新製品レビュー

OPPO R11s

日本初登場の“カメラフォン”を試す

アジアナンバーワンの市場シェアを誇るスマートフォンブランド「OPPO」(オッポ)が日本市場に参入した。同社のスマートフォンはカメラ機能をアピールしてており、アジア、オセアニア、アフリカなどの若い世代に支持されているという。

今回日本に投入されたのは「R11s」という“カメラフォン”で、F1.7の大口径レンズ、2,000万画素+1,600万画素のデュアルアウトカメラを搭載し、インカメラも人物撮影に特化した2,000万画素カメラ(F2.0)を採用しているのがウリだ。

CPU:Qualcomm Snapdragon 660
RAM:4GB
ROM:64GB
メモリーカードスロット:microSD(SIMカードトレイ併用)
ディスプレイ:2,160×1,080ドット 6.01インチ AMOLED(有機EL)
バッテリー容量:3,205mAh
OS:ColorOS 3.2(Android7.1をモディファイ)
重量:153g

デザイン、質感、持ちやすさ

金属製のボディは質感とともに剛性感がありチープな印象はない。それは手にした瞬間に実感できるほど。

大きさは幅75.5mm、薄さ7.1mmで、背面が緩やかなカーブを描いている「クレッセントアークデザイン」となっており、持った時に手のひらに馴染むような形状だ。

スイッチ類はボディ左側にボリュームボタン、右側に電源ボタンとSIM/microSDカードトレイがある。背面はアウトカメラと指紋センサーを備える。

画面の見やすさ

6.01インチの有機ELディスプレイは明るくコントラストも高く視認性がよい。アスペクト比は18:9で、白の鮮やかさ、黒の締まりも申し分なく、撮影時、写真鑑賞時にもとても快適であった。視野角も広い。

カメラ

R11sはカメラフォンを謳うだけあり、高性能な撮影機能を有している。アウトカメラは2,000万画素と1,600万画素デュアルレンズ仕様で明るさは両方ともF1.7。

インカメラはF2.0の2,000万画素カメラという構成だ。

カメラの起動スピードはもたつきがない。R11sは指紋認証と顔認証を備えるが、どちらも高速に端末のロック解除が可能で、クイックに撮影に入ることができるのがフォトグラファーにとってうれしい。

端末ロック画面でカメラアイコンをフリップしても撮影に入れるが、指紋認証と顔認証が高速なのであらかじめカメラを起動させてスリープさせておけばこちらの方がスムーズだ。

カメラ画面の構成はまるでアップルのiPhoneである。ここまで似せてクレームがつかないのだろうか、と思ってしまうほどのソックリぶりだ。

さてデュアルカメラだが、面白いアプローチになっている。撮影する環境の明るさによって2つのカメラを自動的に使い分けるのだ。広角と望遠とかではなく、明るいとき1,600万画素のカメラ、暗い場所では2,000万画素カメラを使用する。

両方ともF1.7の大口径レンズを使っているが、暗所時に切り替わる2,000万画素カメラは4画素混合技術を使って低ノイズを実現しているという。

作品

Android機らしく、メリハリがありシャープネスが強い絵だ。R11sのディスプレイで見ると、なかなかの迫力である。

日が傾き始めた多摩川を撮影。その雰囲気をよく捉えている印象だ。河原の草、川面のきらめきも精細感がある。

暗いシーンでは2,000万画素カメラに切り替わるのだが、少しくらい程度の室内では1,600万画素カメラからなかなか切り替わってくれない。これは二子玉川のレストランで撮ったカットだが切り替わってくれなかった。暖色系照明の色味を残しつつ、自然な描写のホワイトバランスになった。

夜の外環工事現場に赴いたが、このくらいの明るさでようやく2,000万画素カメラに切り替わってくれた。ハイライトには粘りが感じられ、ややノイジーだがシャドウ部のディテールがあり、空のグラデーションもわかる。

ボケを擬似的に作り出すR11sのポートレートモードはまずまずだ。ピント面から奥に行くに従い、自然な感じでボケ味が増えていき、大きなセンサーのデジタルカメラで撮影したかのような雰囲気を手軽に味わえる。

テレ側だけでなくワイド側でもこのモードが使えるのがうれしい。ビューティーモードで肌をスムーズに加工できるところも受けるだろう。

インカメラ

R11s最大のウリはインカメラだ。AIを活用したビューティーモードは、膨大な量の顔写真データベースを使い、性別、年齢、肌のテクスチャー感と色、表情、環境など254カ所を加味して被写体に最適な補正を行うもの。これはOPPO社が有するポートレート・ラボで研究された成果に基づくものだ。それだけあって人物はとても美しく撮れる。「AUTO」からマニュアルで「1」~「6」までその効果を調整可能となっている。

「ビューティーモード1」では肌のリアル感を残しつつ、明るさと色味をやや強くし、さりげなく「盛った」状態となった。髪の調子も判別できる。

「ビューティーモード6」になると肌のスムーズ感がより一層向上した。パッと見でも「かなり盛っているな!」とわかるほど。絵全体はややソフトな調子になるが、瞳周辺のパリッと感は残されている。

iPhone のように各種フィルター効果をライブで確認しながら撮影できるモードもある。

「サンライト」を使用してモデル撮影。ポートレートモードと併用すれば、イージーに雰囲気のあるカットを得ることが可能だ。

こちらは「ノワール」を使ったカット。大きく明るいディスプレイは晴れた屋外でも視認性が高く、低い位置での撮影も広い視野角のおかげでフレーミングしやすかった。

まとめ

R11sは明るさによってアウト側のデュアルカメラを使い分けたり、AIを使ったインカメラ・ビューティーモードを搭載するなど、写真機能に特化した意欲作だ。

ポートレートモードのボケ味もいいし、セルフィーする機会の多い女性ユーザーには人気が出そうな端末である。

ディスプレイも大きく見やすいので、デジタルカメラのコンパニオンとして、カメラと無線接続してのリモートコントローラーとして、また撮影画像の自動転送先として、画像チェックに用いるのもいいだろう。

SIMロックフリー端末なので既存の端末から乗り換えもしやすいが、おサイフケータイには対応していないので注意が必要だ。

残念なのは特色がある端末ながら、iPhone、iOS を意識しすぎなところだ。カメラ部分ならずUI部分がかなり似通っているのだ。iPhoneから乗り換える人には抵抗ないかもしれないが、Androidからの機種変更を考えている人にはどうなのだろうかと感じた。

それ以外はなかなかよくできた端末なので、デジタルカメラとして、またそのお供としてチョイスするのも悪くない。

協力:chicama cafe
モデル:高実茉衣

三井公一

1966年神奈川県生まれ。新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナー、コンサルティングなどで活躍中。有限会社サスラウ、Sasurau, Inc.代表。著書にはiPhoneで撮影した写真集「iPhonegrapherー写真を撮り、歩き続けるための80の言葉(雷鳥社)」、「iPhone フォトグラフィックメソッド(翔泳社)」がある。