デジカメアイテム丼
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「宙玉レンズ」に工作不要の完成品が登場
光学ガラス球の採用で画質もアップ
Reported by 本誌:武石修(2015/4/6 10:00)
「宙玉(そらたま)レンズ」と言えば、実験写真家の上原ゼンジ氏が考案した“空中に浮かんだ玉に被写体が浮かんだように写る”レンズのこと。
これまで工作が必要だった宙玉レンズだが、このほど工作無しでカメラのレンズに装着できる「soratama 72」という製品が登場した。これは上原氏とアドプラスによるZENJIXブランドの製品で、マミンカから発売されている。
これまで宙玉レンズはアクリル板とアクリル球で自作するか、レンズ部分の完成品を買って自分で鏡胴を作る必要があった。今回のsoratama 72は、鏡胴部分も完成品とすることで、カメラのレンズにスマートに付けられるのが特徴となっている。
今回発売されたのは、レンズ部分の「soratama 72」(税込5,994円)と鏡胴の長さを延長する「Extension Tube 72」(税込4,762円)。
いずれも、フィルターメーカーのゴゾフィルタース(同社Webサイトで製造工程も公開している)が製造した日本製。特にこれまでアクリル製だった球を光学ガラス製にして画質も高めている。鏡胴(フレーム)部分はアルミ製で、カメラ用フィルターと同様のしっかりした作りになっている。製品名にあるとおり、72mm径のフィルターネジを備えている。
soratama 72は取り付けるカメラのレンズによって、延長筒の長さを調節する必要がある。Webサイトでカメラ別のセッティングが公開されているが、今回は上原氏が「コンパクトでおすすめのシステム」というOLYMPUS OM-D E-M10とM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8の組み合わせで試用した。
宙玉レンズは、球に映った像をマクロ撮影するシステムなので、至近距離にピントが合うようにしなければならない。一般的な撮影レンズではピントが合わないため、今回は中間リングを使って最短撮影距離を短縮した。
また、72mm径の宙玉レンズを46mm径のM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8に付けるために、46mm→72mmのステップアップリングを使用する。
soratama 72には元から付属している20mmのエクステンションチューブと、Extension Tube 72に入っている20mmのエクステンションチューブを装着するとピントが合うようになる。
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試したところ、AFでピントが合うので使いやすかった。光学ガラスとあって、合焦した部分はなかなか鮮明に写っている。
宙玉レンズは絞り値によって写りが変わり、絞りを開けると球とそれ以外の境界がぼやける。一方絞ると、球の輪郭がはっきり出る。好みもあるが、今回のシステムではF8~F11程度に絞ると球の輪郭が綺麗に出て宙玉らしい雰囲気の写真になる。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 宙玉レンズは上下が逆に写るため、回転処理をしています。
宙玉レンズはそのままでも面白いが、カメラのエフェクト機能を併用するとさらに面白い。今回はOLYMPUS OM-Dを使ったので、「アートフィルター」を適用して多くを撮影した。「ポップアート」のような彩度の高いエフェクトが宙玉レンズと相性が良いように感じた。また、「リーニュクレール」などのエフェクトも面白いだろう。
アートフィルターによる違い
※共通設定:E-M10 / 1/100秒 / F10 / +1EV / ISO200 / プログラム / 17mm
宙玉レンズが気になっていてもこれまで踏み出せなかった向きは、この機会に試して見てはいかがだろうか。
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