ミニレポート

SIGMA fp用にFotodioxのEFマウントアダプターを購入

シグマ純正と迷ったポイントや、実際のAF動作を紹介

手元にあったEFレンズを、マウントアダプター経由でSIGMA fpのレンズとして使用する。

「世界最小・最軽量」と聞くと、どんなものでもつい欲しくなってしまうのが人情というものだが、シグマが2019年10月に発売した「SIGMA fp」は、フルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラとして世界最小・最軽量だ。これはもう買うしかない。

……と、思っていたのだが、結局ズルズルと購入をためらっていたのは、マウントがガラリと変わってしまうからだ。それまで使っていたのはマイクロフォーサーズ。SIGMA fpはLマウントで、もちろん互換性はない。しかし、キャッシュレス決済で購入金額の5%を還元するという国策がこの6月で終了するのを前に、思わず手が伸びてしまったのだった。勢い余った、とも言う。

とうとう買ってしまったSIGMA fp。いつものスタイルということで、Peak Designのアンカーとカメラプレートを装着。
同時購入のSIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporaryと組み合わせてもコンパクト。パナソニックのLUMIX DMC-GM1を購入したときと似た感動がある。
別売ハンドグリップも必須だろう。

購入したのはSIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporaryとのセット。Lマウントは初なので、当然手元にほかのレンズはない。続くレンズはどうするかと悩んでいるのだが、いかんせん、そうそう手が出るものではない。

そこでふと思ったのが、さらに以前に使っていたキヤノンEFマウントレンズの存在だ。まずはマウントアダプターで手持ちのレンズを使いつつ、少しずつ買い足していこう……そう考えたわけだ。

どのアダプターを選ぶか

マウントアダプターは、Lマウント向けにはシグマ自身が「MC-21」を用意している。ただ、公式には「シグマ製EFマウントレンズ」用のマウントコンバーターとされている。基本的に使えないという理由はないと思うのだが、サポート面での制限もあるだろう。店頭で試用した限りはキヤノンのEFマウントレンズも使えるようだし、APS-C用のEF-Sレンズが使えたという声もある。

そうした中、FotodioxがEFレンズ用のマウントアダプター「EF-LT-FSN」を発表。EF/EF-Sレンズへの対応を公式に謳っている点に加え、実売でもMC-21より少し安いということから、これを試してみることにして購入。ちなみに、日本向けには焦点工房が販売をしている。

さて、というわけでEF-LT-FSNである。木箱に収められたボディは、全て金属製でしっかりとしている。EFマウントレンズの装着は、レンズによっては硬めだが、ボディ側は滑らかに装着できる。しっかりと装着でき、精度も問題ない印象で、全体的に不安はない。長さは29mm、重さは119gとなかなかのサイズ。EFレンズに装着すると、それだけで大きく重くなってしまうが、しばらくは目をつぶっておきたい。

木箱に収められて届いたEF-LT-FSN。
電子接点があるので、フォーカスや絞りをカメラ側から操作できる。

アダプターには赤と白の指標があり、EFマウントとEF-Sマウントのレンズにそれぞれ対応していることが明示されている。もちろん、手元のレンズで試した限りはどちらも装着できた。電子接点も備えており、AFや手ブレ補正の動作にも対応している。

SIGMA fpに装着。赤と白の指標でEFレンズとEF-Sレンズが装着できる。仕方ないかもしれないが、SIGMA fpと合わせると「FUSION」のロゴがちょっとバランス悪い。黒く塗りつぶしていいかもしれない。
キットレンズのSIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporaryを装着したSIGMA fp。
マウントアダプターだけを装着した状態のサイズはこのぐらい。
手持ちで最もコンパクトなEFレンズ「EF50mm F1.8 II」を取り付けた。フードを入れれば45mm F2.8 DG DNと似たようなサイズ。

手元にはキヤノン製とシグマ製のレンズしかなかったため、タムロンなどのほかのレンズメーカーのレンズは試せていない。Fotodioxによれば古いキヤノンレンズ、シグマやタムロン、トキナーといったサードパーティ製のレンズでAFが効かない場合があるほか、いくつかの問題があるレンズもあるという。

側面のFnボタン。押しながら電源を入れると電子接点が無効になる。反対側にはリリーススイッチがあり、カメラ側に向けてスライドさせるとレンズを取り外せる。

まあ、もともとメインの撮影機材でバリバリと使いこなそう、というスタンスではなかったため、ある程度は許容できる。仕事用ではなくプライベート用のつもりでもあり、それほど過酷な環境での撮影は想定していないので、MFでもいい、という程度の考えだ。

手持ちレンズのAF動作は?

EF17-40mm F4L USMを装着。

実際にレンズを装着して試してみる。まずは一番期待している「EF17-40mm F4L USM」。超広角から標準域までカバーし、標準レンズの45mm F2.8と2本で組み合わせた際の相性もいい。AFは小刻みに動いてピント合わせが行われるが、静かな方だろう。速くもないが、十分許容範囲。一昔前(EOS 40Dあたり)のキヤノンの一眼レフカメラでのライブビューよりも快適だ。

カメラ側の機能も問題なさそう。個人的な操作カスタマイズで、AF合焦時にピント位置を自動拡大、OKボタンでAFエリア拡大を割り当てているが、どちらも動作した。カメラのダイヤルを回せば絞り値も変化する。AFだけでなくMFももちろん問題なし。ただ、AF-Cに関しては微妙。レンズによっては頻繁にウォブリングが発生する。

