新製品レビュー
ピークデザイン「エブリデイトートパック20L」
絶妙バランスの日常用カメラ&PCバッグ
2020年3月28日 00:00
近年カメラアクセサリー界隈で強い存在感を示すピークデザインが、「エブリデイラインV2」としてカメラバッグを一新した。その中から今回は「エブリデイトートパック20L」の試用レポートをお届けする。
ノーマークだった「トートパック」(Totepack)
ピークデザインなら何故定番のバックパックやスリングを取り上げないのか、と思った方も多いと思う。正直、筆者自身も従来モデルのエブリデイバックパック20Lを愛用しており、V2登場時にもトートパックには注目していなかった。しかし、実物を手にしてみたらこれが存外に「ちょうどいい」製品だったのだ。諸般の忙しさにかまけて試用開始から早2か月、通勤時にはほぼコレしか使っていないぐらいに馴染んでしまっている。
このトートパック(Totepack)という名前は、トートバッグとバックパックの要素を併せ持ったところに由来しているのだろう。手持ちのハンドルは長くないので、いわゆるトートバッグのように肩掛けはできないが、こうして手持ちハンドルが短いことによりハンドル自体が下に倒れず、足下に置いたバッグを手に取りやすいのだ。しかも、ピークデザインのバッグには珍しく、床に置くと見事に自立する。こんな特徴から、混み合う公共交通機関での移動に最適なデイリーバッグだと感じている。
背面にはバックパックストラップが備わる。このストラップが、エブリデイラインV2のバックパックでは全モデル共通で質感が良くなっている。素材が柔らかく、手で触れてもゴワゴワとした感じがない。内部にはネオプレン的な感触がある。V1のカメラバッグは全体的にヘビーデューティな素材感だったが、V2では部分ごとの素材選びにメリハリがついたなという印象を受ける。
また、この長さ調節の仕組みがスマートだ。「エブリデイバックパック」のような"本気系"バッグは機材も重くなりがちなため、移動時はタイトにストラップを締め上げ、サイドアクセス時には素早く緩めて、を繰り返す。一方このトートパックは、ストラップの長さは固定しておくのが基本のようだ。余った部分がバッグ内に収まる仕組みなので、電車内で足下にバッグを置いてもストラップが床に広がらず、ストラップ自体が汚れにくいし、周りの人にも気を使わせない。これが通勤バッグとして手放せなくなってしまった理由のひとつだ。
使い始めた2020年1月とは事情が代わり、現在は電車もあまり混まないが、混んでいる乗り物ではバックパックを体の前に回すことがあると思う。その状態でも首が苦しくならず、サイドアクセスも可能で、かつ通常時に背負っていても負担に感じないベストバランスのストラップ長を見つけるのが、このバッグを使う上での最初の楽しみだ。
収納例
以上のことからも、これはカメラ機材を満載にするためのバッグという感じではなく、まさに"エブリデイ"の名前にフィットした、日常使いが心地よいモデルだと思う。フルセットのカメラ機材が入るバッグは既に持っていて、もう少し気軽に使えるバッグが欲しいという人にオススメしたい。
筆者が取材に持ち歩く機材は、コンパクトカメラ2台もしくはミラーレス/一眼レフカメラ1台と、13型のMacBook Pro。普段の通勤時の荷物もあまり変わらない。これに手回り品を加えた程度の荷物量にマッチしている。下に図示する3気室の状態で、標準ズームレンズを取り付けたフルサイズミラーレス機も十分に入った。
ここで、収納物を取り出す様子と、ピークデザインならではの特徴的な"折れる中仕切り"(FlexFoldディバイダー)を変形させて3気室→1気室に変化させる様子を動画にしてみた。
ピークデザイン製品の持ち味は、見た目がわりあいスマートでありながら、至れり尽くせりの多機能が隠れていることだと思う。それがこのトートパックでは、肩肘張らない程度に機能が厳選され、より気安く使えるようになっている。機能を絞った分だけバッグ自体も比較的軽量だったり、各所がいい意味で"ほどほど"なので、「なくても困らないけど、使い慣れると手放せない」という絶妙なバランスに魅了されている。