP(4,000×3,000ピクセル)
1/1.9型
27.6MP(5,599×4,927ピクセル)
システムプロセッサー非公開GP2
レンズ(フルサイズ換算)15mm F2.312~39mm F2.5
ズーム2倍
トップビデオモード4K(16:9)5.3K(8:7)/5.3K(16:9)
ビット深度8-bit8-bit/10-bit(4K以上)
最大ビットレート50Mbps120Mbps
Log/HDR―/―〇/〇
ビデオブレ補正HyperSmooth 6.0
スローモーション2倍8倍
オーディオモノラルステレオ
防水性5m10m
外形寸法(mm)幅56.6×高さ47.7×奥行き29.4幅71.8×高さ50.8×奥行き33.6
重量86g154g
バッテリー内蔵型1,255mAh Enduro取り外し可能な1,900mmAh Enduro

上記の仕様を見て分かるとおり、HEROはHERO13の廉価版ではなく中身は別のカメラだ。

機能も色調も画質も異なっているので、小さくて安価だからといってHERO13の代わりに選ぶと後悔することになる。とくに、HEROは音声がモノラルになる点は見逃しがちなので覚えておきたい。

HEROは撮影スタイルによって評価が大きく分かれるカメラでもある。カメラ単体で考えるのはなく、周辺ツールや作業環境に合わせて「システム的」に考えることが重要だ。

ビデオブレ補正は後から適用するスタイル

HEROの特徴を簡単に説明しておくと、「撮る」ことと「映像処理」が分かれているという点。

カメラは4K30fpsの“素”の映像を撮ることに注力し、RAW現像のように専用のアプリを使って体裁を整えていく。

したがって、撮影時には手ブレを補正することはできない。おそらく、この点だけでHEROを敬遠する方も多いだろう。

HEROと組み合わせて使うアプリが「GoPro Quik」(以下、Quik)で、ビデオブレ補正だけでなく、レンズの種類や縦横比、角度、色調補正など、さまざまな調整をこのアプリで施すことになる。いわば、HEROの映像エンジン的なアプリだ。

2024年10月末の執筆時点でAndroid、iOS、Mac版が用意されていて、Windows版のリリースはまだ未定となっている。

HEROの映像を処理するアプリがQuik。本来はGoProのアップデートや管理のためのアプリだが、映像の再生や編集など多彩な機能を搭載している

では、Quikでビデオブレ補正を行うにはどうすればよいのかというと、ただ再生すればいい。映像を見るだけで、自動的にGoProシリーズでお馴染みのビデオブレ補正「HyperSmooth」が適用され、安定した映像で鑑賞できる。

つまり、Quikを使う限りビデオブレ補正未搭載のデメリットは感じないということ。

HEROの映像を外部の編集ソフトで扱いたい場合は、QuikでエクスポートすればOK。これで、“普通のGoPro”と遜色のないビデオブレ補正された素材が出来上がる。

この「ひと手間」を煩わしく感じるかどうか……。

筆者が使用しているQuikはiPad版で一括エクスポート機能が搭載されていないため、1ファイルずつ処理をすることに手間を感じた。もし、これから一括エクスポート機能が搭載されれば、この作業はかなりラクになると思う。

それよりも、筆者が感じたデメリットは、ビデオブレ補正を適用した4K映像が作れないという点だ。

iPad版Quikアプリのエクスポートは最大2.7K(2,668×1,512ピクセル)になるため、4K運用ができるライバル機より見劣りしてしまう。

スペック表を見るだけでは気付かないので、4K運用したいのなら要注意だ。

iPad版Quikアプリのエクスポート設定。「解像度」の項目で選択できる最大値が「1512P」(2688×1512ピクセル)の2.7K画質となり、残念ながら4K出力には対応していない

HERO13に負けないブレ補正のクオリティ

HEROを活用するワークフローが分かったところで、次はビデオブレ補正機能HyperSmoothのクオリティを見てみよう。

これは個人的な見解だが、撮影した映像に「後からエフェクト処理」でブレ補正を行うと違和感が出る場合が多い。

筆者は主にAdobe Premiere Proで動画編集を行っているが、そのワープスタビライザー(ブレ補正機能)であっても、多くのアクションカメラのブレ補正には及ばないと思っている。

以上を前提に、HEROの“素”の映像とQuikでHyperSmoothを適用した映像を比較してみた。HyperSmoothを適用すると2.7K映像になるため元の映像もそれに揃えているが、それ以外はなにも変更していない。

