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オリンパスの新PROレンズ「12-100mm」「25mm F1.2」をチェック

フォトキナ2016のオリンパスブースには、開幕前日に発表された「OM-D E-M1 Mark II」の姿こそなかったものの、同時発表されたPROレンズ2本や新マクロレンズを手に取ることができた。ブースで聞いた話とともに詳細をお届けする。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

E-M1+M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

35mm判換算24-200mm相当の画角となるズームレンズ。日本国内では11月下旬発売。店頭予想価格は税込15万1,200円前後。

今回のフォトキナ取材に訪れているプレス陣注目のトラベルズームレンズ。広角からある程度の望遠までカバーし、対応ボディとの協調で最高6.5段分の手ブレ補正効果が得られる。最短撮影距離が0.15m〜0.45m(広角端〜望遠端)と短いのも、引きが取れない会場撮影から手元のブツ撮影まで1本で済ませられると期待がかかっている。

オリンパスとしては、マイクロフォーサーズカメラの何よりのメリットとして「機動性」を挙げる中で、標準ズームの12-40mm PROと望遠ズームの40-150mm PROさえも1本にまとめて荷物を減らしたいというフィールドの声を受けて開発した1本。高画質なオールラウンダーを目指したという自信作だ。

M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

「写真表現にこだわったものを作りたい」との思いから生まれた、これまでのPROレンズのイメージを広げる大口径標準レンズ。こちらも高性能・高画質とAFスピードなどの機動性はPROレンズ水準としながら、その誕生経緯は万能選手の12-100mmと好対照。

一般的に現代の高性能レンズは、まず解像性能を上げてから残った収差を一定内に収めるという作り方をすると言われているが、このレンズではボケにこだわり、収差とボケの関係を繰り返し確認しながら設計したという。開放では多少の口径食があり、しっとりとした描写でクラシカルな雰囲気も持っている。

そうした写真趣味の味わいを意識したレンズでありながら、フォーカス群を軽くして高速AFも両立すべく、標準域の単焦点レンズでありながら17群19枚という高級な望遠ズームレンズ並みの構成枚数となった。

カメラボディ側の進化で高画質と暗所撮影を実現したあと、今回のフォトキナではE-M1 Mark IIで取り組んだ動体撮影性能とともにレンズの「味わい」に挑戦したオリンパス。PROレンズシリーズのますますの広がりに期待がかかる。

M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

E-M10 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

35mm判換算60mm相当の画角を得られるマクロレンズ。国内発売は11月下旬。店頭予想価格は税込3万2,400円前後。

すでにマイクロフォーサーズ用に120mm相当の「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」をラインナップしているが、広角系マクロへの要望は常に高いという。

マクロレンズは、その被写体までのワーキングディスタンス(レンズ先端から被写体までの距離)によって焦点距離が選ばれる。既発の60mmマクロはワーキングディスタンスを長く取れるため、近づくと逃げてしまう虫などを遠くからクローズアップするのに向く。しかし一方で、手元にある皿などを撮るテーブルフォトでは引きが取れず使いづらい。そうした用途にフィットするのが今回の30mmマクロだ。

単に画角が広めのマクロレンズとしただけでなく、等倍を超える1.25倍(35mm判換算2.5倍とも表記)の撮影倍率を持たせたのも面白い点。レンズの撮影倍率は「等倍」で被写体の実寸とセンサー上に写る被写体の像が同じサイズになる。それをさらに超えるクローズアップ撮影を手軽に可能としたのが今回のレンズだ。ユーザーが交換レンズを評価する基準のひとつとして「寄れること」へのニーズは常に大きいそうで、それに対して"どれだけ寄れるか"を重視した静かなる個性派の1本と言えるだろう。