Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真
ワンタッチで雲台の交換が完了……“クイックリンクセット”で2つの撮影技法を三脚1本でカバー
茂手木秀行さんが語る「G4+QS-60」
2022年2月21日 12:00
撮影ジャンルや撮影の意図に合わせ、プロは三脚・雲台を吟味します。近年は三脚・雲台も多様化し、様々なニーズをフォローできるようになりました。
この連載ではプロの写真家に、使用しているレオフォトブランドの三脚・雲台について紹介いただいています。
今回寄稿いただいた茂手木秀行さんには、ギア雲台のG4と、素早い雲台の着脱を実現する「QS-60」について説明してもらいました。
東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、マガジンハウスに入社して各種雑誌の撮影を担当。2010年よりフリーランスとなる。1990年よりデジタルフォトに取り組み黎明期からデジタルでの表現を取り入れた制作を続ける。星景写真は少年期から40年を越える趣味であり、ライフワークとなっている
※本企画はデジタルカメラマガジン2022年3月号より転載・加筆したものです。
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星景写真の撮影手法は大別すると2つだ。星を止めて点として写すか、星の光跡を線として写すかだ。
どちらも合成をして作る手法は今は簡単だが、写真は時間の記録であり、撮影者が存在した時間と空間、そしてそこから得られた感情の記録である。それゆえに単一の露光によって得られた画像であることを大切にしたいと常に考えている。
そこから紐解かれる撮影技法は、星を点として写す場合には赤道儀を使って星の動きを追いかけること、そして星の光跡を写すには長い露光をすることだ。そのどちらにも頑丈な三脚が必要なことは言うまでもない。
しかしながら、赤道儀を使う場合とただ長時間露光をする場合とでは要求する雲台の仕様が違う。赤道儀を使う場合は極軸合わせといって、赤道儀の回転軸を正確に北極星に向ける作業が必要なのだが、その際はギア雲台G4のような微動機構のある雲台でないと手早く合わせることができない。自由雲台などではかえって時間がかかってしまう作業なのだ。
一方、長時間露光をする場合は固定力が強く、それでいて自由な方向に向けられる自由雲台が良い。赤道儀にはそうした要求を満たす、専用の三脚もあるので解決策は2本の三脚を使えば良いということになる。
しかしそれはすなわち、移動に制約を受けるということだ。よく晴れた一晩のうちに場所を変えながら、そしてその場所で感じた感情を点で写すか、光跡で写すか、その技法の差異によって表現するからこそ写真なのである。
移動の制約から逃れるための良い解決策は、三脚は1本、雲台を2種というのが1つの結論だ。だが、雲台の付け替えには落下のリスクと相応の時間が必要だ。暗闇の中でネジ込み作業をしなければならないからだ。
そこでイチオシはクイックリンクセットQS-60だ。ほぼワンタッチで雲台の付け替えが完了する。こうしたアクセサリーがあることで、システムの広がりが一段と大きくなるものだ。自分の撮影分野から要求される仕様にしっかりと合わせ込めることがシステムであることの魅力である。
レオフォトの精度の高さ、仕上げの良さはヨーロッパ製の三脚にも比肩し得るものであることはよく知られるようになってきたが、こうしたシステマティックな広がりにおいては一歩先んじていることも知っておいてほしい。このような製品を開発し続ける姿勢そのものが「表現」と言えるものであるからだ。
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雲台を素早く着脱できるクイックリンクシステム
G4はギアのかみ合わせでカメラを動かすので重いカメラや望遠でも精密にフレーミングできるのが特徴。一般的な雲台にありがちな固定ノブの締め込み時に動いてしまう現象がないことも大きなメリットだ。回転軸は4つだがカメラの前後左右の傾き調整が微動ギア付きとなっている。
QS-60はワンタッチで雲台と三脚を脱着できる便利アイテムで雲台を速やかに交換できる。