私はこれを買いました!
業務用ビデオカメラで動画撮影の幅が広がった!
キヤノン XA70(武石修)
2025年12月28日 12:00
ミラーレスカメラとは好対照なスペック!
今年も色々と購入したが、筆者の中で大きめの買い物と言えばキヤノンの「XA70」だった。デジカメ Watch的には馴染みのない製品名かと思うが、これは業務用ビデオカメラというカテゴリーのアイテムだ。
ミラーレスカメラで簡単に動画が撮れる今、わざわざビデオカメラを使う意義は薄いように思われる。だが、動画制作のプロの世界ではその利便性からまだまだ使われており、新機種も続々投入されている。
筆者はフリーランスとして動画撮影の仕事もしている。動画撮影のメインはミラーレスカメラではあるが、ミラーレスカメラでは難しい撮影でもビデオカメラなら容易にできそうだと考えて購入に踏み切った次第だ。
ビデオカメラの一番のメリットは、レンズが高倍率ズームということだろう。本機は15倍のズームレンズを搭載しており、35mm判換算で25.5-382.5mm相当(F2.8-4.5)とかなり広いズームレンジで撮れるのが便利だ。ミラーレスカメラで400mm近い望遠レンズとなるとかなり大きい上に、広角域と併用するにはレンズ交換がどうしても必要になってしまい、ロケ現場では面倒になる。
そして、動画では編集時に「同ポジ」(同じようなサイズのカット)で繋ぐのを避けるのが普通であるため、引きや寄りを組み合わせて素材を撮っておくことが重要。その点でビデオカメラは、ワイドからアップまで絵に変化が付けやすい。
また本機の広角端は、ビデオカメラとしては広めになる。というのは、30mm相当前後の機種も多いためだ。建物の外観を映したり引きがきかない室内でも使いやすいと考えたのも本機を選んだ理由になる。
その上ズームの動作が電動なので、超広角から超望遠まで連続的なズーム操作ができるのも作画上のメリットだ。ミラーレスカメラだと電動ズームのレンズは高価だし、ズームレンジもビデオカメラほど広くは無い。またミラーレスカメラでは珍しい機能として内蔵NDフィルターが付いていて、日中絞りを開けたい場合には重宝する。
今では一般的になった4K記録ももちろん対応。センサーサイズは1型で、これはビデオカメラとしては大きいほうになる。フルサイズセンサーなどに比べれば、ボケが大きなシネマティック表現などは苦手だが、そこはミラーレスカメラと良い使い分けのポイントになる。
長回しが得意なのもビデオカメラならではで、ミラーレスカメラのように時間制限や熱による停止も無い。長時間のイベントなどを安心して撮れる点も心強い。
ビデオカメラというと操作が難しそうに感じるかもしれないが、撮影モードもP/Av/Tv/Mから選ぶというスチルカメラと同じものだ。AFもミラーレスカメラと同じように顔認識も使える。モニターのタッチでピント位置を指定できることもあり、筆者はAF主体で問題無く使っている。
このXA70は”業務用”となっているが、その大きな要素が付属のハンドルとそこに搭載されている音声周りではないかと筆者は考えている(あとはデュアルスロットか)。
専用のハンドルによってローポジション撮影のほか、カメラの持ち歩きが大変しやすい。そしてファンタム電源対応のXLRマイク入力もあるので、マイクの電池管理を気にせずに外部マイクが使える。
音声入力は4chあるので、例えば内蔵ステレオマイクを1chと2ch、ショットガンマイクを3chに記録しておき、ショットガンマイクの音をメインに内蔵マイクで拾った周囲の音を編集でミックスするといった使い方もできる。ダイヤル式の録音レベルツマミなども使い勝手を高める装備だ。
ちなみに外付けマイクは別売となる。筆者はソニーのファンタム電源専用コンデンサーマイク「ECM-VG1」を付けている。ソニーの業務用グレード品ながら実売2万円程度と買いやすい。付属の風防がスポンジタイプではなく、モフモフタイプなので効果が期待できそうだ、というのも選択理由になった。
XA70は実売25万円前後ということで、1型センサーの業務用ビデオカメラとしてはコストパフォーマンスに優れた機種ではないかと思う。大きなレンズフードに加えて、ハンドルや外付けマイクを付けると”ザ・業務用”という見た目になるのも良く、現場で「仕事で撮らせてもらってます~!」という振る舞いができることは結構ポイントになる。
とはいえ、三連リング(ズーム、フォーカス、絞り)を備えた本格業務用ビデオカメラに比べると機動性はかなり高いし、持ち運びも楽だ。もちろん価格もずっと安い。
というわけでミラーレスカメラと併用すれば、お互いの長所と短所を補完し合えるカメラだと言える。一例として、インタビューなどのマルチカメラ収録ではミラーレスカメラに加えて、本機でズームを駆使したカットを押さえるといったことにも使っている。
ビデオカメラは一般にはオワコンのカテゴリーに見えるかもしれないが、少なくともプロ用はどっこい健在でこれからも活躍していくことと思う。動画撮影に興味があればぜひ覗いてみて欲しいジャンルである。
近況報告
とどまるところを知らないインフレに円安で、内外の撮影アイテムもいよいよ気軽に買えなくなってきた感があります(笑)。そのため、改めてオールドレンズや中華勢の格安レンズなどに注目しているところです。筆者の場合、まだ使ったことの無いレンズにMマウントレンズがあるので、まずはマウントアダプターの購入から始めたいと思っております!


