写真展PICK UP

山岸伸・佐藤倫子写真展「伸×YAMAGISHI×倫子」

(ライカギャラリー東京・ライカプロフェッショナルストア東京)1月28日〜5月10日

山岸伸さんと佐藤倫子さんの写真展「伸×YAMAGISHI×倫子」が、ライカギャラリー東京およびライカプロフェッショナルストア東京で開催される。会期は1月28日〜5月10日。

山岸さんと佐藤さんが夫婦となってから初めて同じ会場で、かつ同時に作品を展示することになる展覧会。テーマや作品がまずあり、そこから展示内容が決まっていく通常の展覧会開催の流れとは異なり、今回はLマウント規格を採用するミラーレスカメラ「ライカSL2-S」を夫妻でともに手にしたことが展覧会開催のキッカケだったという。

開催にあたり「ライカをどれだけ自分のモノにするか、そこからのスタートでした。」とのメッセージが打ち出されているとおり、デジタル時代のライカを初めて手にして作品づくりに挑んだ今回の展覧会。どのようなアプローチでお二人は撮影を進めていったのだろうか。

山岸さんは今回「ライカ」の重みを感じながら撮影を進めていったと話している。東京都交響楽団の指揮者である原田慶太楼さん(2021年4月に同楽団の正指揮者に就任)を撮影した際に“五感が呼び覚まされる”ような体験をしたことに想を得て、今回「五感」(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)をテーマにした作品アプローチに挑戦することにしたのだと続ける。

対して佐藤さんは新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)を舞台にして「MARINELAND」のテーマで作品づくりに挑んだ。本撮影はライカを手にする前から取り組んでいたもので、およそ半年以上にわたって継続的に足を運び、撮影を進めていったのだという。折しもコロナ禍の影響もあり館内で撮影に使用できる時間はごく僅か。初めて手にするカメラをどのように使い自身の作品として昇華していくのかなど、作品づくりは苦難の連続だったと話す。

当初は「ライカQ2」で撮影を進めていったという佐藤さん。撮影時に構図を完成させる自身のスタイルにあわせてライカSL2-Sを併用するようになっていったのだと続ける。対して山岸さんはライカSL2-Sをメインに撮影に取り組んでいった。本展では両氏が如何にしてライカを自身の道具にしていったのか、という視点から作品を紐解いていく楽しみもありそうだ。

作家メッセージ

「DDD」とボディーに刻まれたデビッド・ダグラス・ダンカン氏の「ライカフレックスSL」を、お世話になっている画廊の社長さんから「このカメラで良い写真を撮ってください」と1年前、手渡されました。それから毎日フィルムを詰め込み持ち歩きましたが、今日の今日まで納得いく写真はまだ撮れていません。カメラの重さと、このカメラを預かった責任の重さで、まだまだ皆さんにお見せすることはできません。数カ月前に、ふらりとライカストアに入り、初めてデジタルのライカを触ることができました。翌週、妻の佐藤倫子と再度訪れ、カメラを購入することを決心しました。それから今日まで、その1台のカメラでこの作品を撮り上げてきました。私にとっては、非常に珍しい作品になっています。是非、見て頂ければ幸いです。

「GOKAN」山岸 伸 Shin Yamagishi

何を撮ったらいいのか。この2年、世の中の状況に私自身フリーズしたまま時が過ぎていた。そんな中、ある日、ライカが舞い降りてきた。まるで水を得た魚の様に、私に「写真を撮る」意欲が湧いてきた。新江ノ島水族館との御縁はそんな私に撮る楽しみ、難しさを改めて感じさせ撮ることに挑戦という言葉がよく合う感覚にさせていった。水族館にいる生き物達は、地球上のこの事態を知ることもなく、淡々と生きているみたい。そんな彼らを目にして、それまでの眠っていた感性を目覚ましてくれたかの様に私はこのライカで夢中に写真を撮り続けた。その視点はこの水族館に留まらず日常の空間で撮るという行為へも続いていった。そう、私は写真を撮ると自問自答し続ける。そんな私にライカはじっと、そっと寄り添い、苦悩する私を静かに見守るかの様に何かを諭すかの様に、写真で表現をしてくれた。

「MARINELAND」佐藤倫子 Michiko Sato #rinco

展覧会概要

会場

ライカギャラリー東京(ライカ銀座店2階)・ライカプロフェッショナルストア東京
東京都中央区銀座6-4-1

会期

1月28日(金)〜5月10日(火)

休廊日

・ライカギャラリー東京:月曜日
・ライカプロフェッショナルストア東京:日曜日・月曜日

作家プロフィール

山岸 伸

俳優・アイドル・スポーツ選手などのポートレートを中心に、広告・グラビア・雑誌撮影など出版した写真集は400冊を超える。『北海道遺産・ばんえい競馬』『世界文化遺産賀茂別雷神社(上賀茂神社)第四十二回式年遷宮〜正遷宮迄の道〜』など分野も多岐にわたる。15年撮り続けて1,000人を達成する写真展「瞬間の顔」などが評価され、2016年日本写真協会作家賞を受賞。そのほかテレビなどメディアへも多く出演、及び審査員など幅広く活躍。公益社団法人日本写真家協会会員、公益社団法人日本広告写真家協会会員、とかち観光大使

佐藤倫子

株式会社資生堂宣伝部写真製作部に入社。退社後、フリーランスに。広告写真から作家に転向。佐藤独自のオリジナリティあふれる構図でその世界観を切り抜くクリエイティブスナップ作品を都内中心に個展・グループ展を開催、創作を続ける。2018年の個展ではAI(人工知能)を取り入れた最新のテクノロジーを駆使した写真展を東大名誉教授、コンピューター・アーキテクト坂村健氏総合プロデュースで開催。2021年3月に銀座5丁目THEGINZASPACE、銀座8丁目吉井画廊で個展「creative snap」同時開催。公益社団法人日本写真家協会会員。ニッコールクラブアドバイザー。