また、ソフトウェア的な補正の代表として、Adobe Premiere Proのワープスタビライザーで処理した映像とも比較している。

元映像とHyperSmooth適用後の映像を比較。HyperSmoothを適用した映像は小刻みなブレが取り除かれ、貼り付くように安定している。ただし、画角が少し狭くなるため、撮影時はこの領域を意識して構図を決めたい。後半はPremiere Proのワープスタビライザーとの比較。ワープスタビライザーはさらに画角が狭くなってしまう

上記の映像でも分かるとおり、QuikのHyperSmoothはかなりのハイクオリティだ。

手持ちで撮影してもピタリと止まるし、歩行シーンも滑らかだし、後処理でここまで安定した映像が作れるのは正直に凄いと思う。

対してワープスタビライザーは、画角の狭さが気になるところ。映像からは知りえないが、処理に時間もかかる。

また、ソフトウェア的な補正の場合、元映像のブレが大きくなるほど画角は狭くなり、パースの付いたシーンでは波打つようなコンニャク現象が出て補正の痕跡が残りやすい。

下の映像は、ソフトウェア補正が苦手とするワンシーンだ。

動きの激しいシーンを含めたHyperSmoothとPremiere proのワープスタビライザーの比較。Premiere proも頑張ってはいるが、突発的にコンニャク現象が出ている。対してHyperSmoothは、元映像のブレが大きくても破綻なく補正してくれる

さまざまなシーンで検証してみたけれど、HERO+HyperSmoothの連携で不自然に補正の痕跡が残る映像は見付からなかった。ビデオブレ補正の安定感は抜群だ。

となると、気になるのは「HERO13と比べてどうなのか?」という点だろう。

下の映像はHEROとHERO13のビデオブレ補正を比べたものだが、音声の違いも比較しているので確認してもらいたい。

HERO13はHyperSmoothをオンにして、モニター表示でHEROと近い画角になるデジタルレンズ(SuperView)を選択。カラー、色温度、ISO感度などは初期設定で撮影している。

前半はHEROのオリジナル映像とHERO13の比較でHEROの音声。後半はQuikによるHyperSmooth補正とHERO13の比較でHERO13の音声。ビデオブレ補正後のHEROの映像は、HERO13と違いが分からないくらいに安定している

ビデオブレ補正に関しては、「HERO+Quik=HERO13」と考えてよいほどのクオリティだ。HERO13のように「水平維持」や「360度水平ロック」補正は行えないものの、通常のビデオブレ補正に関しては不満のないレベルに仕上がっている。

しかしながら、HERO13の映像と比較することで気になる点も見えてきた。

それが、色調と音声の違い。

直近のGoProはシリーズを通して近い色調にまとめられていて、新旧機材を混ぜた撮影でも手間をかけずに映像をつなげることができた。対してHEROはというと、意外と色調が異なるなという感じ。

音声に関してはやはり、ステレオ収録できるHERO13の臨場感が際立っている。

上記の映像は単なる環境音しか収録されていないが、それでも、左右から飛び込むさまざまな音は空間の広がりを感じさせてくれるだろう。もっとも、音声に関しては別撮りして編集で合成することもできるので、決定的なデメリットにはなり得ないが。

階調感はなんとかなるが解像感は妥協点

HEROのセンサーサイズは1/2.8型。最近のアクションカメラとしては小さな部類に入る。

イメージセンサーが小さいとダイナミックレンジは狭くなりがちで、HEROの映像も同様に、白と黒付近の階調再現性はそれほど高くはない。したがって、階調豊かな映像を撮影するというよりは、素早く記録映像を撮るカメラと割り切ったほうがよいだろう。

ただし、ダイナミックレンジの狭さを上手くカバーした画作りになっていて、白とびや黒つぶれしそうなシーンをハイコントラストな描写へと置き換えている。

この辺りは逆光のシーンを撮ると分かりやすくて、強い光が入っても陰が真っ黒につぶれるわけではなく、スッと暗部をもち上げて再現できる明るさに整えるという感じ。

階調感が乏しいなりに黒や白のベタ塗りを避けた描写なので、動きのある中で見る限り階調感の低さは感じにくいのではないだろうか。

センサーサイズが大きいHERO13と比較するとダイナミックレンジの差は明らかだが、HEROの映像を単独で見る限り、これで十分と感じる方も多いはず。

HEROとHERO13のダイナミックレンジを比較。HEROは黒や白に近い色の再現は苦手だが、黒つぶれしそうになるとその部分を補正し、ギリギリまで色を出そうとしている。完全な逆光シーンでも大きく黒つぶれさせずに上手く処理している印象だ