各レンズでの検証動画。Lマウントの45mm F2.8 DG DNはさすがに速く静か。被写体をかなり近くに置いたためレンズによってはピントが合わない例があったが、その中でシグマの17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSMは、最大撮影倍率1:2.8(最短撮影距離22cm)まで寄れるのは意外にポイントが高かった。
そのうち2本でAF-Cと動画のAF検証も行なった。もともと静粛・高速なAFができるレンズであれば、マウントアダプター経由でもそれなりに使える。とはいえ、基本はAF-SかMFでの撮影になりそうだ。

筆者の使い方としてはAF-Cをそれほど重視しておらず、それよりも顔認識AFや瞳AFがきちんと動作するのを嬉しく感じている。合焦速度は決して速くはないが便利だ。今年に入って話題となったオンライン会議用のWebカメラとする用途でも、きちんと瞳を追うようだ。もちろん、AF速度はそれなりに遅い。とはいえ画角を変えながらWebカメラとして使えるのは素直に嬉しい。

レンズ側の機能としては、フォーカスモードスイッチをMFに切り替えてのMF操作、光学式の手ブレ補正も問題なく動作する。試した限りは、EF24-105mm F4L IS USM、17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM、EF70-200mm F2.8L IS II USMの3本のレンズで動作した。

EF70-200mm F2.8L IS II USMはさすがに重量級。アダプターの耐荷重を考えても三脚座は必須だろう。

EF-Sレンズも問題なし。試したのはEF-S10-22mm F3.5-4.5 USM。SIGMA fpには「DCクロップ」機能もあり、APS-Cセンサー向けに設計したレンズを使用するモードを搭載している。EF-Sレンズの場合、そのままだとAPS-Cのイメージサークル外にケラレが発生するので、このDCクロップを「入」にすれば中央部分がクロップされてケラレが解消する。「17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM / DC MACRO HSM」や「30mm F1.4 EX DC HSM / EX DC」のような、シグマ製のDCレンズも同様だ。ただし、どのレンズでもDCクロップの「オート」は動作しなかった。そのため、手動で「入」に設定する必要がある。

いずれにしても撮影後の画像を見てみると、Exifにきちんとレンズ名が記録されている。これも嬉しい点だ。

撮影した画像をLightroom Classicで表示。レンズ名がきちんと表示されている

ちなみに、EF-LT-FSNにはFnボタンがあり、これを押しながらSIGMA fpの電源スイッチをオンにすると、電子接点が無効の状態で起動する。AF、絞り、Exifへの記録といった情報伝達はなくなるが、そのままでは動作しないレンズがあった場合は試してみるといいだろう。

実際に撮影してみた

SIGMA fp+Fotodiox EF-LT-FSNを使って、手持ちのEFレンズで実際に撮影してみた。また、あくまで参考として、手元に残していたEOSデジタル一眼レフ(15年前のEOS 30D)でも同じ場所から撮影してみた。

EF28mm F1.8 USMは、販売終了した先代モデル。広角単焦点として使い勝手がよく、SIGMA fpにも適したコンパクトさも嬉しいところ(以下、左側の写真がSIGMA fpでの撮影)。
参考までに、こちらはEOS 30Dで同じ場所から撮影したもの。APS-Cなので画角は狭くなるが、案外写りはいい
EF17-40mm F4L USM。17mmという広々として画角をそのまま使えるSIGMA fpのメリットを感じる。
EOS 30Dで撮影。今の基準で見てしまうと、820万画素はさすがに解像度が足りない。
EF24-105mm F4L IS USM。細部のノイズ感を比べるとSIGMA fpの方が解像感を残していてよりクリアな印象。これも15年の差か。
左のSIGMA fpがISO 6400なのに対して、こちらのEOS 30DはISO 3200で撮影。
同じくEF24-105mm F4L IS USMの広角端。SIGMA fpではEOSのようにレンズ補正が効かないため、歪みは強めに出る。木目の描写はSIGMA fpの方が精緻だ。
EOS 30Dで撮影。
筆者がこれらEFレンズを使っていた「EOS 30D」は2006年3月発売で、有効820万画素のAPS-CサイズCMOSを搭載。手元には後継のEOS 40Dもあったが、なぜか起動しなかったため、急遽こちらを引っ張り出した。EOS 40D以降のカメラ機材は、フォーサーズを経てマイクロフォーサーズへと移行してしまった。

総括

というわけで、EFマウントレンズを装着してSIGMA fpでAF撮影する、という動作自体にはほとんど問題を感じなかった。

まあ、とはいえ、全体的にMC-21でも大きな違いはなさそうで、さらに実売価格でもそれほど差がないため、どちらを選ぶかは難しいところではある。全体的に、ピント精度が心配な部分で、AFが抜けてしまう例も少なくない。拡大機能を使えば撮影前にピントが合っているかは分かるので、致命的ではないと思うが、基本的には風景などの撮影はMFを駆使する方が安全かもしれない。それを除けば、これといった不具合は今のところないため、選択肢としては問題なさそうだ。

ところで、個人的にはSIGMA fpはできるだけコンパクトに使いたいと思っている。マイクロフォーサーズで「LUMIX DMC-GM1」を購入したときと同じ感覚だ。毎日持ち歩くようなスナップカメラとして、コンパクトで使いやすい画角のレンズが欲しいが、当然すぐには買えない。

しかし、レンズ代金が貯まるまでレンズを諦めていては、撮れる写真も撮れなくなってしまう。そんな時に役立つのが、こうしたマウントアダプターだろう。SIGMA fpで70-200mm F2.8クラスのレンズを使いたいかといわれると微妙だが、いざという時でも手持ちのレンズである程度の代用ができるというのは心強い。しばらくはレンズキットの45mm F2.8と愛蔵のEFレンズを使い分ける日々が続きそうだ。

小山安博

某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。