Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真

機動力と操作性を両立…撮影を支えてくれる理想の雲台

写真家・辰野清さんが語るギア雲台「Leofoto G4」の魅力

まるでガラスの破片が放棄されたかのような諏訪湖の冬景。手前の氷の配置を丁寧に一枚づつ構図に納める。G4雲台のギア駆動は私のわずか1mmの拘りも寛容に受け入れてくれた。
GFX 50S / GF23mmF4 R LM WR 23mm(18mm相当) / 絞り優先AE(F22・1/40秒・-1.7EV) / ISO 400 / WB:オート

デジタルカメラの手ブレ補正や高感度性能が向上したいまでも、写真家にとって三脚・雲台が重要なアイテムであることは変わりません。この連載ではLeofotoブランドの製品を通じて、そのベネフィットと評価を綴っていただきます。

今回寄稿いただいた写真家は辰野清さんです。

辰野清

1959年生まれ、長野県在住
第11回前田真三賞受賞。写真集「凛の瞬」「余韻」 著書「超実践的フィルターブック」など多数。写真展も多数開催。豊かな構成力と詩情溢れる作風で日本の風景表現の物語性を追求している。写真誌コンテスト審査員、写真誌執筆、講演会、写真教室講師、ツアー企画ほか。


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精緻な操作性が文字通り作品を支える

風景表現でのフレーミングは伝えるための手段として最も重要なのは言うまでもない。どんなに貴重で魅力的な出会いがあったとしても、撮影の絵柄次第では感動が伝わらないことが多々あるからだ。

風景撮影からはゆっくりとした撮影スタイルが思い浮かぶかもしれないが、狙いにより常に変化する絞りやシャッター速度の選択やISO感度、さらには多種にわたるフィルターワークなど、多くの技術を駆使しなければならないので慌ただしくも速写性が求められる。

三脚と雲台はその多様な技術を最大限に生かすためは必要不可欠な機材であり第三の手でもある。少々カメラのランクが下でもそれなりに綺麗に写るが、三脚が無いとまったく撮れない風景表現が出てきてしまう。それは表現者にとって致命傷ともいえるだろう。

フレーミングは美的表現の重要な原動力であり、感覚の法則に導かれながらも手探りで体得していくものだ。つまり具体的な言葉がない世界だからこそ、感性と機材を駆使し自己の世界観を伝えなければならない。雲台により細部に拘れる自信と満足感は撮影のモチベーションとなり新しい出会いを生むだろう。そして作家の力量がフレーミングの細部から見えてくる。私にとって三脚は表現幅の確保という意味でも、カメラ、レンズと同等に重要な機材という位置付けなのだ。

厳冬の川辺で息づく小さな命を撮影した。一瞬の川霧の変化をG4のチルトノブを回しワンアクションでフレームに加えた。ロックをしたまま即座に状況対応できるところがいい。
D810 / AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED / 40mm / 絞り優先AE(F2.8、1/200秒・-0.7EV) / ISO 400 / WB:オート

現在メイン機材で使っているLeofoto G4雲台は、ギア駆動ならではの妥協のない微調整ができるのと、他社に見られるの巨大なサイズ感も無く扱いがとても楽だ。

Leofoto G4

私はメインカメラに大型センサー搭載ボディを使用しているが、その緻密な描写特性を生かすのは耐荷重20gの頑強なG4雲台と三脚(LS-364C)のおかげだと頼もしく思っている。今まで様々なパン棒付き3way雲台やボールヘッド自由雲台などを使ってきたが、どちらも一長一短で我慢をしながらというのが本音である。

3way雲台は機動力とサイズ、自由雲台は固定力と微調整のやりにくさと言ったところか。しかしG4雲台はその両者の利点を上手に機能に生かしながら軽量化を図ったところが素晴らしい。またレベリングベースLB-60Nを併用することで自由雲台と同じようにも使え、理想の雲台システムとして私の撮影を支えている。

栗の奇形樹を入れ約20分間の露光をしている。ギア駆動への過重負荷が画像に現れるのかが心配だったが、静止部は微動だにしない映像だ。暗く見えない状況の中で四辺四隅の絵柄を微調整できるのには感動した。ちなみにG4雲台は耐荷重20㎏を保証している。
X-T2/ XF10-24mmF4 R OIS / 10mm(15mm相当) / マニュアル露出(F4・20分) / ISO 100 / WB:オート


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Leofoto G4の特徴

軽量コンパクトなギア雲台

ギア雲台は重量やサイズ感がネックになっていたが、G4は高さ108mm、質量690gと自由雲台並みの軽量コンパクト設計。金属パーツを多用した頑丈な造りからは想像できない重さだ。ギア雲台の最大のデメリットを取り除いたことで理想の雲台像に近づいたと言える。

正確なフレーミングをアシスト

雲台がロックされた状態でもノブの回転によって簡単に絵柄の微調整ができるのが一番の特徴だが、とにかくフレーミングが正確に決まるので撮影ストレスがたまらない。また各ロックレバーを緩めることで大まかな位置決めもできるスピードも兼ね備えている。

自由雲台やパン棒付き3way雲台にはそれぞれの利点があるが、細部の調整についてはギア雲台が群を抜いている。調整ノブのトルク感にはやや重たさを感じるが、撮影者の安心感を誘う配慮なのだろう。素早く微調整するにはほどよいストロークでもある。

また、撮影機材の軽量化はフットワークを生み多くの出会いを誘う。G4は見た目が自由雲台かと思わせるほど小さいので、移動時の負担はもちろんのこと収納スペースも簡略化できる。

メカニカルなデザインがカッコいいというのも撮影意欲を掻き立てるキーワードだろう。Leofoto LS-364C三脚に装着するとバランスもよく、いい出会いがイメージできるところも気に入っている。

望遠レンズ使用時も安心の耐荷重

望遠レンズになればなるほど重量がかさみ装着時でのアンバランス感も伴う。G4は耐荷重20㎏と頑強で、35mmフルサイズカメラはもとより大型センサー搭載カメラの最大重量もカバーしているので安心して機材を任せることができる。

また大きなレンズサイズは前方へのアンバランス感や機材への負荷を誘うが、オプションのレンズサポートクランプを使うことで解決する。クランプは各種充実しているので機材に合った選択ができるのも嬉しい。また高さが108mmと重心が極めて低いので機材装着時の安定感に優れている。

ロックレバー機構について

ロックレバーはクイックリリース部のパンニングクランプレバーを含めると全部で4軸になる。パン部とパンニングベースとはほぼ同じ動きとなるので実際には3軸がそれぞれの役割を担う。やや小さめなレバーだがロック力はとても強く、長時間露光時でも問題なく機材を支えてくれた。

大まかなフレーミング決めでは先立ってスイングレバーで水平を確保し、次にパンレバーとチルトレバーを同時に緩めることで自由雲台と似た機動性が得られる。パンロックレバーの調整ノブは省略しているが、動きはとてもスムースなのでパノラマ撮影や動画撮影でも重宝するだろう。G4のパフォーマンスは機動性に欠けるギア雲台のイメージをくつがえすものだと思う。

クイックリリース部の機構について

クイックリリース部には360°回転するパンニングクランプが実装されている。カメラ本体からレンズホルダー装着に付け替えるときには、雲台本体を90°回転させずにクランプ部の回転のみですむので簡単で助かる。また一般に幅広く使われているアルカスイス互換で汎用性が高いのは嬉しい。

制作協力:株式会社ワイドトレード

辰野清