シーンによっては焼けたように暗部がつぶれ、ダイナミックレンジの狭さが露呈することもあるが、その場合は編集ソフトでシャドウを明るくしたり、コントラストを下げることで気にならない程度には改善できる。

ちなみに、ダイナミックレンジが狭い映像の場合、露出補正的な機能を使うと白と黒のレベルが変化してつぶれが広がりやすい。明暗の補正が必要なときは、トーンカーブを使う方法がおススメだ。

色調補正による階調感の再現例。上記の映像を補正して暗部の見え方を調整。シャドウを少し明るくするだけでも階調感のある見映えになる

解像感に関しても触れておくと、HEROは小さめの1/2.8型センサーとうこともあり、微細な描写は苦手だ。

動画編集時にシャープネス調整でエッジを際立たせることはできるが、そもそも微細な部分に関しては階調(明暗差や微妙な色の違い)が出ていないため、後から立体感を引き出すことは難しい。

よくいえばギラつきのない優しい描写、悪くいえば平面的、そんな映像だ。

解像感の低さはウィークポイントではあるけれど、破綻した画質ではないので好みの問題と考えてもいいかも。

オリジナル4K映像の解像感。微細な模様の立体感が乏しいため、遠景を捉えたシーンなどは平面的に感じやすい。この辺りはHERO13(HyperSmooth:オン)と比較するともの足りないポイントでもある

待望の熱に強いGoProの登場か?

防水性を高めるために密封された小さなボディーのアクションカメラは、どうしても熱がこもりやすくなる。そのため、長時間の撮影や真夏の炎天下では熱停止してしまうカメラも少なくない。

HEROも撮影中はかなり発熱するカメラだが、テスト撮影の期間中に熱停止することはなかった。

撮り方としては、屋外のスナップで、数分から長くて10分程度の動画を繰り返し撮影し、使わないときは電源をOFFにするというスタイルだ。

それよりも気になったのは、バッテリーの持続時間だ。撮り方にもよるが、街歩きで8分程度の映像を2本撮影すると、バッテリー残量が95%から44%に減少することもあった。

バッテリーの減りの早さは使い始めた当初から感じていたことで、短時間の撮影でもモバイルバッテリーを用意したほうが安心だろう。基本的には、モバイルバッテリーを前提とした運用をしたい。

試しに連続撮影のテスト(気温29度の室内)もしてみたけれど、スクリーンセーバーをONにしてモニターを消した状態なら、内蔵バッテリーだけで約97分撮影することができた。

スクリーンセーバーをOFFにして画面を表示した状態だと76分に減少するので、初期設定どおりスクリーンセーバーはONにしておいた方が無難だ。

128GBメモリーカードによる連続撮影時間のテスト
電源スクリーンセーバー撮影時間停止理由
内蔵バッテリーON97分46秒バッテリー切れ
内蔵バッテリーOFF76分40秒バッテリー切れ
モバイルバッテリーON316分39秒メモリーFULL
モバイルバッテリーOFF114分30秒熱停止

連続撮影をして驚いたのが、スクリーンセーバーをオンにしている限り熱停止はしなかったという点。

内蔵バッテリーが切れるまで連続撮影できるし、モバイルバッテリーに接続しておけば、メモリーカードいっぱいまで撮影することができた(128GB)。

上記のテスト結果を見る限り、HEROが熱停止をするのはスクリーンセーバーをオフにして「撮影中もモニターを表示」し、モバイルバッテリーに接続して「114分以上の撮影」を行う場合となる。

というわけで、HEROは決して熱に弱いGoProではない。熱に強いGoProといえるだけの実力を有している。

低照度は弱いなりにも工夫で乗り切れる

最後の検証は低照度シーン。

話を最後に回したことからも分かるとおり、HEROは低照度に強いカメラとはいえない。写真愛好家なら、1/2.8型イメージセンサーという点からも察しは付くだろう。

ハイライトもシャドウもある明暗のレベルから突然階調がなくなるような描写なので、「光源とその周囲」以外は黒い映像になりがちだ。

たとえば、「夜の路地裏を情緒豊かに撮影したい」と思ってもそれは難しい。

光あふれる夜の都会ならまだしも、感覚的には街灯がともり始めた夕暮れのシーンまでがHEROの撮影タイムと考えたい。そこから先の時間帯になると、シャドウはつぶれるし、HyperSmoothでも手ブレは抑えられないので、安定したきれいな映像を撮ることは難しくなる。

