写真展レポート
森山大道『記録35+36号』展レポート
私家版写真誌から作品を展示 青山の新ギャラリーで
2018年1月31日 07:00
東京・青山にAKIO NAGASAWA GALLERY AOYAMAが1月30日にオープンした。こけら落としは森山大道『記録35+36号』展だ。
同ギャラリーは2014年11月、銀座に開設され、作品展とプリント販売、写真集の出版を行なってきた。ここ青山では銀座のギャラリーとは違うラインナップで、写真ファン以外の顧客も取り込んでいく。
目についたら撮る。それがスナップなんだ
『記録』は森山さんが1972年から翌年にかけ、5冊を制作した私家版写真集だ。72年は『写真よさようなら』を出した年となる。
その後、2006年11月からAkio Nagasawa Publishingから『記録6号』として再開され、2017年12月に最新刊である『記録36号』が出版されている。
「もう少ししたら37号の写真を入稿する」と森山さんは話す。
今もニコンのデジタルコンパクトカメラを手に、新宿、池袋をはじめとする街を日常的に歩き、シャッターを切っている。
2020年の東京オリンピックに向けて、東京の表層はより大きく変わり始めている。
「ただボクにとってそうした街の変化はあまり関係ない。もちろん歌舞伎町にコマ劇場がなくなり、高いビルとゴジラが現れれば『変わったな』とは思うけど、自分の撮る写真のスタンスには影響しない」
そうした部分とは別に、毎日、街は動き、生きている。同時に自分自身の気持ち、見方も知らず知らず変わっていく。
「同じ所ばかり撮って、よく飽きないなと友人からも言われることがある。けれど昨日とは違うものが見えるかもしれない。何に出会うか分からない。飽きているヒマはないね」
森山さんが黒と白のイメージに転換した世界は、現実のようであって非ざる存在だ。母親に抱かれた赤子、道に捨てられた雑誌、あてどなく歩くホームレスなどなど、すべては等価な存在として提示される。
もともとあった価値が剥奪され、新たな存在がそこに現れる。いつも当たり前に見ていた光景に、違う様相が隠れていたことに驚く。
「表現しようとかいう考えは置いて、目についたら撮る。それがスナップなんだ」
“AOYAMA”では銀座とは違うカラーも
銀座では東松照明、柴田敏雄、ウィリアム・クラインといった写真家たちを紹介してきた。青山では「若手作家を含め、違うカラーも押し出していきたい」と同ギャラリーの後藤さん。
3月には石塚元太良さんの新作個展を予定。月に一度のペースで展覧会を開催していく計画だ。
開催概要
会場
AKIO NAGASAWA GALLERY AOYAMA
東京都港区南青山5-12-3 Noirビル2階
開催期間
2018年1月30日(火)〜2018年2月24日(土)
開催時間
11時〜19時(13時〜14時閉館)
休館
日曜日、月曜、祝日
入場料
無料