私はこれを買いました!

花撮影での標準ズームレンズ、どっちを選ぶ?

OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II(吉住志穂)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2025年に購入したアイテムを1つだけ紹介していただきました。(編集部)

F2.8の明るさか、0.25倍の最大撮影倍率か

昨年末から今年の初めにかけて「OM-1 Mark II」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」または「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」のキャッシュバックキャンペーンが行われていました。2万円のキャッシュバックは大きいぞ! ということで初代「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」から買い替えることに。しかし、この2本の標準ズーム、焦点距離が近く、どちらもPROシリーズということで“どっちを買うか問題”が発生するのです。

私の撮影は花のクローズアップがメインなので、レンズの使用頻度は圧倒的に望遠ズームが多いものの、それに次ぐくらい標準ズームを使っています。さらに標準ズームの範囲でも、主に使うのは広角側。望遠にはない広い画角で印象をガラッと変え、バリエーションを増やすのが狙いです。広角で花に迫ることで遠近感を付けたり、背景の広がりを感じさせつつ、背景は少しぼかすという撮り方が多いです。

背景のボケを考えると12-40mmの方は絞りの開放値がF2.8と明るいことが魅力。12-45mmのF4.0と比べ、わずか1段分の差ですがボケの雰囲気は変わります。しかし、12-40mmはズーム全域で最短撮影距離が0.2mなので、最大撮影倍率は広角端で0.11倍、望遠端で0.3倍となります。

一方、12-45mmは広角端と望遠端で最短撮影距離が異なりますが、最大撮影倍率は全域で0.25倍と有利なのです。ボケは焦点距離、撮影距離、絞り値で決まるので、ここは最短撮影距離で撮影し、比べてみるのがいちばんよくわかります。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II
広角端
望遠端
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
広角端
望遠端

望遠端は12-40mmの方が大きく写せていますが、ほんのわずか。それよりはF2.8のボケを大きく感じます。広角端では最短撮影倍率に差が出て、12-45mmの方が寄れるぶん大きく写せて、ボケも大きいですね。

広角側で寄れる12-45mmの方がいいかと思いましたが、常に最短付近で撮るとは限らないので、結局、F2.8の絞りの明るさによるボケを優先して「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」を購入しました。12-45mmも画質は十分に良いですし、携帯性やコスト面では上回っています。寄れてぼかせるのは大きな魅力ですね。大きな決め手がないくらい、どちらも良好なレンズでした。同じように迷われている方がいらっしゃいましたら参考になさってください。

広角端の12mmで撮影しました。主役のツバキに迫りつつ、広角ならではの遠近感を表現することができました。望遠のような大きなボケは得られませんが、絞りを開ければ背景をほんのりぼかすことができ、主役が引き立ちます
OM-1 Mark II/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II/12mmm(24mm相当)/絞り優先AE(1/640秒、F2.8)/ISO 200

近況報告

冬は花が少ない時期ですが、温暖な地域ではスイセンやナノハナを見ることができます。近年、普通のチューリップの球根を狂い咲きさせるアイスチューリップを咲かせているところが増えたので、春を“先撮り”しに行こうかな。

吉住志穂

1979年東京生まれ。高校入学後から本格的に撮影を始める。2001年日本写真芸術専門学校を卒業後、写真家の竹内敏信氏に師事。自然の「こころ」をテーマに、主に花のクローズアップを撮影している。2016年には和紙にプリントし、掛軸に仕立てた展示「花時間」を開催し、好評を博す。また各地での講演会や写真誌での執筆を行う。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。