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Insta360 X4 Air
機能を集約して持ち歩きやすく…6万円台で登場した新360°カメラ
2025年10月30日 07:00
360°カメラ市場で大きなシェアを誇るInsta360から、新機種「Insta360 X4 Air」(以下X4 Air)が発表された。
今回試用したのはスターターキットで、カメラ本体のほかに予備バッテリー、自撮り棒、レンズキャップ、収納ケースなどがセットになっている。
小さなボディに主要機能を凝縮
もう一度名称を確認してほしいのだが、今年4月に発売された最新モデル「Insta360 X5」(以下X5)ではなく「X4 Air」である。昨年発売された一世代前の「Insta360 X4」(X4)をベースに、さらに機能を絞り込んで軽量コンパクトにしたモデルだ。
主要性能は「Insta360 X4」がベースだが、「Insta360 X5」譲りの機能も搭載しているのが魅力だ。
外形寸法は46×113.8×37mmで、重量165g。近年は性能向上に伴いどんどん大きくなっていたが、本機は手に持つと小さく感じる。これなら持ち歩きやすい。
センサーサイズはX4よりも少し大きい1/1.8インチ(X4は1/2インチ)。
「Insta360 X5」で初めて採用された「レンズ交換システム」も搭載されており、専用キットを使えばユーザーの手元でレンズ交換ができる。
魚眼レンズがむき出しになる360°カメラは常に傷の心配がつきまとうが、自分で交換できるので安心して使える。
防水性能も向上しており、ハウジングなしで15mまでの水中撮影が可能だ(Insta360 X4は10m)。
バッテリー容量は2,010mAhで、8K/30fps(7,680×3,840)で最大88分の連続撮影が可能。急速充電にも対応しており、36分で80%、57分で100%まで充電できる。
マグネット式のクイックリリースマウントはX5やAceシリーズと共用可能。ロック機構も付いているのでアクション撮影でも安心だ。
多彩な撮影モード
メインとなる360°動画は最高8K/30fpsで撮影できるだけでなく、アクティブHDRも8K/30fpsまで対応している(X4は5.7K)。通常使用時には常にHDRをONにしておいてもよいだろう。
1つの動画素材からさまざまな画角を切り出せる「リフレーム編集」も、360°カメラならではの使い方。見せたい方向だけを一般的な16:9やショート動画の9:16などのフォーマットに変換できるだけでなく、画角や投影方法もキーフレームで設定可能だ。Vlog制作でも単調な映像にならず、後から編集する楽しみもある。面倒な編集が苦手な人なら、専用アプリでAIに任せてダイジェスト動画を作ってもらうこともできる。
X5から搭載された「InstaFrameモード」は、通常のアクションカメラのように「タッチスクリーンに表示されている映像」をそのまま記録できる。リフレームのように後から切り出す作業が不要なので、用途が決まっている撮影には便利なモードだ。
また「自撮りビュー」に設定すれば常に自分を画面の中心に捉え、自撮り棒で撮影しても自分が画角から外れる心配がない。
さらに6K/30fps(6,016×3,008)の360°素材も同時に記録されるため、InstaFrameで捉えられなかったシーンだけを後からリフレーム編集で切り出せばよい。
InstaFrameの解像度は1080p/30fpsに限定されるが、スマホで編集するSNS動画クリエイターにはうれしい機能だ。
その名のとおりシングルレンズモードは、本体両面にあるレンズの片側のみで記録するモード。
録画を止めずにインアウトの切り替えができるが、映像も音声も一瞬途切れるので注意が必要だ。
最高解像度は4K/60fps(3,840×2,160)で、2.7K/60fpsや1080p/120fpsも選択可能。
フリーフレームモードはシングルレンズの映像をもとに後から画角を切り替えられるモード。同じ素材から16:9や9:16などのフォーマットを書き出せる。本編とダイジェストを同一素材から編集したいときに便利だ。
タイムラプスやハイパーラプスなどの特殊撮影にも対応している。
Insta360シリーズは全方位を撮影し、後から自由に画角を決められるという特徴が支持されており、バイクなどの車載撮影に使うユーザーも多い。
上位モデルX5では多層構造のスチールメッシュ製ウィンドガードを搭載し、強風下でもクリアな音声を収録できるが、X4 Airにも同様の機構が搭載されている。
Insta360 X5との違いは?
X5との大きな違いは、360°のハイスピード撮影に対応していないことと、低照度環境でのノイズを低減する「PureVideoモード」が非搭載であること。
6Kや4Kを選んでもフレームレートの上限は60fpsまでで、スローモーション撮影には対応していない(バレットタイムも非対応)。
またHDR撮影時のフレームレート上限は、どの解像度でも30fpsまでとなる。

夜間撮影で威力を発揮する「PureVideoモード」にも非対応だが、都会の街明かり程度であれば、通常使用に支障のないレベルで記録できる。
また高度なカラーグレーディングが可能になるI-Log記録にも対応していないので、画質にこだわるクリエイターには向いていない。
RAW対応の360°写真も
最近の360°カメラはアクション動画用途が目立つが、もちろん静止画も撮影可能だ。
控えめな29メガピクセル(7,680×3,840)という解像度ながら、RAW(DNG)形式やブラケット撮影にも対応。高解像度なバーチャルツアー用途にはやや物足りないが、スマホで閲覧・加工してSNSに投稿するには十分な性能といえる。
まとめ
X4 Airは、軽量コンパクトなボディに360°カメラの魅力を凝縮したモデルだ。
アクション用途というより「日常使いの360°カメラ」という印象で、スマートフォンのカメラでは撮影できない表現を楽しめる。
通常版は公式オンラインストアで5万6,900円、今回試用したスターターキットは6万2,900円。本体色はグラファイト・ブラックとアークティック・ホワイトの2色から選べる。ちなみにX5は、通常版が8万4,800円、スターターキットが9万2,900円となる。
マウント類などInsta360シリーズのさまざまなアクセサリーも利用できるため、360°カメラ初心者にも選びやすいモデルだろう。






