私はこれを買いました!

ファーストコンタクトで“買う予感”

FUJIFILM X100V(大浦タケシ)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2020年に購入したカメラ関連製品をひとつだけ挙げていただきました。(編集部)

これからもそばにいてくれるカメラに

レビュー記事を担当したがために、俄然物欲が湧き手に入れてしまう。「X100V」の購入については、正にミイラ取りがミイラになってしまったのである。そもそもファーストコンタクトである記者発表会で何となく「購入するかも」と感じていたが、それを決定づけたのが件のレビュー記事執筆なのであった(その媒体がデジカメ Watchでないのが何とも残念)。

ちなみに自分にとってX100シリーズはこれが初めてではない。最初は初代「X100」を所有。そのときは操作性などイマイチな部分が多く半年ほどで知り合いに譲ってしまった。また、所有したものではないが、先代「X100F」を4か月ほどメーカーから貸与されたこともある。残念ながらこちらはタイミングが悪く購入に至っていない。いずれにしても、これまであまりよいとは言い難いお付き合いしかしてきていなかったので、このカメラに対する期待は大きいものであった。

「X100」が手元に届いたのは4月初め。自粛期間真っ只中のため、当初は自宅で家族を撮ったり、食料品などの買い物の途中でシャッターを切る程度であった。しかしながら、カメラを構える度にどこかのCMに出てくるフレーズのように“いい写真が撮れる予感がする”のである。さらに自粛が解除され次第に外で撮影する機会が増すと、写りや操作感のよさなど改めて再認識させられ、今では所有するカメラのなかで持ち出す機会の一番多いカメラになっている。

今年の夏、36年ぶりに広島の尾道を訪れた。前回訪れたときときは若気の至りでモータードライブ付き35mm一眼レフ2台に広角から望遠までの短焦点レンズ5本と欲張ったものであったが、今回は「X100V」と、90mmレンズを付けたレンジファインダーカメラの2台とシンプルな体制。主役はもちろん「X100V」で、その働きは期待どおり。自分なりに“いい写真”が撮れたと思っている。おそらく3度目の正直で、「X100V」はこれからも私のそばにいてくれるカメラになりそうだ。

36年ぶりの尾道は、駅周辺や海沿いはきれいに整備された反面、山側は廃屋がよく目に付いた。それでも渡船が尾道水道を絶えず往来し、造船所からは作業の音が威勢よく聞こえてきたのは記憶と同じ。久しぶりに楽しい撮影であった。
FUJIFILM X100V / 絞り優先AE(F6.4・1/950秒・-0.67EV) / ISO 160

近況報告

2020年、言うまでもなく気持ち的にも経済的にも辛い年であった。そのようななかメーカー各社から魅力的なミラーレスがいくつも登場し、私自身も仕事カメラ全てがミラーレスに置き換わった。今後カメラがどのように進化していくか、ますます興味あるところだ。

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。