Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真

ビデオ雲台とレベリングベースで、流麗なヒコーキの流し撮りを決める

ルーク・オザワさんが語る「LQ-324C+BV-10+LB-60N」

羽田空港で着陸機を狙った。スローシャッターで真横にカメラを振るため着陸機が来る前に滑走路と平行にする必要があるが、レベリングベースなら調整も簡単だ
EOS R3 / RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM / 324mm / マニュアル露出(F5.7、1/4秒) / ISO 10000/ WB:オート

一見すると三脚が必要ないと思われる撮影ジャンルにも、三脚・雲台を使うことで、よりアグレッシブな撮影が可能になるケースは多々あります。

今回ルーク・オザワさんに説明いただいたヒコーキの撮影もそのひとつ。三脚と雲台、さらにそれらをアシストするアクセサリーを活用することで精緻な撮影が可能になり、作品世界が広がります。

今回はハイエンドカーボン三脚「LQ-324C」、ビデオ雲台「BV-10」、レベリングベース「LB-60N」を駆使ルーク・オザワさんに、それぞれの魅力や組み合わせたときの印象などを紹介していただきました。

ルーク・オザワ

1959年2月、東京生まれ。ヒコーキと向き合い49年、風景とヒコーキをシンクロさせた絵づくりに定評がある。日本や世界の空で一瞬の光と色を追い求めている。ラジオ、テレビ、トークイベントなど幅広く活躍。生涯飛行搭乗回数2,100回を超えた。手掛けたカレンダーはANAを始め300作になる

※本企画はデジタルカメラマガジン2022年4月号より転載・加筆したものです。


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僕の現在のメイン機材はキヤノンEOS R3だ。レンズは昼間であればRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM、夜はRF70-200mm F2.8 L IS USMの出番が多い。

EOS R3は画素数を約2,410万画素に抑えることでISO感度を上げてもノイズが少ない。RFレンズの手ブレ補正も進化し、今では夜の低速シャッターでも作品が撮れる。

では、三脚も不要なのかと思われそうだが、そんなことはない。僕の撮影スタイルは利用できるものは利用するというスタンス。夜は三脚の出動率が高い。カメラ機材に三脚が加わるので、できることなら軽量コンパクトが理想だ。

LQ-324C+BV-10+LB-60N
ハイエンドカーボン三脚LQ-324Cに、ビデオ雲台のBV-10をセット。さらにレベリングベースのLB-60Nを加えることで、最強の流し撮りシステムができあがる
LQ-324C
価格:8万5,800円(税込)/全伸長:1,598mm 伸長:1,308mm/最低高:78mm/収納高:493mm/段数:4/最大脚径:32mm/耐荷重:15kg/質量:1,490g

BV-10
価格:3万250円(税込)/幅:122mm/長さ:388mm/高さ:98mm/ベース径:60mm/耐荷重:5kg/質量:700g

LB-60N
価格:1万6,500円(税込)/トップ直径:60mm/高さ:53mm/傾斜範囲:-15°/ +15°/耐荷重:15kg/質量:206g

レオフォト三脚のカーボン素材は僕の理想に近くとても軽く頑丈。機材を乗せて確実に作品を構築するにはある程度の大きさが必須なので、僕が愛用しているのはMr. QシリーズのLQ-324Cだ。さらにレベリングベースをかませて、雲台はビデオ用BV-10をチョイス。これによって夜の空港で流し撮りをして肉眼では見えないスチル写真の世界を作り出している。

このレベリングベースが意外と重宝する。滑走路上を動く機体を流すので滑走路に合わせて水平を取る必要があるが、レベリングベースがないと脚を1本ずつ微調整する必要があり時間がかかる。レベリングベースなら水準器も搭載されているので簡単に水平出しが可能だ。

離陸するボーイング787。離陸機はすでに時速300kmは超えて上昇をする様は斜め方向に移動する。BV-10なら斜め方向の移動も追いやすい
EOS R5 / EF200mm F2L IS USM / 200mm / 絞り優先AE(F2、1/50秒、-0.7EV) / ISO 20000 / WB:3,200K

先述したように夜はRF70-200mm F2.8 L IS USMのような明るいレンズが理想だが、時には200mmではヒコーキまで遠く、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMを使用することもある。

F値は暗くなるので、ISO感度を上げて理想のシャッター速度を導き出す。初めは1/30秒に設定し、徐々に落として最終的には1/4秒で到着機を捉える。出発機は徐々にスピードを上げるので画面上で追いやすいが、到着機は滑走路に着地した瞬間からブレーキや逆噴射をパイロットがかけるので追うのが難しい。

パイロットごとにタイミングもブレーキ強度も違うのでスローシャッターで捉えにくいが、スムーズに操作できるこの雲台なら決して難しくはない。

羽田空港は夜の到着ピーク時、3分に1機の間隔で降りて来る。すべての機体を望遠ズームで流すのも体力的に限界がある。これも三脚を使う理由の1つ。

昔は傷だらけの使い込んだ三脚がカッコいいと思っていた時代もあったが、今はきれいでおしゃれな三脚を好む。そういう意味でもこのMr. Qシリーズは脚部のデザインが美しい。これからもこの三脚で新たな作品を作りたい。

満月が海を照らし普段とは様相が異なる羽田空港D滑走路。望遠レンズとスローシャッターゆえに三脚は必須。ストロボライトがタイミング良く光った瞬間を捉えた
EOS R3 / EF500mm F4L IS II USM / 500mm / 絞り優先AE(F4.6、1/30秒、±0EV) / ISO 51200 / WB:3,200K


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水平出しもパン操作も自在にできる最強トリオ

LQ-324Cはレオフォト三脚の特徴でもある着脱可能なセンターポールがエレベーターの役割も担う画期的なモデル。エレベーターユニットを外せばよりコンパクトになり、装着すると高さの微調整がスムーズになる。着脱もレバーとボタン操作で簡単だ。

BV-10はコンパクトなビデオ雲台で、三脚の携行性を損なわない。ハーフボールで水平出しができるLB-60Nとの組み合わせが便利だ。

撮影に合わせて取り外せるエレベーターユニット

LQ-324Cのエレベーターユニットは着脱可能。不要な場合は取り外しておくとさらに軽量になり、持ち運びしやすくなる。

パン操作がスムーズで流し撮りがしやすい

BV-10を使用すると程よい力でパン操作が可能。平行を維持して流し撮りできる。ハンドル部分は着脱できて携行しやすい。

ビデオ雲台にしてはコンパクトなBV-10。スムーズな操作はビデオ雲台ならではだ

レベリングベースで素早く水平に

流し撮りなどでパン操作を行うときは事前に水平をしっかりと調整する必要があるが、レベリングベースを使用することで、簡単に水平を調整できる

BV-10とLQ-324Cの間に取り付けたLB-60N。カメラの水平出しが楽になる

制作協力:株式会社ワイドトレード

ルーク・オザワ