低照度シーンの作例動画。前半は日没直後の残照が残るシーン。後半は夜のシーン。空に明るさが残っている状況ならなんとか鑑賞できる色調で撮れるし、HyperSmoothが頑張って安定した映像にしてくれる。それよりも暗くなると、肉眼では見えていても映像として捉えるのは難しく、HyperSmoothで補正すると光源付近に弾むようなにじみが出てしまう

また、低照度シーンに関しては、カメラを動かさなければそれなりにシャープな映像が撮れる点も補足しておきたい。もちろん、光が当たる範囲になるが。

シャドウに関しても多少は補正の余力があるので、HEROで夜のシーンを撮りたいときは歩き撮りをせず、じっくり構えるとよいだろう。要するに、「1/30秒のシャッター速度でブレない写真を撮る」ようなものと考えればいい。

スローシャッターによる被写体ブレを抑えれば、HyperSmoothで揺れを抑えて安定した映像に仕上げられる。

街の夜景などを撮るときは、手持ちでもよいのでカメラを固定すると、ゆっくりとした揺れをHyperSmoothが吸収してくれる。クイックに動かすと光源に残像が出てしまうので注意。また、ブレによる残像がなければ、色調補正で夜らしい美しさが引き出せる

低照度のシーンで気になったのが、突発的な露出やホワイトバランスの変化だ。

どちらも自動で調整されるため、画面を横切る被写体に露出や色が引っ張られて急激に変化することがあった。上記の映像でも、黒い車が横切った後(12秒付近)で色調が変化していることが分かる。

この辺りの特性はアップデートで修正されることもあるが、手動設定ができないカメラの特性として覚えておくと撮影時に配慮しやすくなる。

これでよいのではと思えるカメラ

HEROを手にして撮影するまで、「ブレ補正のないGoProは必要なの?」と懐疑的だったが、ひととおりの撮影を終え、レビューを書き終えた今、これはアリだと思う。

ブレに関してはQuikで再生するだけで補正されるので、ブレ補正未搭載のデメリットは感じにくかった。

また、編集用の素材はQuikからエクスポートするという「ひと手間」が面倒と予想していたが、「HERO+Quik」のワークフローに慣れるとそれほどでもない。たくさんの映像を撮影しても使うものはわずかなので、あの映像が必要→変換するか、という感じで自然に作業できるようになった。

おそらく、HEROに興味を抱く方の懸念事項が、①手ブレ補正なし、②4K30fpsのみ、③内蔵バッテリー、の3点だろう。

①は前述のとおりだし、②は価格とトレードオフの妥協点だ。③はモバイルバッテリーを前提に運用すればいい。高価な専用バッテリーを複数揃えるよりも経済的ではないだろうか。

というわけで、HEROの懸念事項は払しょくされたように思えるのだが、ひととおり撮影を終えた今、当初は見えなかった問題も露わになってしまった。

それが、実質4K運用は難しいという点。

Quikでビデオブレ補正を適用すると2.7K映像になるため、「2.7Kアクションカメラ」と考えたほうがよい。したがって、4Kを基本として映像制作している方には不向きといわざるを得ない。

HEROは面白いカメラだと思う。

軽くて小さいのでミラーレスカメラのホットシューに乗せても撮影しやすいし、4K映像がほしいならアクションカメラ用のジンバルと組み合わせてもいい。

HERO13のように高性能で多機能なカメラだと「設定でなんとかしよう」と意気込んでしまうけれど、なにもできないHEROならゆるい気持ちで撮影できる。

小さなカメラで遊びたい。
工夫して撮影するのが好き。
そう思うのなら、HEROはよい相棒になるはず。

記事とは関係なく、趣味で撮影した「HERO+ジンバル」の夜の街歩きシーン。オリジナルの映像と補正した映像の比較。ダイナミックレンジが狭くて解像感も甘いけど、それを逆手にとってドリーミーな仕上がりにしてみた。ジンバルでブレを抑えれば、HEROだってこれくらいの映像は作れる
桐生彩希