Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真
ビデオ雲台とレベリングベースで、流麗なヒコーキの流し撮りを決める
ルーク・オザワさんが語る「LQ-324C+BV-10+LB-60N」
2022年3月25日 12:30
一見すると三脚が必要ないと思われる撮影ジャンルにも、三脚・雲台を使うことで、よりアグレッシブな撮影が可能になるケースは多々あります。
今回ルーク・オザワさんに説明いただいたヒコーキの撮影もそのひとつ。三脚と雲台、さらにそれらをアシストするアクセサリーを活用することで精緻な撮影が可能になり、作品世界が広がります。
今回はハイエンドカーボン三脚「LQ-324C」、ビデオ雲台「BV-10」、レベリングベース「LB-60N」を駆使ルーク・オザワさんに、それぞれの魅力や組み合わせたときの印象などを紹介していただきました。
1959年2月、東京生まれ。ヒコーキと向き合い49年、風景とヒコーキをシンクロさせた絵づくりに定評がある。日本や世界の空で一瞬の光と色を追い求めている。ラジオ、テレビ、トークイベントなど幅広く活躍。生涯飛行搭乗回数2,100回を超えた。手掛けたカレンダーはANAを始め300作になる
※本企画はデジタルカメラマガジン2022年4月号より転載・加筆したものです。
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僕の現在のメイン機材はキヤノンEOS R3だ。レンズは昼間であればRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM、夜はRF70-200mm F2.8 L IS USMの出番が多い。
EOS R3は画素数を約2,410万画素に抑えることでISO感度を上げてもノイズが少ない。RFレンズの手ブレ補正も進化し、今では夜の低速シャッターでも作品が撮れる。
では、三脚も不要なのかと思われそうだが、そんなことはない。僕の撮影スタイルは利用できるものは利用するというスタンス。夜は三脚の出動率が高い。カメラ機材に三脚が加わるので、できることなら軽量コンパクトが理想だ。
レオフォト三脚のカーボン素材は僕の理想に近くとても軽く頑丈。機材を乗せて確実に作品を構築するにはある程度の大きさが必須なので、僕が愛用しているのはMr. QシリーズのLQ-324Cだ。さらにレベリングベースをかませて、雲台はビデオ用BV-10をチョイス。これによって夜の空港で流し撮りをして肉眼では見えないスチル写真の世界を作り出している。
このレベリングベースが意外と重宝する。滑走路上を動く機体を流すので滑走路に合わせて水平を取る必要があるが、レベリングベースがないと脚を1本ずつ微調整する必要があり時間がかかる。レベリングベースなら水準器も搭載されているので簡単に水平出しが可能だ。
先述したように夜はRF70-200mm F2.8 L IS USMのような明るいレンズが理想だが、時には200mmではヒコーキまで遠く、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMを使用することもある。
F値は暗くなるので、ISO感度を上げて理想のシャッター速度を導き出す。初めは1/30秒に設定し、徐々に落として最終的には1/4秒で到着機を捉える。出発機は徐々にスピードを上げるので画面上で追いやすいが、到着機は滑走路に着地した瞬間からブレーキや逆噴射をパイロットがかけるので追うのが難しい。
パイロットごとにタイミングもブレーキ強度も違うのでスローシャッターで捉えにくいが、スムーズに操作できるこの雲台なら決して難しくはない。
羽田空港は夜の到着ピーク時、3分に1機の間隔で降りて来る。すべての機体を望遠ズームで流すのも体力的に限界がある。これも三脚を使う理由の1つ。
昔は傷だらけの使い込んだ三脚がカッコいいと思っていた時代もあったが、今はきれいでおしゃれな三脚を好む。そういう意味でもこのMr. Qシリーズは脚部のデザインが美しい。これからもこの三脚で新たな作品を作りたい。
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水平出しもパン操作も自在にできる最強トリオ
LQ-324Cはレオフォト三脚の特徴でもある着脱可能なセンターポールがエレベーターの役割も担う画期的なモデル。エレベーターユニットを外せばよりコンパクトになり、装着すると高さの微調整がスムーズになる。着脱もレバーとボタン操作で簡単だ。
BV-10はコンパクトなビデオ雲台で、三脚の携行性を損なわない。ハーフボールで水平出しができるLB-60Nとの組み合わせが便利だ。